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小説練習用スレッド α

1 :名無しさん:01/12/19 04:00 ID:???
練習でも本番でも移転でも、どうぞ御利用下さい。

2 :名無し募集中。。。:01/12/19 04:12 ID:???
昔昔、あるところに

3 :名無しちゃんいい子なのにね:01/12/19 05:04 ID:???
おばあさんと、おばあちゃんがいました

4 :名無し募集中。。。:01/12/19 15:13 ID:???
おじいさんは山へ芝刈りに

5 :JM:01/12/20 01:49 ID:???


?凍える太陽 完全版?


序章

スペアパーツと壊れた心が、この地球を動かしている

?ブルース・スプリングスティーン?


「そういう事だ、な、来てくれるだろう。」

その台詞は断言だった。俯いている彼に言葉を投げ込むと、
男は返事を聞かずに去っていった。選択は、1つしかない。
もちろん、その言葉に従うより手段はなかった。

雨の降りしきる午後。都会のど真ん中にあるとは思えない
静けさに包まれた境内の片隅。剥げかかった朱色の杭に寄
りかかりながら彼は沈黙を続けている。

紫陽花に落ちる雨粒の音のみがこの空間を支配し、まだ春
の残り香が漂うこの場に身を潜める。

壊れかけたビニール傘をさし、彼は彷徨う。回答は一つの
み。ついぞ求め続けていた唯一無比の答えに辿りつく為の
旅路の末路。いよいよ「その時」が来た事を雨の東京は、
彼へ静かに告げていた。

6 :JM:01/12/20 01:58 ID:???

まだ冷たい雨の残る早朝、この町の全てを威圧するかの様
に聳え立つ真新しい高層マンションの前に、立ちすくむ彼
の姿があった。 彼は運命の引き金を静かに下ろした。

「おう、やっぱりきてたな・・・」

昨日の男は、シルバー色の大きなワゴン車から軽やかな足
取りで出てきた。先に待ち構えていた大学生風の容姿をし
た男女2人を引き連れその要塞に消えていく。

マンション前のやや細い道は、人の影がまばらに増え始め、
そして引いていく。さすがに雨の冷たさは幾分かは和らい
でいたが、それに反し雨粒の方は次第に大きくなっていく
ようであった。

時が滞る。

朝の街に雨音のみが静かに伝わる。苛立ちが彼の心に芽生
え始めたその時、要塞の門から漸く男が一人でスゴスゴと
出てきた。 男の顔には明らかに先程までとは違う険しさ
が刻み込まれている。この要塞の中で「何か」があった事
は誰の目で見ても明白だった。

「すまない、・・・ちょっとあってな。それよりお前が帰ったん
じゃないかと思って心配したよ」
「…」

男の言葉を待つまでもなく少し遅れて先程の2人に引きつら
れて出て来たその「相手」の態度は「何か」があった事を見
事に物語っていた。

空から落ちる雨粒が次第に大きくなって来る中、彼はワゴン
車の前でイラつくその「相手」に、慰めだとは知りながらも、
自分の傘を差し出した。

「どうぞ」
「…」

「さすがのお前だって、この娘の名前くらい知っているだろう?」
「え?…」
「何だ、知らないのか?」
「いや…」

男の問い掛けに彼は困惑していた。その「相手」の顔は
何かで見た事はあったが、正確な名前までは知らなかっ
た。ただ今の彼にとっては、彼女が何者であるかなどは、
どうでもいい事でもあった。

7 :JM:01/12/20 03:02 ID:???

彼は無意識の様に漠然と頷き「相手」に対し軽い会釈
をしたが、その「相手」は彼に一瞥もくれず、左右に
纏わりつく男女の腕を振り払うと、乱雑にワゴン車の
中に消えていった。

「なんだ、お前も俺と同じで、随分と嫌われたな…
まぁ話はついているから安心してくれ。詳しい経緯は
後で話すから。ちょっと今、時間がないんだ。すまない」
「・・・」

男はそう言い残すとワゴン車には乗らず、小走りに200
m程度先にある大通りへと向かった。どうやらそこに車を
待たせてあるらしい。走りながら、せわしなく携帯電話に
向かい大声で叫んでいる。その野太い男の声が静かな街並
みに反響していた。

その残響音と共にその場に残されたのは、連れの2人と彼、
そして車内にいる「相手」だけであった。

「…じゃぁ、あなたも乗ってください、急ぎますから」
「…」

連れの片方である若い女性は彼の返事を待つまでもなく
彼を急かす。彼は即されるままにその「相手」が先に乗
り込んでいるワゴン車の後部座席に座る。

シートの隙間から窺える運転席では、連れのもう片方で
ある学生風の青年がブツブツと小言を口走りながら、慌
てながらエンジンをかけていた。

青年は漸くとワゴン車を走らせ始めると、瞬間的にスピ
ードをあげ往来の激しい大通りへと向う。助手席に座っ
た女性は苛立ちを隠さず、忙しない様子でハンドルを握
る青年に指示を与えると、バッグから携帯電話を取り出
し、どこかへと電話を掛け始めた。

そうした前部座席の忙しなさとは対照的に、後部座席で
は、白けきった「相手」と沈黙を保つ彼との二人の間に、
何ともいえない重苦しい空気が醸造されている。

しかし彼は、どうするでもなく車窓の外に眼を遣り、た
だこの沈んだ空気に身を沈めていた。激しさを増し降り
しきる雨音が、車体を、そして車窓を強く叩いている。

(確か、あの日もこんな天気だったな・・・)

彼は、追憶の彼方に残るあの日の事を思い出していた。
全ての「終わりの始まり」であった、あの日の事を思
い出していた。

「やっぱり嫌!私には関係ないじゃない!」
「何をいっているの!ここまできて!もういい加減にしてよ!」

物思いに耽る彼を尻目に突如、目の前に座っている「相手」
と助手席に座る女性が座席越しに口論を始めた。しかし彼の
耳にはその内容は入ってこない。遂にはその口論に運転席の
青年までもが加わり、車内は激しい言葉の応酬の洪水と化し
ているにも関わらず彼の耳には3人の話は何一つ届きはして
いなかった。

唯一彼の耳に届いていたのは、彼らの喧騒にまぎれながら、
かすかながらに聴こえてくるFMラジオからの物憂げな音
楽だけだった。

(ビリー・ジョエルか・・・)

車内には、彼とは無関係の3人の人間が口々にわめき散ら
す罵声と、車体を叩きつける雨音、そして悲しいピアノの
音色が溢れていた。

「・・・・・」

激しい雑言の飛び交う車内。猛狂うかのごとく降りしきる
雨音。 彼の心は今日の天気のように重く沈んだままだっ
た。あれから何も変わらない、いや変われない。彼の心に
は、深遠なる虚無感が支配している。

FMでは悲しげな曲が終わり、明るいダンスナンバーが流
れ始める。彼の心はその曲を聞く事を拒否した。彼だけに
再び沈黙が訪れようとしていた。

彼は悲しげな微笑を一瞬だけ浮かべると、喧騒の最中、そ
して静かに目を閉じた。

<序章 了>

8 :INDEX:01/12/20 03:05 ID:???

<凍える太陽 完全版>

第1章…>>5-7


次回更新予定 今週中を予定

9 :名無しちゃんいい子なのにね:01/12/21 03:23 ID:???
hozen

10 :名無しちゃんいい子なのにね:01/12/21 18:18 ID:???
hozen

11 :名無しちゃんいい子なのにね:01/12/22 02:59 ID:???
hozen

12 :名無しさん:01/12/23 01:32 ID:???
Hozen

13 :名無しさん:01/12/24 02:53 ID:???
hozen

14 :第1章:01/12/24 04:31 ID:???

第1章

誠実、なんと言う、悲しい言葉なのだろう・・・

-ビリー・ジョエル-


「もう少し掛かりそうなんです・・・」

足元を照らす薄明かりのみが光る暗い地下駐車場。そこに
ポツンと停車しているワゴン車。彼女は関係者専用の出口
から小走りに近寄ってくると徐にドアを開け、後部座席で
本を読んでいる彼の姿を確認した。彼女は一瞬息を呑んだ
後、彼に対して静かに言葉をかけた。

「あと1時間程度なんですけど・・・」
「・・・」

彼はほんの一端彼女に視線を送ったが、気持ちだけ首を
傾け了解の意思を示した。彼女は何か言いたそうに、彼
を見つめていたがほんの一つ小さな溜息をつくと、ドア
を閉め今来た所へ戻って行った。

彼は、横目でそうした彼女を見やりながら車内の時計を
確認する。午前1時。いつもの時間、今日も深夜までこ
の場所で、いつもの体勢で「相手」を待っているのが彼
の日課だった。

ただいつもと違うのは、いつも金魚のフンのように付き
まとっている片割れの若い男がいない事だった。

「結局、こんな時間になっちゃって。真希は、局が用意した
隣のホテルに泊まる事になりましたので・・・」
「・・・」

午前3時、街中は静まり返っている。結局待つべき「相手」
は現れず、ワゴン車は疲れ切った二人を乗せ街中を走って
いた。

運転席でハンドルを持つ彼女の背中は、憔悴の色を感じ取る
のが容易であった。彼は後部座席に身を沈め、静寂に包まれ
ている東京の街並みを窓越しに焦点なく眺めていた。

過ぎ去った時間を取り戻すかの様に車は猛然とスピードを上
げると、靖国通りを素早く抜けて、左へ大きくカーブを切る
と、前方に三方交差の交差点が見えてくる。しかし煌々と燈
る赤色の信号を前にしても車のスピードは、変わらぬままで
あった。

すると二人を乗せたワゴン車は、そのまま何の躊躇いもなく
交差点を通り過ぎたかと思うと、突如キキキッ、という激し
いブレーキ音を立て、交差点横に伸びる舗道に片輪を乗り上
げ、急停止した。

誰もいない交差点の先端、再び周囲には静寂が訪れている。
彼女はハンドルに頭をもたげて、苦しそうにうめいた。

15 :第1章:01/12/24 04:39 ID:???

「すいません。今信号が・・・」
「運転替わりましょう」

彼は後部座席から勢い良く身を乗り出すとドアを開け表に
出た。そしてウインドウ越しに手振りで彼女に降りるよう
に即すると、改めて運転席側から座席に飛び乗った。

憔悴した彼女は促されたままに、そのまま助手席に乗り込
むと、俯き加減に目を落す。彼はシートの位置とバックミ
ラーの角度を直すと、静かにアクセルを踏み込んだ。二人
を乗せたワゴン車は、再び静かに走り出した。

「あなたの家はどちらですか?先にそちらに行きましょう」
「でも・・・」
「いいから。何処ですか?」
「・・・江古田です。ご存知ですか?」

「江古田、池袋の先の?大丈夫、知っていますよ。
昔知り合いが住んでいましたから」
「そうなんですか・・・。それじゃ、お願いします。」

車は先程抜けた靖国通りに戻ると、新宿方面に進路を変え
た。昼間の喧騒がウソのように静まり返るその町並みを見
遣りながら、車は夜の東京に溶け込んでいった。

ハンドルを握る彼の眼には頭を小さく振りながら、自分を
責めている彼女の姿が入っている。彼は意を決したように
小さく咳払いをすると、珍しく、いや出会ってから初めて、
彼の方から彼女に話し掛けた。

「お仕事大変ですね」
「そんな事も無いですよ。慣れましたから」

「そうとは言え、派手そうに見えても、実は地味で大変な
仕事ですね」
「そうかしらね。そういえば、あなたはこういう仕事、経
験はないの?」
「まさか。ありませんよ」

彼女は、彼ときっちりとした話をするのは、これが初めて
と言う訳ではなかったが、いつも彼に感じる無機質で、ま
るで機械相手の様な無味乾燥的な口調との違いに少々驚い
ていた。車は幾分スピードを緩め、更に西へ向かっていた。

「ずっとこんな感じなんですか。夜も遅い訳で」
「ええ、そうね。私も真希についてから、まだ日が浅いから
分からないけど ずっとこんな感じかな」

「それじゃあ、チーフも自分の時間が持てずに大変ですね。」
「そうね。でも今のところ、特にないし・・・。それにいいの。
今は真希の事だけ考えなきゃいけないんだし」

彼女に先程まで容赦なく襲っていた睡魔はどうやら少し晴れて
来たようだった。少し打ち解けた空気もそれに後押しさせたが、
彼女の頭の中に今まで抱えていた彼への興味に俄然と湧き出し
てきた。それとなく彼女は言葉を繋げ、彼の事を探ってみた。

「そう言えば…あなたの本職は、なんなの?」
「え?」
「会社の人は、元ボクサーの警備員といっていたけど…」
「会社の人?」

「ええ。あなたに初めて会った日に来ていたでしょう?
マンションに」
「ああ、あの人ね」
「それで…どうなのかしら?」

ワゴン車は、左手に首都高速のバイパスを見ながら、大きく
右にハンドルを切った。車影もそして人影もない静まり返っ
た交差点に近づくとユックリとそのスピードを落とす。無人
の交差点に備え付けられている信号機が、空しく赤色のライ
トを照らし出していた。


<続・次回更新 5日後予定>

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