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いいかげん、保田を卒業させるスレ

1 :安倍:01/10/07 10:28 ID:Dq7s5AJU
いいかげんうざい、不細工、消えて!

2 :名無し募集中。。。:01/10/07 10:29 ID:5p9CwrrY
雲母

3 :名無し娘。:01/10/07 10:30 ID:cJlpFSC6
>>1
まーがんばってみなさい

4 :北海道大学学生:01/10/07 10:40 ID:XSISMKZc
優良スレなのでageときます

5 :名無し娘。:01/10/07 10:42 ID:n47umU2w
保田のいない娘。なんて
わさびのない寿司のようなものだろ。

6 :名無し募集中。。。:01/10/07 10:45 ID:3oTUDdcs
>>1
毎回安倍の名前を使って他メン叩きスレを立てるお前が
いい加減ウザイ、消えて

7 :名無し募集中。。。:01/10/07 10:49 ID:fGOCtEEY
【ちゃむこと中谷正寛を応援するのだ!!】
http://www.jda.go.jp/jgsdf/message/top1.html

 

8 :名無し募集中。。。:01/10/07 10:59 ID:d4lUT7ow
ヤス叩きスレは伸びた試しがない

9 :名無しさん:01/10/07 11:27 ID:7d41DhvE
>>5
保田=わさび?

10 :名無しさん:01/10/07 11:33 ID:e1baXDAo
とりあえず>>1と保田がケコーンすれば。
自分だけのものにしたいんだろう?

11 :名無し募集中。。。:01/10/07 11:35 ID:vBqCyTiM
さて、どの辺りからマンセースレに変えようか(w

12 :名無しさん:01/10/07 11:43 ID:7d41DhvE
>>11
とりあえず>>1は卒業させたいらしいから、卒業してハッピーなヤスを妄想してみるのはどーよ?

13 :名無し娘。:01/10/07 11:46 ID:aq8702gA
>>11
まあ最後には結局そうなるな(^^;)
前回も20逝く前にはマンセーになったし、楽しみだ。
アンチもたまには頑張ってみろ!! もちろん無駄だけど(w

14 :名無し娘。:01/10/07 11:48 ID:aq8702gA
>>12
ヲイッ!展開早いな、まあいいけど。
ダーヤスもマンセーだ保田。

15 :名無し募集中。。。:01/10/07 11:52 ID:vBqCyTiM
という事で、しばらくは安置君の自演を楽しむスレとなりました(w

16 :名無し娘。:01/10/07 12:01 ID:womeN2Bo
>>15
そりゃいいや、それで逝こう。
いい忘れたけど、かおりんマンセーですが何か?保田。

17 :名無し募集中。。。:01/10/07 12:23 ID:Tgok2l/M
>>1
早くやれ!!
みんな楽しみに待ってんだぞ!!(w

18 :名無しさん:01/10/07 12:54 ID:7d41DhvE
まずは普通に
卒業→ソロデビュー→ミリオンヒット、でハッピー
→結婚→出産→歌うママドルキャラ定着、でハッピー
普通過ぎだな。すまぬ保田。

19 :名無しさん:01/10/07 12:56 ID:jnX90jso
今時保田叩きかよ

20 :コピペ☆マン:01/10/07 13:02 ID:m1gaGjlE

だから、圭ちゃん叩きはやめて
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21 :名無し募集中。。。:01/10/07 13:09 ID:OUVwPhAM
>>19
だからそんな痛い1に乾杯!の方向で。
早く続きやれー!!

22 :名無しさん:01/10/07 13:33 ID:7d41DhvE
卒業→ピンでマルチタレント活動開始→海外レポーター→その頃アフガン開戦→帰国できなくなる→戦時ラジオで平和を歌う→両陣営の心の支えとなる→和平締結→歴史に名を残す、でハッピー

うーん駄目か。ネタ職人の方々、来て助けて。
アンチスレを無力化にご協力を!

ちなみに私は>>1とはもちろん別人、念のため。

23 :名無し募集中。。。:01/10/07 13:44 ID:IqnoU4q6
>>22
とっくに1は消えちゃったよ。
どこまで頑張れるか期待してたのに保田。

24 :名無し娘。:01/10/07 13:49 ID:q.ooIOOA
やはり勇者は現れなかったか・・・

25 :名無し募集中。。。:01/10/07 13:52 ID:IqnoU4q6
>>24
うーむ、無駄な抵抗して欲しかったね保田。

26 :名無しさん:01/10/07 13:52 ID:7d41DhvE
>>23
そーですか。
未来のヤスをのんびり妄想するとしましょう...保田。

27 :名無し募集中。。。:01/10/07 13:54 ID:IqnoU4q6
そうですな保田。

28 :名無しさん:01/10/07 13:55 ID:7d41DhvE
あ、なんか乱れた保田。
最後に保田をつけるのは、微妙にスレ違いだよね保田。
でもこの方が妙に落ち着くね保田。

29 :名無し募集中。。。:01/10/07 13:58 ID:IqnoU4q6
保田スレで( `.∀´) れ保田。

30 :名無し募集中。。。:01/10/07 13:58 ID:m1gaGjlE
モーニング娘。保田圭、「DIVA」誕生…−JAZZYな一日に密着

ソース
http://www.zasshi.com/BANGUMI/index.html
http://www.kobunsha.com/magazine/Flash/latest_fls.html

31 :名無しさん:01/10/07 13:58 ID:7d41DhvE
でもって、そろそろ仕事なので書き込めなくなる保田。
だれかハッピーな保田の未来を書き込んで欲しい保田。

では仕事に戻ります保田。

32 :名無しさん:01/10/07 13:59 ID:XYqPPWyU
保田は引退したらどうなるんだろうか

33 :名無しさん:01/10/07 14:01 ID:7d41DhvE
むむ、書き込みタイムラグが...。
ここは卒業後ハッピー未来ネタ限定というのはどーでしょ。
でも誰も乗ってきてくれないなあ。

では本当に、もういきます保田。

34 :名無し募集中。。。:01/10/07 14:02 ID:vAUghhh2
なんとなく地味に生き残って行きそう。

35 :名無しさん:01/10/07 14:03 ID:j1Iq5gXs
         ___
       /     ||   へ ̄ ヽ
     /     ノ ||   // |    \
    /   _/  ||  // /\   \
     ̄ ̄   |    ||__// /   \__ノ
        / ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
      /  / ̄\  ヽ
     /   /   \  ヽ、、、ヽ
     |  /    >   < | |
     |  |      つ  | |  アタシを拾ってくださぁい
     |  |    ___  | |
     |  |    \__/  | .|
     ゝ‐イ\.   ・   /ノ
       /    ̄ ̄ ̄ )
   _  /         )
 /    V -v 。。、    ノ人  ,。。
 |  ⊂_/  |゚○||  |ノイ | `y(_)|
 \   (   .|  |.|  | .|  | ' /
   ― '\_ヽ_ノ_|_、、|_|_、、|_/

36 :名無しさん:01/10/07 14:04 ID:1ZNfQIlI
むしろとしをとったとき追い詰められるのは今の若いかわいいって言われてる
実力のないメンバーじゃ

37 :ゴトウ:01/10/07 14:11 ID:qMgRRuDg
目がこわい・・

38 :マジ@ヤスヲタ:01/10/07 17:05 ID:yjKHRpJc
ヤスヲタマンセー

39 :ガイア:01/10/07 17:42 ID:7d41DhvE
うーん。
<<33とか書き込んだ者ですが、一休みしに戻ってきたらほとんど進んでませんねえ。
まあ、元がアンチスレだからなあ。
じゃ、こんなのどうでしょう。
小説(もどき?)初挑戦してみます。
未来ネタはガイシュツかな...。

40 :ガイア:01/10/07 17:43 ID:7d41DhvE
【保田圭2011】

2011年秋のある日。
テレビ麻火・特別スタジオの楽屋のソファで保田圭はひとりでくつろいでいた。
今年30歳。
モーニング娘。を卒業して、もうすぐ9年になる...。

特別スタジオの楽屋はいわゆる楽屋というイメージとはかけ離れている。
部屋は広く、広い窓からは眺めの良い景色が広がっている。
調度品ひとつとっても品良くそれなりのものが使われていて、まるで高級ホテルの一室のようだ。
さっきまですすっていた紅茶もありがちなティーバックなどではなく、局内にある専門の喫茶店から運ばれた本格的なものだ。
さすがは局の看板番組のための施設だ。

(でも、ちょっとゆったりしすぎだなあ)
ゆったりとした高級ソファに身をうずめていると少しずつ眠くなる。
これから収録なのに...。
日差しも空調も心地よく、ついまぶたが重くなる。
(疲れているのか、それともトシかな)
目を閉じたまま苦笑する。
(最近はずいぶん余裕をもったペースで仕事をしているのはずなのに...)

娘。にいた頃は殺人的なスケジュールでも充分こなしていけた。
「あのころは若かったなあ」
無意識に独り言がこぼれ落ちる。
(ああ、ほんとにトシだわ)
また、苦笑。
最近多くなった。

41 :ガイア:01/10/07 17:44 ID:7d41DhvE
本当に寝入りそうになったとき、ノックが響いた。
(時間ね)
目を開くとソファから立ち上がり、手早く髪の乱れを直した。
眠気が完全に消えている。
どんな状態からでもすぐにスタンバイ状態になれる。これは変わらない。
「はい」
声をかけると、ドアが開いた。

スタジオ入りの指示かと思ったが、違うようだ。
なぜか3人の男が、申し訳なさそうに部屋に入ってきた。
「あの...」
一番若い男が口を開いた。今日一日世話をしてくれている番組のスタッフだ。
まだ新人らしいその青年は、ほとんどおびえたような様子で、青い顔をしている。
「どうかしたんですか?」
「す、すいません実は...」
そこまでいって黙り込んだ。

沈黙が部屋を支配している。
余程のことらしい。
先を促すように、勤めてやさしい笑顔を見せた。
「はい?」
青年はその笑顔に救われたように、意を決して先を続けた。
「な、中澤さんが遅れておりまして...」

自分の表情が曇るのがわかる。つい悪い想像をしてしまう。
いままでいろいろあったから。いろいろありすぎたから...。
「まさか、事故か何か...」

42 :ガイア:01/10/07 17:44 ID:7d41DhvE
「いいえ、そ、それが...」
青年は再び口篭もったが、今度の沈黙は短かった。
意を決して言った。
「あ、あの。寝坊されたようで...」
「え...」

思わず笑い出した。次第に大きな笑いになってゆく。
身体を折って声を出して笑う。涙が出るほどに。
「あの人らしいね」
笑いながら、何とか言った。
相手が怒り出すのではないかと恐々としていた青年はその姿を呆然としてみている。

「今日のゲストが私たちだから、つい油断して深酒でもしたんでしょう」
きっとそうだ、と思う。
あの人は変わっていない。きっとそうだ。
「私、今日のお仕事はこれだけだから、時間大丈夫ですよ。待ちましょう」
また、笑いかけた。
青年はようやく笑顔を取り戻すと、もう一度鄭重に謝罪しスタジオに戻っていった。

(私、怖がられてるなあ)
さっきの青年の様子からそう感じた。
今も昔もね、と思ってまたつい苦笑した。

部屋に残っている2人の男が怪訝な顔で見ている。
慌てて表情を戻した。
1人は自分のマネージャーだ。
もう1人は...。
面識はあるはずなのだが、不意には思い出せなかった。

43 :名無しさん:01/10/07 17:45 ID:LSTfORzw
自主脱退に応じない保田圭をパソナルームへ。

44 :ガイア:01/10/07 17:45 ID:7d41DhvE
どーでしょうか?
そろそろ仕事に戻らねば。
続きは折を見て。
ではまた。

45 :梨華ヲタ☆(モーニング娘。) ◆xMcoRIKA :01/10/07 17:45 ID:H5XP1ZTo
やすだブサイク。はやく脱退してほしい!!!

46 :名無し娘。:01/10/07 17:49 ID:MLd66u9I
やすだマンセー。はやくソロにしてほしい!!!

47 :名無しさん:01/10/07 17:50 ID:UvL44Soc
>>45
確かに脱退しても良いかな、と思う。

48 :名無し募集中。。。:01/10/07 17:52 ID:CSaoeXnI
>>39-42
いいぞ!続き激しくキボンヌ!
まだ読んでないけどな。(w

>>45
勇者ハケーソ!!がんがれー♪

ムダだけど…(ボソッ

49 :名無しさん:01/10/07 17:54 ID:dKQ0tRvw
保田がブサイクだから卒業して欲しいの?
なら新メンバー全員卒業するべきだね。
まだまともに活動してないけど(w

50 :名無しさん:01/10/07 17:57 ID:UvL44Soc
>>49
そうではない。
ヤスの今後の成長と発展のための手段としての「卒業」について
建設的意見を求めたスレであると解釈すべき。

51 :名無し娘。:01/10/07 18:02 ID:q.ooIOOA
>>50
なら、>>45なんかにレスしなきゃいいのに

52 :ガイア:01/10/07 18:02 ID:7d41DhvE
>>48
ありがとう。でもまず呼んで(w
続きは多分明日の日付になりますが、よかったらよろしく。

>>50
もともとは建設的スレでは無い気がします。
そうしちゃいますけどね。

なんとなく名前「ガイア」で書き込みましたが、わかりにくそうなので次回から【保田圭2011】にしますです。

では。

53 :名無し募集中。。。:01/10/07 18:05 ID:CSaoeXnI
いや、アンチにレスしながら勝手にダーヤスマンセーにして逝くのが
アンチ保田スレの醍醐味だから。

54 :名無しさん:01/10/07 18:05 ID:dKQ0tRvw
>>50
それならまだその時期ではない。
もう少し娘。で頑張って知名度を上げるべき。
脱退してからのスタートダッシュで有利になるからね。
(中澤みたいに)

まあ、細かいこと言うと、契約期間とかの関係もあって、
少なくともあと半年は脱退しないだろうけど。

55 :【保田圭2011】:01/10/07 19:40 ID:7d41DhvE
うーん、放置されたスレッドの再利用のつもりだったんですが、ageると本来の意味の(?)書き込みがありますね。
単なるスレ違いになってきた...。
でも始めちゃったから続けます。
仕事しなきゃいけないのに、書いちゃいました。

というわけで、>>42の続きです。

56 :【保田圭2011】:01/10/07 19:43 ID:7d41DhvE
(誰だっけ、この人)
平静を装いながら、記憶をたどる。
思い出せない。何度か会っているはずなのに...。

助け舟に期待してマネージャーを見る。
目が合った。
露骨にそらされる。
やれやれ。
でも、いつものことだと表情に出さずに思う。

マネージャーの多賀は娘。を卒業して数ヵ月後から担当になった。
もうずいぶん長い付き合いになるのだが、未だに意思の疎通に問題がある。
ツーカーの仲などというには程遠い。
そもそも、多賀は気乗りがしないまま、ずるずると担当を続けている。
仕事に対する情熱のようなものはまるで無く、ただベテランゆえにソツなくこなしているようだ。
もっとも、それで充分だ、とも思う。

多賀は担当が決まったとき、相当にごねたらしい。
自分はこれから売り出す若手アイドルが得意であるから他の担当にして欲しい、と。

確かに一世を風靡したモーニング娘。のOGはプロモートしづらいのは間違いない。
だが、多賀が担当を渋った本当の理由は周囲が教えてくれた。
多賀が素人同然の新人の女の子に手を出したのは一度や二度ではないらしい。
つまり、それが出来なくなることに抵抗したのだ。

多賀は20歳を越えた女には魅力を感じない、とうそぶいているという。
担当が決まった頃、21歳だった。
心底、ほっとした。
禿かけて脂ぎっていて、ガリガリの癖に腹だけ出ていて、常に女の子を毒牙に掛けんと狙っている男...。
いくらなんでも、こちらから願い下げだ。

娘。卒業後に娘。たちと仕事をしたときに、若い娘。たちをギラギラした目で見る多賀を無言で威嚇したことも何回もあった。
最近事務所に入ってくる新人たちとも、なるべく接点を持たせないように気にかけている。
もちろん、多賀はそれが気に入らない。
冷え切った関係での二人三脚をずっと続けてきた。

しかし、それで現在がある。
そりが合わないからといって、感謝していないわけではない。

57 :【保田圭2011】:01/10/07 19:44 ID:7d41DhvE
「あの...」
"もう1人の"男が口を開いた。
「あの、すいません。うちのタレントも遅れておりまして...」
(そうだ、この人あの娘のマネージャーだ)
やっと思い出した。

「本当に申し訳ないのですけれど...」
おずおずと機嫌をうかがうように言う。
最近こんな対応をされることが多い気がする。
気を使っている、というよりも、単に事を荒立てないようにしている感じ...。
まるでこちらを気難しい相手と決め付けて、トラブルが起こればその気難しさが悪いのだ、といいだしそうな...。

上目遣いの小太りの小男に、不快さを気取られないように、また笑顔を作った。
「こちらも寝坊ですか?」
冗談めかして言う。
「め、滅相もありません」
小男は突然噴出した汗をハンカチでぬぐいながら、意味不明なジェスチャーを交えながら言い訳をはじめた。
「昨夜長野で仕事がありまして、急いで車で移動しているのですが、事故渋滞とかで...」
「あなたはご一緒じゃなかったんですか」
「は、はい、私は兼任でして、他のタレントについていたものですから...」
「...そうですか。幸い司会者も遅れているようですし、収録にはきっと間に合いますよ」
「本当に、申し訳ありません」
小男は、滑稽なくらい何度も頭を下げて、部屋を出て行った。

つい、とそれに多賀が続く。
一言も発しなかった。
これもいつものことだ。

58 :【保田圭2011】:01/10/07 19:45 ID:7d41DhvE
(兼任のマネージャーか)
一人になった部屋で、再びソファーに埋もれて、溜息をついた。
(扱い、悪いなあ...)
自分は恵まれているのだ、と思う。
おそらく現在では、一番恵まれているのだろう。
(生き残り組も苦労している...)

娘。の絶頂期の頃から、将来に対する不安はあった。
アーチスト、などとおだてられていても、所詮はアイドルだ。
将来の居場所は自分で確保するしかない、と娘。の誰もが自覚していた。
しかし殺人的なスケジュールと与えられる高いハードルのせいで、誰もが余裕を無くしていた。
漠然とした不安。それについて考える時間は、あまりに限られていた。
ほとんどの者が、流されてしまった。

(私も一人になって、苦労したなあ...)
そう思うと、なんだか泣きたくなった。
もちろん涙など流さない。腫れた目で収録などできない。
(あの頃は、思うままに泣いていたけど...)
懐かしく思う。

いつも一緒にいた娘。たち。
家族以上の存在だった。
自分は最後の卒業生になった。
その一年後、娘。自体も解散した。
卒業直後は話題性もあって、良く娘。たちと一緒の仕事になった。
しかし、娘。解散後はだんだんと会うこともなくなっていった。

(今日は久しぶりに会えるの、楽しみにしていたのにな...)
裕ちゃんと、「あの娘」。

遅刻者たちは、まだ到着しないようだった。

59 :【保田圭2011】:01/10/07 19:46 ID:7d41DhvE

というわけで、2002年から2011年の間のお話です。いや妄想ですが。
続きは、また。

では、いいかげん仕事しますです、はい。

60 :名無し娘。:01/10/07 20:36 ID:3oMFb5Fo
>>59
続き楽しみにしてるよ。

61 :名無し募集中。。。:01/10/07 21:16 ID:dZL.T.uQ
>>59
漏れも、続きマテールヨ!
まだ読んでないけど。。。  って二度目だけど。

62 :【保田圭2011】:01/10/08 00:37 ID:MDgcHCQA
>>60
ありがとうございます。
誰も読んでくれないかと思った...。

>>61
お願い読んで(w

では、>>58の続きです。

63 :【保田圭2011】:01/10/08 00:38 ID:MDgcHCQA
(退屈だなあ)
どれくらい時間が過ぎただろう。
ずっと楽屋で1人で過ごすのも飽きてきた。
テーブルの上の半分残った紅茶も、すっかり冷めてしまっている。
その横にある台本に手を伸ばす。

台本といっても、ほんの簡単なものだ。
司会者がゲストにふる話の内容が、あらかじめリストアップされている。
あとは本番の展開次第、ということだ。

「裕子の部屋」
テレビ麻火の看板番組「徹子の部屋」の後番組として数年前に始まった。
猫柳徹子の病気療養による降板で、慌てて作られた番組だった。

誰もが中澤裕子の起用に驚いた。
中澤は、モ娘。卒業後、しばらくは順調だったが、徐々に仕事が減っていき、この頃にはすっかり落ち目になっていた。
そもそも、対談番組の司会が勤まるほど、中澤には能力がなかった。
それでも後任に決まったのは、猫柳の降板があまりに突然だったからだ。
人気・実力のあるタレントはスケジュール調整がつかなかったり帯番組をやりたがらず、結局この番組枠は捨てられた。
しかし、スポンサーの希望で同系統の後番組をやることになり、いわば捨てゴマとして起用されたのだった。
これで視聴率がとれずに番組が終了しても、全て中澤の未熟さのせいに出来る。

(悔しかっただろうな)
その時の中澤の気持ちは容易に想像できる。
中澤など消えてしまっても、誰も気にしないような存在になっていたのだ。
まったく期待されていなかった。

しかし中澤はふんばった。
最初こそぼろぼろになり、1クール目の半ばで生放送から録画形式に切り替えられた。
そのあたりから、だんだんと中澤は実力を発揮し始めた。
絶望的に落ち込んだ視聴率は徐々に盛り返し、1年後には「徹子の部屋」の全盛期に迫るまでになった。
気難しいベテラン俳優から、間の悪い新人コメディアンまで、どんなゲストからもその魅力を引き出す力は誰にも負けないほどになっていた。

気まぐれな世間は、これまでもそうだったかのように中澤を誉めそやした。
中澤はようやく、確固たる自分の居場所を手に入れたのだ。
土壇場の大逆転だった。

64 :【保田圭2011】:01/10/08 00:39 ID:MDgcHCQA
(どれほどの苦しさの中で...)
それを手に入れたのだろう。
誰も座っていない椅子に何度も同じ質問をしつづけたのだろう。
1人きりの部屋で、鏡を相手に相槌を打ちつづけたのだろう。
その姿をまるで実際に見たかのように思い浮かべることができる。

忙しさにかまけて、オンエアは数回しか見たことがない。
そのせいもあって、見る度に、中澤の成長振りには驚かされた。

「保田さん、『裕子の部屋』に出てもらえませんか?」
娘。卒業生同士ということで何度かオファーがあったが、いつもタイミングが悪くて断るしかなかった。
今回、ようやく出演できるのも、この番組を中心にかなり無理にスケジュールを調整したからだ。

(それなのに、遅刻なんかして)
でも、腹は立たない。
そういう人だったな、と思う。
ずっと年上なのに、どこか甘えている。
それは、身内だけに...。
今回の収録の後、中澤は数日間休みをもらえるそうだ。
休み前、最後のゲストが身内同然の相手なので一足早く気が抜けてしまったのだろう。
(今でも身内として甘えてくれるなら...)
まあ、いいか。
それは嬉しいことだ。

それにしても遅い。
だんだん不安になってきた。
今では当代きっての人気司会者として他の仕事も順調だから、少しの失態ならスタッフも多めに見てくれるだろう。
しかし、もう収録開始の予定時間を1時間近く過ぎてしまっている。
番組に穴をあけては、さすがにただではすまない。

65 :【保田圭2011】:01/10/08 00:39 ID:MDgcHCQA
(外が騒がしい...?)
どうやら動きがあったらしい。

マネージャーの多賀がノックもせずにドアを開けて顔をのぞかせた。
「来たよ」
それだけ言って、ドアを閉めた。
今日はじめて聞いた多賀の声だった。

ソファから起き上がり身支度を整えようとしたとき、ノックが聞こえた。
「はい」
つい、反射的に答えてしまった。
(しまった)
まだ髪も整え直してない。

ドアが開けられ、1人の女性が中に入ってきた。
長い黒髪を振り乱し、衣服も少し乱れて、なによりひどく息を切らしている。
相当急いでここに来たのだ。

「おはようございます。遅れて申し訳ありません、保田さん」
乱れた息を一度止め、しっかりした発音で一息にそういった。

「いいえ」
今日何度目かの愛想笑いを浮かべる。
しかし、相手はそれが愛想笑いであることを知り尽くしているように、緊張を解かない。
直立不動で立ったままだ。
いや、息をするたびに肩がほんの少しだけゆれている。
「まあ、座って。裕ちゃんも遅れているの。収録はまだできないよ」
向かいのソファに座るように促した。

ゆっくりと息を整えながらソファの前まで歩き、浅く座ると、もう一度頭を下げた。
「本当に申し訳ありませんでした」
詫びてはいるが、態度はなんとも頑なだ。
(この娘、変わってないなあ)
「気にしないで」
今度は自然に笑みが出た。
だが相手の表情はこわばったままだ。
必死で上がった息を押さえつけようとしている。

勤めて優しく、話し掛けた。
「久しぶりね、新垣。大丈夫?」

66 :【保田圭2011】:01/10/08 00:44 ID:MDgcHCQA
ほとんど放置されているこの小説ですが、ちょっと意外な展開でしょ?
当面は2011年から2002年以降を振り返る形で話が進みます。
その後、「現在」の話が2011年のクリスマスに向けて展開する予定。

現在は3人しか名前が出ていませんが、現メンバー13人は全て出すつもりです。
構想(妄想)段階でかなり可哀想なことになっている娘もいるのですが...。

と、いうわけでエライ長編になりそうんなんですが、できれば気長にお付き合いください。

では、また。

67 : :01/10/08 00:46 ID:AY9.TnLA
今日MUSIXいなかったけど、全く違和感なかった。

68 :名無し募集中。。。:01/10/08 00:47 ID:Kizqyty.
ほほう、新垣ですか・・・何でまた。
いずれにしろ楽しみにしてます。頑張ってくださいね。ROM表明3人目になるかな。

69 :名無しさん:01/10/08 00:51 ID:kzw/PWWc
>>66
「久しぶりね、新垣。大丈夫?」

予想と違ったので、ワラタ、、、、、。
続きを楽しみにしてるよ!!

70 :名無し募集中。。。:01/10/08 00:53 ID:5QlhEELw
>>66
いちいち感想書くの面倒くさいから書かないけどちゃんと読んでるよ

71 :名無しさん:01/10/08 01:02 ID:Kbkp86Xs
>>1
いい加減にしろよゴリヲタ

モー娘に必要ないのは辻ゴリラだって

72 :名無し募集中。。。:01/10/08 01:05 ID:7o50CRe.
つーかsageでやれ。

73 :名無し募集中。。。:01/10/08 01:41 ID:Y9MHjZhE
                 -=≡ ∧_∧
                -=≡  ( ´Д`) とまんなぁ〜いっ
           -=≡ /⌒⌒ヽ/⌒ヽ/\
    -=≡ ./⌒ヽ,  /     ̄   \\ ヽ/⌒ヽ,
   -=≡  /   |_/__i.ノ ,へ _    _/ \\/   | /ii
   -=≡ ノ⌒二__ノ__ノ  ̄ ̄     \ヽ  |./ |i
  -=≡ ()二二)― ||二)        ()二 し二) ― ||二)
  -=≡ し|  | \.||             .|   .|\ ||
   -=≡  i  .|  ii               i  |  .ii
    -=≡ ゙、_ ノ               .゙、 _ノ 

74 :名無し募集中。。。:01/10/08 02:07 ID:qh0JER.6
いなくなってもいいかと思っていたところで、キャラが立ってきた。
本人の危機感もあるのだと思うけど、今は必要なキャラなんじゃないかと思う。
飯田がビシッとしめられない分の存在としても必要だし。

オネモの終盤のメガネ保田はふんぎりついてすがすがしい
というふうに見えたんだけど。

75 :名無し募集中。。。:01/10/08 02:08 ID:TTLy3DW2
とりあえずお気に入りに追加。
作者がんがれ

76 :名無しさん:01/10/08 02:10 ID:cbRy7Fzo
保田にはブスという言葉が似合う。
嫌いじゃないけど

77 : :01/10/08 02:11 ID:dtuXezPs
@ノハ@
( ‘д‘)<オバちゃんをいじめんといや

78 :名無しさん募集中。。。:01/10/08 02:21 ID:7/TpB0as
http://www2.tok2.com/home/fuuchan/gazoukan/yasuda/035.jpg

79 :名無しさん:01/10/08 02:22 ID:IOri6.Zk
BUSS

80 :名無し募集中。。。:01/10/08 02:41 ID:RBoEz.sI
>>【保田圭2011】作者さま
おもしろい、ぜひ最後まで書きつづけてほしい。
「あの娘」って誰だろうって途中で想像してみた。
芸能界に戻った(という設定の)市井か、後藤とかがいいと思いつつ、
もしや意表をついて新垣ではないだろうかという嫌な不安が的中したのには苦笑。

でも期待してます。保田が最後の卒業生というのはすごくいい!

81 :名無し募集中。。。:01/10/08 02:42 ID:W.JKAcOY
>>76 つんくはブスは美化してかいてるけど女としてはやっぱ嫌なもんよ

82 :名無しさん:01/10/08 08:21 ID:7TInR9tA
小説書いたり、それにコメントする場合はsageでやろうぜ。
それ以外はどうでもいいけど。

83 :名無しさん:01/10/08 09:01 ID:nDC7XG0U
>> 保田2001 おもろい。続き読ませてくれ。泣きそうや。
>>82 折角やけど age ンとみんな読まれへんやんけ。

84 :名無し募集中。。。:01/10/08 09:09 ID:e8zPoBik
>1
 お前がウザイ。お前が不細工‥かどうかは知らないが、お前が消えろ。店長マンセ〜!おばちゃんマンセ〜!!保田マンセ〜!!!

85 :名無し募集中。。。:01/10/08 09:15 ID:7o50CRe.
オナニー小説ウザイ。
やるならsageでやれ。

86 :名無しさん:01/10/08 09:23 ID:dwsPQpkE
ずっと前にプッチモニダイバーで
「後藤のコラがメールで回ってきた話」の時、
「胸小さかったので、どうせ作るなら大きくしてあげて下さい。」と
のたまったのには驚いた、けっこうイイヒトと見た。
好きになった訳ではないが、やめろとまでは思わないっスね。

87 :名無しさん:01/10/08 10:04 ID:rxGJH8CU
>>86
>「後藤のコラがメールで回ってきた話」
そんなことあったんだ(w
なかなか、ネタってものがわかるやつなんだな。

88 :【保田圭2011】:01/10/08 13:15 ID:7VmlQRew
>>68
>>69
>>70
>>75
>>80
>>83

皆さんありがとうございます。
ペースはゆっくりですが、完結までがんばりますのでよろしくお願いします。

>>72
>>82
>>85

すいません。初心者なもので。そういうものですか。
そのようにいたします。
ageると>>1のレスばっかりになっちゃうようですし...。
まあスレ違いのままやっているので当然ですけど。

読んでくださっている皆様、よろしかったらブックマークをお願いします。

では>>65の続きです。

89 :【保田圭2011】:01/10/08 13:17 ID:7VmlQRew
「大丈夫です」

新垣里沙はまったく緊張を解かずにこちらを見つめつづけている。
(頑固だよなあ)
本当に、そう思う。10年前、始めてあった頃とまるで変わっていない。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

モーニング娘。はメンバーの追加・卒業を繰り返す珍しいグループだった。
卒業するメンバーはほとんどの場合、本人の希望での卒業であり、それぞれが笑顔で送り出された。
しかし追加されるメンバーは、当然それまでのメンバーと面識はなく、追加時には必ずいくらかの軋轢を生んだ。
それが一番大きかったのは第1期のメンバーと第2期のメンバーだったと思う。

第1期、つまりオリジナルのメンバー5人、中澤・石黒・飯田・安部・福田は、オーディション落選組である。
それが集められ、インディーズCDの手売から始め、ついに全国区で人気を得るまでになった。
一番苦労したのはこの第1期なのは確かだ。
そこに突然メンバー追加が告げられた。第1期としては面白いわけがない。

第2期として自分・市井・矢口が入っていったとき、そのあまりのギスギスした雰囲気に愕然とした。
カメラが回っているときと回っていないときでまるで違う。
苦労して築いてきたものを横から掠め取る泥棒...。
第1期のメンバーは、第2期の追加メンバーをそんな風に見ていたようだ。
敵視でもあり、蔑視でもあったのだろう。

しかし娘。の人気が急上昇することで多忙になり、きついスケジュールをこなす中で、だんだんと「同志」としてお互いを見るようになっていった。
皆、へとへとになりながら、がむしゃらに頑張った。
遂にオリコンで1位をとったとき、全員で抱き合って泣いた。
ようやくひとつになった。
そう思った。

しかし、メンバーの予想に反して再び追加が発表された。
第3期はただ1人、後藤だけだった。
『稀に見る逸材』といわれた後藤は、常識はずれだった。
挨拶もろくにしない。そもそもやる気があるのかないのかわからない。
「あいつは『逸材』だからさ」
誰かが後藤に腹をたてると、他のメンバーはそう耳打ちして諌めた。
後藤は瞬く間に娘。の顔になった。
初のミリオンヒットは後藤の加入のおかげといわれた。
ないがしろにはできない存在になったのだ。

やがて、後藤の性格がメンバーにもわかってきた。
クールな外見に似合わず、だれかれ構わず甘えてしまう。それが後藤だった。
傍若無人にみえる振る舞いも、許してもらえることを期待した甘えだった。
傍若無人な振る舞いをしたいのではなく、それを許して欲しいのだ。
フロントメンバーであろうと後藤なりの努力をしていることもわかってきた。
ゆっくりと後藤もまた娘。に溶け込んでいった。

90 :【保田圭2011】:01/10/08 13:18 ID:7VmlQRew
そして翌年、4期の追加が行われた。石川・吉澤・辻・加護の4人だ。
(なんだ、この娘たちは)
メンバー誰もがそう思った。
歌もダンスも問題外だった。
なにより仕事への気持ちの入らなさはひどかった。
「遊んでいるんじゃないんだから」
メンバーもスタッフも口を酸っぱくして叱った。だが直らなかった。
しかし、先輩メンバーとの軋轢はほとんどなかった。
4期の甘さを許してしまう後藤の存在が、緩衝材になっていたからだ。

4期のメンバーはそれぞれが人気がでたが、娘。の実力への評価は徐々に落ち始めた。
これは狙いであったかもしれない。
スーパーグループ、といわれた娘。は、急速に庶民的アイドルの方向に走り始めた。
(もう娘。はアーチストとはいえない路線になったんだ)
アーチスト志向の高いメンバーはそう感じ、自分の将来を模索し始めた。
ほとんど危機感を持たぬまま、それでも4期のメンバーは厳しいレッスンの中、少しずつ実力をつけていった。

更に翌年、5期の追加があった。紺野・高橋・小川・新垣のまた4人だ。
もはや年中行事と変わらない。皆、慣れてしまっていた。
小柄で年少の5期メンバーを見て、1期、2期は正直のところげんなりした。
(4期と同じじゃないのか...)
しかし、初期レッスンの後、合流してからそうでないことがわかってきた。
4人とも荒削りで、完成度は予想よりもさらに低かった。
しかし、全員が必死で先輩メンバーにくらいついてきた。
4期が良い反面教師であったかもしれない。
努力しなければ、追いつかなければならないという思いが、既にオーディション合格直後から4人の中に強くあったようだ。
だんだんと4人は実力を発揮し始めた。
それぞれにファンもつき、娘。人気は安泰に思えた。

そしてその翌年の6期の追加があった。
そのメンバーについて面識はあまりない。
自分の卒業と入れ替わりのように、6期のメンバーが入ったからだ。
自分は最後の卒業生であり、6期は最後の追加メンバーだった。

この追加が、娘。の致命傷になった。
やがて1年を待たずに、解散を余儀なくされる。
「うまいときに逃げたね」
心無い人から、その頃よくそういわれた。

91 :【保田圭2011】:01/10/08 13:19 ID:7VmlQRew
(4期は私たちに似ている)
4期のメンバーと合流したころからそう思っていた。
がむしゃらさ、生真面目さが似ている。
なれない世界で、右も左もわからないのに必死でがんばっていた。
(それに新垣は私に似ている)
初対面から、そう感じた。

新垣は、メンバーに溶け込もうとしなかった。

4期のメンバーが入った頃、番組の企画で占いをしたことがあった。
血液型占いだった。
その時は収録に欠席したのだが、こんな内容だったらしい。

モーニング娘には、過去いちどもB型のメンバーはいませんね。
B型はマイペースですから、集団での行動に向きません。
だから、紺野さん、新垣さんの加入によって、和が乱される可能性が高いんです...。

(そんなばかな)
番組では感心して見せたが、みな信じていなかった。
それではこの世には4パターンの人間しかいなくなってしまう。
しかし、この占いは的中してしまった。
高橋と小川はすぐにメンバーに打ち解けていったが、紺野と新垣は折り合いが悪いままだった。

占いはこうもいっていた。

加護さんは唯一AB型ですので、B型の二人と他のメンバーの橋渡し役になれるでしょう。

これは半分だけ当たった。
加護は紺野とは気が合うようだった。
加護を媒介として紺野も他のメンバーに近づいていった。

ひとり、新垣だけが孤立していた。

我が強すぎるのだ。
信じたことは絶対譲らない。
他人とペースを合わせることをしない。

そんなところが、娘。に入ったばかりのころの自分に似ていると思う。
違うのは、自分は徐々に変わっていったが、新垣は遂に我を貫いてしまった、というところだ。

年長のメンバーはそれを性格ととらえて、必要充分に新垣に接していた。
しかし年少者はそう割り切ることは出来ないようだった。
事あるごとに衝突が起き、ますます新垣は孤立していった。
それがいじめにまで発展しないように、常に目を光らせる必要があった。

図らずも、一番自立心の強い新垣が、一番手のかかるメンバーになってしまった。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

新垣里沙はじっとこちらを見つめつづけている。
それが礼儀であると勘違いしているようだ。
そう信じてしまったら二度と変えることが出来ない。
よく言えば純粋、悪く言えば常軌を逸した頑固...。
それが新垣の本質であるらしかった。

初めて会った頃は小柄で華奢だったが、今では自分より頭ひとつほど背が高い。
年齢も既に23歳だ。
(でも、中身は変わっていないんだなあ)
部屋には、気まずい静寂が続いている。
(どう話し出そうかな)
思えば、娘。にいた頃から、新垣を前にしてよくあった悩みだった。

92 :【保田圭2011】:01/10/08 13:19 ID:7VmlQRew
今回はほとんどが2001年以前の話になってしまいました。
もちろんこれも現実+噂+妄想なわけですが。

ではまた。

93 :【保田圭2011】:01/10/08 13:51 ID:7VmlQRew
すいません。
>>91、の冒頭部分、文章間違いです。

4期 × → 5期 ○

と読み替えてください。
文章確認したはずだったのですが、やっちゃいました...。

94 :名無し募集中。。。:01/10/08 16:54 ID:dJkeiDoU
「うまいときに逃げたね」
心無い人から、その頃よくそういわれた。

こういう描写が出来るのは文才だよなぁ、うらやましいですわ

95 :名無し募集中。。。:01/10/09 17:17 ID:ImQyqyjs
24時間経過のため念のために保全書き込みです。

この手の小説はあまたありますが、この小説の空気感が好みです。
淡々としていてリアル、それは視点が保田一人に定まっているからなのでしょう。
続きに期待。

96 :【保田圭2011】:01/10/09 22:43 ID:Trr3B7Yc
>>94
過分のお褒めのお言葉、ありがとうございます。

>>95
保全までしていただき、ありがとうございます。
PCに向かえないときも多いので、ご協力いただけると助かります。
なるべくリアルにと心がけています。2011年の「現在」以降はそうでもない展開になりそうなんですが...。

しかし、以前の分を読み返してみると、表記のゆれがひどかったり、おなじ表現の繰り返しが多かったりで冷や汗物です。
これからも一層精進してまいりますので、皆様よろしくお願いします。

では>>91の続きです。

97 :【保田圭2011】:01/10/09 22:44 ID:Trr3B7Yc
入れたての2杯のミルクティーを丁寧に置くと、ウエイトレスは軽く会釈してから音も立てずに出ていった。
まず、自分が口をつける。
そうしないと新垣は決して飲もうとしない。

窓の外の景色を眺めながら、新垣がカップを置く気配を待った。

「もう落ち着いた?」
「え、ええ」
気まずい沈黙を、とりあえず新垣の息が上がっていたせいにした。

「今日は『裕子の部屋』にご一緒させていただいて、本当にありがとうございます」
新垣が深々と頭を下げた。
「...私、何回か出してもらえるようにお願いしたんですけど、断られちゃって...」
「...そうなんだ」
初耳だった。

「どうなの、最近は?」
わざと先輩ぶった口調で聞いてみる。
「はい...」
新垣は、ちょっと迷った後、答えた。
「とても保田さんのようにはいきません」

かしこまった様子から、追従ではなく本当にそう思ってくれているとわかる。
実力主義のニヒリスト、新垣のそんなところも変わっていない。

「なあに、言ってるの」
返答に困って、大仰にそう言ってみる。
「もっと上を見なきゃだめよ。私なんて、まだまだ」
「でも...」
新垣は遠慮がちにさえぎった。
「娘。の卒業生の中で、一番歌で成功しているのは保田さんじゃないですか」
「そう言ってくれるのはうれしいけど...」
「娘。だけじゃなくても、バラードなら今は保田さんが一番でしょう」
「...ありがとー」
ニタリと笑っていってみる。

わざとらしい笑いにつられて、新垣もやっと少し笑った。

世間の評価は移ろいやすすぎて、あてにならない。
それでも今、バラードの第一人者として認められているのは、素直にうれしい。
それを、気にかけていた後輩が言ってくれるのもうれしい。

「幸い、忙しくしてるよ」
「そうですよね。自分でかけなくても、保田さんの歌を聞かない日は無いですよ」
「それは、大げさだよ」
「ホントですって」

ようやく緊張が解けてきたようだ。
新垣は無口に見られがちだが、気を許した相手には良く喋る。

ひとしきり、取り止めの無い話の後...。

「でも忙し過ぎるときもあってね。なかなか子供に会えなくて寂しいときもあるよ」
つい、考えずに言葉が出た。
新垣の表情が曇る。

(しまった...)
もう遅い。言葉は取り戻せない。

98 :【保田圭2011】:01/10/09 22:45 ID:Trr3B7Yc
新垣は、娘。解散後、短期の休業を経てソロデビューした。
そのときでもまだ15歳だった。

元モーニング娘。として、最初の数曲はそれなりに注目された。
しかし1曲ごとにCDのセールスは振るわなくなり、最近ではほとんど新曲も出していない。

それでも新垣はかたくなに仕事を歌手活動に限定しているという。
タレントとして芝居やバラエティ番組の依頼もあっても、全て断ってしまっているらしい。

娘。解散のとき、新垣はこう宣言した。
「私は歌手でありつづけます」
その宣言に、忠実であろうとしているのだろう。
自分の言葉で自分を縛り付けてしまう。
それも、新垣らしい。

だが、CDのセールスが伸びない以上、歌手としての評価は下がる一方だった。
いくつも所属事務所を転々とした。

新垣が結婚したのは20歳のときだ。
いわゆる『できちゃった婚』だったらしい。
相手はその頃、少し売れたバンドのギタリストだった。

その頃の新垣には会っていないが、まるで熱に浮かされるように相手にのめりこんでいると、人づてに聞いた。
生真面目な新垣の、初めての恋愛だったのかもしれない。
しかし、相手の評判はすこぶる悪かった。

結婚生活はすぐに破綻した。
バンドは売れなくなって解散し、新垣と幼い子供は無職になった夫の暴力にさらされた。
女性問題もあったらしい。
やがて離婚になった。

そんなときばかり、マスコミは新垣を話題にした。
そしてまた、すぐに見向きもしなくなった。

子供は新垣が引き取った。
女の子で、2歳になるはずだ。
現在では、経済的理由もあり、施設に預けているという。

99 :【保田圭2011】:01/10/09 22:46 ID:Trr3B7Yc
「子供がいると大変ですよね」
目をそらして、新垣が言った。
「そうね」
何気ないふうを装って、答える。
「本当は、なんでもしなきゃ、いけないんですよね」
新垣の顔が、苦悩にゆがむ。
「...」
「責任がありますもんね。親として。いつまでも自分のことばかりじゃ...」

ずっと、そう悩みつづけてきたのだろう。
身近に相談できる相手がいないのかしれない。
顔をそむけたまま、新垣は続けた。
「わかってるんです、本当は。このまま続けていても無理だって。だけど、私、どうしてもあきらめられなくて。離婚して、施設に預けて、子供には本当に申し訳ないんだけど。私...」
「そうよね」
無理やり遮った。
「こんな仕事、続けてるとね。二人ともママ失格よね」
冗談めかしてみる。
そんな落とし方か。
自分に失望する。

「私も、何日も会えないときも多いしね」
「...そうですか」
新垣がようやくこちらを見た。そして言い放った。
「私、どんなことがあっても、2日に一度は娘に会って抱きしめてやることにしてるんです」

失礼にもほどがある、といえるだろう。
だが、思わず口をついて出てしまったその言葉は、今の新垣を支える小さくても譲れない誇りなのに違いない。
「...」
新垣の顔に後悔の色が浮かんだ。

「それは、いいことね」
笑顔で言った。
笑顔を続けるしかない。

突然、ノックの音が響いた。
正直のところ、救われた思いがした。
返事をすると、スタッフの青年がドアを空けた。
「お待たせしました。中澤さん、玄関に到着したそうです。スタンバイ、お願いします」
「はい」
答えを確認すると、青年は慌しく走り去った。

「さあ、1時間半の大遅刻おばちゃん来たよー。どんな嫌味をいってやろうかねえ」
伸びをしながらそういうと、新垣が吹き出した。

二人で鏡に向かい、メイクを直そうとしていると、またノックがした。
「はい?」

ドアが開いた。
中澤裕子が立っていた。

「な...」
その姿に、思わず椅子から立ち上がる。

新垣も立ち上がり、目を丸くして中澤を見つめている。

100 :【保田圭2011】:01/10/09 22:47 ID:Trr3B7Yc
いかがでしたでしょうか。
入ったばかりのメンバーの、娘。解散後のエピソードを考える(←ひどい話です)のがこんなにきついとは思いませんでした。
想像をふくらまそうにも、まだTVでもほとんど見たことが無いわけですし。
あと3人もいるんですね。さて、どうしましょう。

それにしても今回の分はどんなことがあっても新垣里沙本人には見られたくないですね(まず見ることも無いでしょうが)。
中学1年生の女の子にこんな真っ暗な未来...。
フィクションとは言え、しゃれになりません。
じゃあ何で書くんだよって話なんですが(←自己矛盾)。

などといいながら、構想(妄想)が進むにつれて頭の中で、不幸な元娘。(←2011年現在)が増え始めています...。
うーむ。

ではまた。

101 :名無し募集中。。。:01/10/10 01:38 ID:dmj0GT5Y
どうした中澤?

102 :名無し募集中。。。:01/10/10 22:11 ID:38fmynJM
保全書き込みです

シュールな展開になりそうですね。小説総合スレでも更新情報対象作品になったようです。

103 :名無し募集中。。。:01/10/11 22:23 ID:hFv.VmxY
ホゼム

ダーヤスの旦那は一体・・・

104 :【保田圭2011】:01/10/12 23:09 ID:uV0mUhRc
>>101
こんなことでした(↓本編ヲドウゾ)。

>>102
お世話になります。すいません。
小説総合スレには自薦で出しましたので、チェックしていただけているようです。

>>103
お世話になります。
保田の結婚相手は、近々登場します。

ところで、びっくりしましたね。市井復帰報道。
実はこの小説に福田・石黒・市井も登場させるつもりなんですが、市井をどうするか迷っています。
元々は再デビューはできなかった、という設定だったのですが...。

前後にコメントをつけるとどうにもくどいので、今回からコメントは前だけにします(反省)。
基本的に1節3分割というのは変わりません。
最初に節番号を、最後に[to be continued]と入れることにしました。
あらゆる点で模索中です...。

では>>99の続きです。

105 :【保田圭2011】:01/10/12 23:10 ID:uV0mUhRc
#6

「あんた、なによそれは」
「やっぱ、だめ?」
「...」
中澤裕子は、対談番組の司会者らしく、髪を結い上げ、淡橙色のスーツでシックに品良くきめていた。
だが...。
顔だけは、まるで子供が母親の化粧道具を悪戯をしたような、幼稚園児の塗り絵のような滅茶苦茶なメイクをしていたのだ。
「な、なんなの、一体?」

「ごめんよおおおおおおお」
飛び掛るように抱き付いてきた。
「何、だから何ッ」
「今日圭ちゃんたちがゲストだったから、つい油断して昨日深酒しちゃって...」
「やっぱりか、あんたはッ」
「朝起きたら、顔がむくんでたのよ。どーにもなんないのよッ」
「...」
「あきれんといてッ。あたしがどんな想いでメイクしたと思ってん。必死やで必死」
「...逆切れかいッ」
「懐かしなぁ、その表現」

「その顔で家から来たんですか...?」
おずおずと新垣が聞いた。
「おー。まーな。タクシーのおっちゃんにじろじろ見られてん」
「...」
「なんや、なんか文句あるんか?」
「あ、いぇ」
と、突然今度は新垣に抱きつく。
「文句、あるんやったなあああ。ごめんよおおおお」
「???」
「スタッフがあんたの出演希望断ってたんやなあ。今回始めて知ったんやあ。知らなかってんやあ。堪忍やあ、新垣ぃぃ」
抱きつかれたまま、新垣は固まっている。

「...裕ちゃん、あんたねー」
「なに」
「大遅刻したのを、そのふざけたメイクとハイテンションでうやむやにしようったってそうはいかないよ」
「ちっ」
こちらを睨み付けると、新垣を放して、腰に手を当てて仁王立ちになった。
「ばれちゃあしょうがねえ。さあ、許せっ」
胸をそらして言い放った。

新垣が吹き出した。
つられて笑ってしまう。
中澤も笑う。
「一件落着やな」

いつのまにか、ここは娘。時代の楽屋だ。

106 :【保田圭2011】:01/10/12 23:11 ID:uV0mUhRc
プロデューサーが来て、中澤の顔を見るとひとしきり笑ってメイク直しを厳命して出ていった。

「まあ、この顔じゃ出れんわな」
そう言うと中澤は、ピリピリと自分のメイクをはがし出した。
「!」
「びっくりした? これ簡単にはがれるパーティグッズの化粧なんよ」
「あんた、そんな物まで用意して...」
中澤はぺろりと舌を出した。
「だってさぁ、怖かってん。二度寝してしもうて。圭ちゃんも新垣も何年かぶりに会うのにさあ、怒っとりゃせんかって」
「怒る気も失せたよ...」
「せやろっ、せやろっ」
剥がしたパック状のメイクの残骸を、指で回してはしゃいで見せる。
「...子供だよ、裕ちゃん」
「あ、嫌味やぁん。二人とも子供いるからって、ずーっと一人モンのあたしに、嫌味やぁん」
「もー、怒ってないからテンション下げてよ」
「下がらへぇんっ、下がらへぇんっ」
今度は二人ともに抱きついた。
「...裕ちゃん?」
「中澤さん...」
「...うれしいの...」
二人の頭を、ぎゅっと抱きしめた。
「...へへへ、ごめんね。うれしくてうれしくて。ようやく娘。のメンバーが来てくれてさ」
薄く浮かんだ涙を、指でぬぐった。
「娘。のメンバーだった娘で出てくれるのは高橋と吉澤以来やし。あの頃は私も一杯一杯でさあ。ちゃんとできなかったし」

高橋と吉澤が『裕子の部屋』に一緒に出演したのは、まだ番組が始まって間も無い頃だ。
オンエアを見た。
(あれはちょっと可哀想だったな...)

「なのに、遅刻かい」
「...許すゆーたやん」

107 :【保田圭2011】:01/10/12 23:12 ID:uV0mUhRc
「この部屋広いやん。椅子並べて、一緒にメイクしよ」
完全に中澤のペースになった。
懐かしい雰囲気だ。
「娘。の頃みたいですね」
新垣が言った。
中澤のペースに巻き込まれて、元気になったようだ。
新垣たちが娘。に加入したのは、中澤が卒業した後だ。
しかし、同じハロープロジェクトのメンバーとして、何度も同じステージに立っている。
中澤だけは卒業後も、娘。解散のときまで現役メンバーと近い距離にいた。

「おー。むくみも取れとる取れとる」
「そりゃあ、そうよ。今何時だと思ってんの」
「すまんのぉ」
「みんな、自分でメイクするんだね」
「まーかせろ。年期入っとるからね。新垣、やったろか」
「...いえ、いつも自分でやってますから」

新垣にはメイクスタッフを頼む余裕は無いのだろう。
「そりゃやだわ。あんなもん見せられちゃ」
さっきのパーティグッズのせいにしてみる。
「なにおう。見せてやるワイ。わしの実力」
中澤は大げさなアクションで、自分の頬にファンデーションを塗り始めた。

「新垣、圭ちゃんの方が先輩やから、ようけ映すけどええな」
「はい、それは、もう...」
「正味40分くらいの番組やから、圭ちゃん21分、新垣19分くらいやな」
「えー、そんなもんかい。私22分、新垣18分!」
「あんた21分30秒、新垣18分30秒でどうや」
「しょーがない、その辺で手を打つか」
「(後でスタッフに言って、編集で逆にしてやるからな)」
「(...わーい)」
「そこっ、密約しないっ」
急がなければならないのに、ついつい無駄話に花が咲く。

話が途切れたとき、中澤が向き直り、かしこまっていった。
「今日は本当に来てくださってありがとうございます」
「こちらこそ」
「こちらこそ、ありがとうございます」
「台本にもお願いとして書いてあるし、分かっているとは思うんだけど...」
「...」
「圭ちゃんが私や新垣の話をしたり、新垣が圭ちゃんの話をするのはいいんだけど、他のメンバーについては極力触れないでください」
触れられないメンバーの件がある。
そのメンバーだけ、話題から外すのは不自然だ。
だから、いっそのこと他のメンバーの話もしないで欲しい、ということだ。
「...」
黙ってうなづいた。

「そしたら、私先にいくわ」
先にメイクを終えた中澤が席を立った。
「すぐに呼びに来させるからな、ちょっと待っとってな」
手を振りながら、ドアに向かった。
「OK」
「はぁい」

ふと、中澤がこちらを見ているのが、鏡に映っているのに気付いた。
こちらが気付いたことに、中澤は気付いたろうか。
すっ、と部屋を出ていった。
(裕ちゃん...?)

見間違いだろうか。
ほんの一瞬だったけれど...。
それは、今まで見たことが無い表情だった

恐ろしいほどの、憎悪に満ちた...。

[to be continued]

108 :名無し募集中。。。:01/10/13 11:03 ID:IqyXkNtI
保田の旦那は、アキヒト?
アヤカの紹介?(w
保田って今歌手?

109 :名無し募集中。。。:01/10/13 22:49 ID:Ti72ZJdo
中澤の視線の先は、保田か新垣か・・・

110 :名無し募集中。。。:01/10/13 23:55 ID:gRyc6bSQ
>>作者さま
この数日間、続きが読みたくて仕方がありませんでした。
次も期待してます。早く更新してくださいね。

111 :110:01/10/13 23:57 ID:gRyc6bSQ
すみません、間違えてageてしまいました。ごめんなさい〜〜。

112 :名無し募集中。。。:01/10/14 00:12 ID:z5Vr5q.c
作者さん
マジ面白いっすよ
結構書くの大変だと思いますし
まぁネット上でしか発表できないもんでしょうから
そうそうすぐに更新ってわけにいかないだろうけど
続き期待してます
あ、最後に、「アーチスト」じゃなくて「アーティスト」
じゃないすかね?
いや、まぁどっちでもいんですけど

113 :名無しさん:01/10/14 01:48 ID:NaY6FYuU
>>5
超亀レスでスマソだが、俺とまったく同じ意見だ(w

114 :名無しさん@束の間の里帰り:01/10/14 21:42 ID:jit/3mUz
>>【保田圭2011】さん
オモロイ、感動した! っていうか、次の展開が予想つかないです。
小生、ヤスヲタで元ここの住人なのですが、久し振りに里帰りしたら、こんな
読み物が展開されていたとは!(以前住んでいた頃は、オモロイのほとんどナカタ)
>>91の「過去いちどもB型のメンバーはいません」も全然気になんないくらいです。
続き期待してます。最後に、乱筆をお詫びします。

115 : :01/10/15 18:25 ID:EbVtgZ7q
気をつけないとスレ自体がなくなっちゃうよ。

あと誰かこっちの後書かない?
tp://choco.2ch.net/test/read.cgi?bbs=ainotane&key=1002797776

116 :名無しさん:01/10/16 17:54 ID:Fag20dHU
保全

117 :【保田圭2011】:01/10/16 22:26 ID:WfA5TpuJ
【保田圭2011】

更新が遅くてすいません。
風邪をこじらせて寝込んでいます。仕事もやばい...。
のに、書いちゃいました(w

>>108
保田の夫は2節か3節後に登場します。彼の正体(wはその時に。
ちなみに2011年では夫婦別姓が一般化しています。
それから、>>97に新垣の「バラードなら今は保田さんが一番でしょう」という台詞があるんですが...。

>>109
実は中澤は鏡自体を睨んでいた、というトンチ落ち......だけはありません、はい。

>>110
ありがとうございます。
しばらくはこのペースになってしまいそうです。

>>111
結構怒られますので、お互い気をつけましょう(w。

>>112
ありがとうございます。
「アーチスト」...確かに変ですね。
でも無意識にこう打っちゃいましたので、これで通します。

>>113
それに>>9と突っ込んだのは、私だったりします。
あ、どうでもいいですね(w。

>>114
ありがとうございます。
血液型の件、またやっちゃいましたか...。
確か「MUSIX」でそう言っていたと思ったのですが、これは私の聞き違いか、記憶違いでしょう。
そもそも「MUSIX」でやったのは占いではなく、血液型別行動学のようなものでしたね。
実は手元には現役の娘。のデータしか無いのです。
作中としては「占い師がまちがった」ということにしてください...。すいません。

>>115
気をつけたいところなのですが、いろいろ思うに任せません。

>>116
これは私。今回は自分で保全できましたです(w。

では>>107の続きです。

118 :【保田圭2011】:01/10/16 22:27 ID:WfA5TpuJ
#7

収録が始まった。

いつものテーマ曲。
いつものように画面は、花瓶の花から司会者へ。
「皆様、こんにちは。『裕子の部屋』の時間です」
いつもと同じオープニングだ。

「今日は私にとって特別なゲストをお迎えしています」
軽い会釈の後、中澤は話し出した。
「もう10年前になります。私がモーニング娘。というグループに所属していた頃、一緒に苦楽を共にしました、保田圭さんです」
カメラがこちらを捕らえる。
タイミングを外さないように、なるべく優雅にお辞儀をする。
「保田圭です」
「そして、もうひと方。私がモーニング娘。を卒業した年に、追加メンバーとして入られた、新垣里沙さんです」
カメラが新垣の方を向く。
すかさず、お辞儀をする。
「新垣里沙です。よろしくお願いします」

「さて、モーニング娘。は...」
中澤がモーニング娘。について説明を始めた。
娘。解散からもう8年が過ぎている。
移り気な世間の人々のほとんどは、とっくに娘。を記憶の片隅に追いやってしまっているのだ。

現在の中澤の話し方は、大阪弁のアクセントは残っているのに、不自然さがまるで無い。
娘。の頃は大阪弁が前に出ると、真面目に司会をしていてもコントのようにしかならなかった。
今ではむしろ、エレガントにすら感じられる。
計算しつくし、鍛錬を極めたものなのだ。

「保田さんは、本当に今ご活躍で...」
「いえいえ、まだまだです」
「ところで、新垣さんは...」

流れるように、二人に均等に話題を振ってゆく。

不遇時代、理不尽な出来事、新垣の離婚のこと...。
辛い話題も取り上げなければ嘘になる。
しかし、話し手は不快も苦痛も感じることなく、むしろ進んで話してしまうようだ。
そして、結論はいつも前向きでさわやかだ。

これが話術というものか。
見事なものだ、と思った。

119 :【保田圭2011】:01/10/16 22:28 ID:WfA5TpuJ
「昨年のニューヨークでの公演はいかがでしたか?」
「はい」
「大成功だったとお聞きしておりますが。おめでとうございます」
「ありがとうございます。でも、力不足を痛感しました」
「あら、バラードの保田圭ともあろうお方が」
「そんな、もう、いえ、そんなことはありません」
「バラードの曲というとあなたの声が思い浮かびますね」
「ありがとうございます」
「それではここで、皆さんには保田圭さんのニューヨーク公演の中から一曲お聞きいただきたいと思います」

一度だけ休憩が入った。

「すまんなあ、普段はもうちょっとゆったり収録できるんやけど」
「大丈夫、ね、新垣」
「はい。中澤さん、ホントにお話上手ですよね。どう話そうか困ってたことも、自然に話せました」
「そうかぁ、よかったよかった」

スタッフの一人が駆け寄ってきて、小声で告げた。
「あの、多賀さん、急用とかで先に帰られました」
またか。
まあいい。不良マネージャーの素行には慣れている。

「再開しまぁす。スタンバイお願いします」
「はぁい。よっしゃ、もうひとふんばりや、いくで」

収録中と休憩中のギャップも凄い。
セットに戻ると、エレガントな中澤裕子がにこやかに座っていた。

120 :【保田圭2011】:01/10/16 22:29 ID:WfA5TpuJ
「お疲れ様でした〜」
収録は順調に終了した。

中澤と新垣がスタッフのところを回り、改めて遅刻を詫びる。
なんとなく一緒に頭を下げて回る。
「なんか、すまんのう」
中澤が笑った。

楽屋に戻り帰り支度としていると、中澤がやって来て遅い昼食に誘った。
「どう? 遅刻のお詫びにご馳走するよ」
まだまだ、話したいことがたくさんある。
「いいねえ」
「はい、ぜひ」
新垣もうれしそうにうなずいた。

そのとき、携帯がメール着信を告げた。
多賀からだった。
『至急 収録終了後、急ぎ事務所に戻れ』

クビにしておけば良かった。
本気でそう思った。

「残念やなあ」
「ホント、電話するね今度」
「おう」
「お疲れ様でした〜」
「お疲れ様〜」
中澤と新垣は、中澤の車を停めてある、関係者用の地下駐車場に消えていった。
中澤の事だ。運転しながら新垣に子供を見せろと迫るに違いない。
もちろん、新垣の子供にもご馳走するためだ。
強引な中澤も、困惑する新垣も、側で見ているのはなぜかとても楽しい。
娘。時代には毎日のように見ていた光景だ。

「ふう」
溜息が出た。
何かものすごく損をしたような気がする。
しかし、多賀からの急な呼び出しというのは珍しい。
(何事だろう)
とりあえず、ワンフロア上の関係者用のタクシー乗り場への階段を昇った。

大きなガラスドアから、タクシー乗り場に出ようとしたとき...。

「ヤッスー」

背後から声をかけられた。
毎日のように聞いている、でも懐かしい声。

振り返ると、あの笑顔があった。

[to be continued]

121 :名無し募集中。。。:01/10/16 22:49 ID:ASpfxdtF
ああ、何時もいつもいいところで・・・・
NY公演行きてぇなあ。

続きが楽しみです。お体をご自愛ください。

122 :名無し募集中。。。:01/10/16 23:42 ID:XkMynC+A
>>121 ・・・本当に。NY公演、聞けたらいいなぁ。

>>作者さま
今日も楽しませていただきました。お身体、どうぞお大事に。

123 :名無し募集中。。。:01/10/17 20:34 ID:hr+cSzLj
保全

( `.∀´)<この声は・・・・

124 :名無し募集中。。。:01/10/18 00:05 ID:+ZVJ6Yf1
おおーっ!更新されてるっ!
やったー、最初っからずーっと応援してるぜ〜♪

…まだ読んでないけどな。

125 :名無しさん:01/10/18 05:57 ID:0E2l3bt6
保全

126 :名無しさん:01/10/18 05:58 ID:0E2l3bt6
上げちまった・・・
すまん

127 :保全:01/10/19 06:35 ID:QP0C8Na9


128 : 保全:01/10/19 07:38 ID:gZHm2FFT
田裸

129 :名無し募集中。。。:01/10/20 00:24 ID:Wlptmb1G
ホゼン

130 :名無し募集中。。。:01/10/20 00:56 ID:wWomJ3Ag
>>127-129
まだ平気だよ、スレ数と最終レス見てからやれよ。

131 :【保田圭2011】:01/10/20 23:05 ID:mC1qdXnY
>>121
ありがとうございます。

>>122
ありがとうございます。

おかげさまで来週には仕事にも本格復帰できそうです。
今年の風邪は性質が悪いようなので、皆様もどうぞお気を付けください...。

>>123
お世話になります。
あははは。そーきましたか。

>>124
ひょっとして、3度目ですか?
あ、あなたは一体(w

>>125
>>126
>>127
>>128
>>129
>>130

お世話になりますです。

では>>120の続きです。

132 :【保田圭2011】:01/10/20 23:06 ID:mC1qdXnY
#8

「ヤッスー」
「くぉら、せめて『圭ちゃん』と呼べっ」
「へへへへへ」
吉澤ひとみは、相変わらずの屈託の無い笑顔を見せた。
「久しぶりだね」
「久しぶり〜、圭ちゃん、冷たいんだから」
「ごめん、ごめん。しかし、凄いカッコだね、そりゃ」
吉澤は、赤い全身タイツにわけのわからない飾りが山ほどついた衣装を着ている。
「コントの収録中にさあ、撮影機材壊れちゃって、休憩になっちゃったんだ」
「こんなカッコなら、スタジオに居なさいよ」
タクシー乗り場への出口は、正面玄関にも近い。人通りも多い。

「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
吉澤が周囲もはばからず、絶叫した。
「なんて冷たい人なの。『裕子の部屋』の収録が終わったって聞いたから会いに来たのに〜」
「えっ」
「もう帰ったって言われたから、慌てて追いかけてきたのに〜」
「ご、ごめんごめん」
「許せな〜〜〜〜〜〜い」
そう言いながらも、吉澤は言葉とは逆にニコニコと笑っている。

「よ、吉澤も『裕子の部屋』出たんだよね...」
「なに話そらしてんの〜」
「あ、いや」
「...あの時はね〜、悔しかったな〜。高橋に随分差ァつけられちゃってたしぃ」
そういいながらも、ニコニコ笑っている。

「そう、これこれっ」
吉澤は右手を突き出して見せた。
滅茶苦茶な衣装に不似合いなカジュアル・ウオッチは、2年ほど前に贈ったものだ。
「あ、してくれてるんだ」
「うん。いっつも付けてるよ。ちゃんと御礼言えてなかったから、絶対今日会って言いたかったの」
そういって、一層うれしそうに微笑んだ。

「ありがとう」
「どういたしまして」

133 :【保田圭2011】:01/10/20 23:07 ID:mC1qdXnY
吉澤ひとみは、娘。解散後、マルチタレントとしてソロ活動を開始した。
当初はCD発売やドラマ出演もあったが、振るわなかった。
次第に芸人のような活動が増えていった。
現在では、一把ひとからげの芸人たちとバラエティ番組に出ていることが多い。

「ヨシザワ、おまえホントに元モーニング娘。なのかよ」
「ヨシザワ、元アイドルのなれの果てだよな」

意地の悪い共演者にそんなことを言われているのを何度も見た。
それでも吉澤は、言い返したり、逆らったりはほとんどしない。
いつでもニコニコと笑っているだけだ。

チープなゲームに参加して、粉まみれになったり、びしょぬれになったりしても同じだ。
ただニコニコと笑っている。

バラエティ番組でリアクションの悪いタレントなど、すぐに飽きられてしまいそうなものだが、吉澤の場合は違うようだ。
その何やらフワフワとした存在感が視聴者に受けが良いらしい。
なんだかんだで、それなりの人気、というものをキープしている。

そして今、テレビ番組などで、単に「ヨシザワ」といえば吉澤ひとみを指すようになった。
元娘。の中では、もっともコンスタントに活躍してきた一人といえる。
最近では、子供番組のダンスコーナーを持って、小さな子供にも人気がある。

数年前、『裕子の部屋』に高橋愛と二人で出演したのは、高橋愛が曲をヒットさせた直後だった。
元娘。の成功者とそうでないもの。
そう言った見せ方をしたいという意図がありありと見えた。
中澤も不慣れだったせいもあったのだろう。
終始、高橋を持ち上げ、吉澤を貶めるような内容になってしまっていた。
それでも、吉澤はニコニコと笑っていた。

その時、高橋と吉澤はお揃いの時計をしていた。
それは娘。解散時にプロデューサーのつんくから贈られた腕時計だった。
有名なブランドに特注された、解散時のメンバーだけに贈られたものだった。
先に卒業した娘。たちは、ずいぶん羨んだものだ。
「宝物ですね」
中澤にそう問われると、吉澤はうれしそうに答えた。
「いつでも肌身はなさず持っている、いちばんの宝物です」

それから数ヶ月後、生放送のバラエティに吉澤が出演したときの事だ。
ドッキリと称して、出演者に秘密の企画が行われた。
出演者の私物を小型のプレス機にかけて壊してしまうというくだらないものだった。

吉澤は、楽屋においてあった解散記念の腕時計を、プレス機にかけられた。

「やめて!」
吉澤は絶叫した。
しかし、二人の男性タレントに押さえつけられて、身動きすらとれなかった。
「お前にはもったいないんだよ、こんなもの」
司会者のタレントは、へらへらと笑いながら、プレス機を操作した。
耳障りな金属音と共に、腕時計は砕け潰れた。

吉澤は呆然とその光景を見ていた。
声も出せなかった。
「うぜぇんだよ、お前」
突き飛ばされ、ステージ上にへたり込んだ。
起き上がる事もできなかった。

観客から、同情の声が上がった。
やがて大きなブーイングとなった。

適当な司会者のコメントの後、CMになった。
CMが空け、何事も無かったように別のコーナーが始まった。
そこに吉澤の姿は無かった。

134 :【保田圭2011】:01/10/20 23:08 ID:mC1qdXnY
偶然、その放送を地方で見ていた。
画面に映った微笑みを失った吉澤の顔に、打ちのめされる思いがした。
すぐにも、吉澤の近くに行きたかった。
しかし、ライブツアーのリハーサルの最中で、どうする事もできなかった。

空き時間に何度電話しても、コール音だけが空しく響いた。
翌日、ステージ当日だったが、時間をもらって店を探した。
そのとき自分に買える精一杯のもので、吉澤に似合いそうなものを探した。
カードにメッセージを書き、配送してもらった。

数日後、吉澤から電話があった。
「ありがとう、うれしいよ〜」
電話の向こうの声は、いつもの明るい吉澤ひとみだった。

吉澤の腕時計を壊した企画は、吉澤本人にも、吉澤の事務所にも無断で行われたものだった。
事務所は完全に怒ってしまい、裁判沙汰になりかけた。
結局、吉澤本人の希望で、全て水に流される事になったのだそうだ。
責められるべき者たちが不平面で居る中、吉澤一人がニコニコと微笑んでいたと人づてに聞いた。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

「いっつも、うちの子、あんたのダンスの見てるんだよ」
「あ〜。見てくれてるんだ。うれしいなぁ〜。いくつだっけ」
「ひとつ半。男の子」
「写真っ、写真を見せろぉ」
「あ、持ち歩いてないんだ、私」
「え〜、冷たいママだなぁ」
「...そうかな」
不意に、新垣が言った言葉が胸をよぎった。

「ヨシザワさ〜ん、そろそろスタジオにお願いしま〜す」
番組のスタッフだろう。声がかかった。
「ちぇ、もうかぁ」

「じゃあね、よっすぃー」
懐かしい呼び方でいってみた。
「またね、ヤッスー」
「くぉら、『圭ちゃん』と呼べい」
げんこつを作って、選手宣誓のように突き出して見せた。
吉澤も真似して、腕を突き出して見せると、手を振ってから階段を駆け上がっていった。

最後まで笑顔のままだった。
辛い事や悲しい事は、あの時だけではなく、今でもたくさんあるはずだ。
でも、いつも、吉澤は笑顔のままだ。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

「遅いぞ、なにやってたんだ」

事務所に帰りつくと、多賀が怒鳴りつけてきた。
無視してタクシーの領収書を多賀の机に放り投げた。
多賀は、塩をなめたような顔でそれを拾うと、未整理の書類の上に放った。

「急になに? 久しぶりに昔の友人に会えたのに」
食って掛かりたいような気もあったが、冷静に聞いた。
呼び出しがかかったおかげで吉澤にも会えたが、それは黙っておく。

こちらの不機嫌を意に介さず、多賀は話し始めた。
「明日から10日間の予定で渡米する予定...」
次のシングルのレコーディングと、プロモーションビデオ撮影の予定だ。
「それから、帰国後のプロモの予定...」
テレビ、ラジオなどに集中的に出演する予定になっていた。

「全てキャンセルした」

[to be continued]

135 :名無し募集中。。。:01/10/21 02:21 ID:QeOkIh/P
元娘。達はホントよく頑張ってるね。
それにしてもとてつもなくheavyな予感

136 : :01/10/21 18:27 ID:PUshQzug
あら?更新されているのに感想が少ないな。

じゃ、私が初めての感想を。

えっと、娘関連の小説はコレが初めて継続して読んでいます。
作品の中に漂うサスペンスな感じが良いです。
面白いですので作者さんがんばってください。

137 :名無しさん:01/10/22 00:07 ID:ZUfeQWed
ひそかに楽しんでいます。
24歳女のくせに、実はモーニング娘。は誰が誰か区別がつかないレベルだったのですが、
なんだか全員いとおしくなってきます。読んでると。
コレからも楽しみにしていますね。

138 :【保田圭2011】:01/10/22 00:28 ID:n0H21wrH
>>135
書きこみいただき、ありがとうございます。

>>136
初書き込みとのこと、ありがとうございます。
感想をいただくと、何より励みになります。
実際、書いているときはかなり孤独で(w。

>>137
おお、女性の方ですか。
登場人物があらかた女性なので心理描写などちゃんとかけているか不安なのですが、いかがでしょうか?
これからもよろしくお願いします。

では>>134の続きです。

なお、文中に登場する『ハルギスタン』は架空の国名です。

139 :【保田圭2011】:01/10/22 00:29 ID:n0H21wrH
#9

「どういう事!」
思わず、声を荒げて机を両手で叩いた。
事務所スタッフの何人かが、驚いてこちらに集まってきた。
多賀がうるさそうに手を振って散らせる。

今回のロサンゼルスレコーディングは、前回のアルバムに協力してもらった現地のスタッフ、アーチストに招かれてのものだ。
『本物』を知る有能な人たちに認められ、とても光栄に思っている。

シングル予定曲『未来へ』はアルバムからのシングルカットだ。
この曲は、現地アーチストから提供してもらったものだ。
表題曲ではなかったが好評で、自分でも気に入っていた。
アルバムバージョンでは英語だったが、シングル向けに日本語詞をつけてもらった。

この曲はきっと自分の代表曲になる。
そんな予感があった。

「勝手にそんな事...」
「社長の了解は取り付けてある」
「そんな...私、なんにも聞いて...」
「詳細な話は、会議室でする。お偉いさんが集まってる」
「えっ」
多賀はこちらの返事も待たずに、資料のファイルを持つと歩き出した。
仕方なく、後に続く。

会議室の扉には『重要会議 関係者以外立ち入り禁止』と書かれた紙が貼られていた。

ノックをして、多賀と共に部屋に入った。
「失礼します...」

会議室は、重苦しい雰囲気だった。
なによりも、社長や重役たちが目の前に並んでいる事が圧迫感を与えてくる。

こんな事は、昨年のニューヨーク講演以来だ。
あの時は事務所始まって以来の大きな仕事だった。
では、今回は...?

社長は一見したところ、ただの人の良さそうな中年紳士と言った感じだ。
しかし、業界では知らないものはいない敏腕プロデューサでもある。
「納得いかないようですね」
ぎこちないこちらの様子を見て、にこやかに話しかけてきた。
「でも、現在のプロジェクトを中断するに足る、素晴らしいプロジェクトですよ」

「今度こそ、世界に通用するものをやれるよ」
重役の一人が言った。
肯定的な意味で言ってくれているのは解かっているが、ちくりと胸に刺さった。

(やっぱり、あのニューヨーク公演は誰も満足していないんだ)

140 :【保田圭2011】:01/10/22 00:30 ID:n0H21wrH
「まずは、本人に曲を聞いてもらおうと思います」
そう言うと、多賀はメモリマンをテーブルに滑らせてよこした。
ヘッドフォンのみのウォーキングステレオだ。
「聞け」

しぶしぶメモリマンを拾い、耳にセットした。
リモコンのスイッチを入れた。
ゆったりとした前奏が始まった。
不思議な旋律だった。
やがて、歌が始まる。
女性のようだ。
聞いた事の無い言語だ。
(なんだろう、この歌は...)

胸が締め付けられる思い。
悲しさ、せつなさ。
空しさ、絶望。
それだけではない、何か。
希望? それとは少し違う。
魂がゆすぶられるようだ...。
涙が流れそうになった。

心を奪われた。

やがて、曲が終わった。
しばらく、口も聞けなかった。
たまりかねて、重役の一人が聞いた。
「どうかね」

「この曲は、一体...」
「ハルギスタンという国を知っているか?」

聞いた事がある。
中央アジアにある、荒地ばかりの貧しい国だ。
この10年の混乱でたくさんの難民が雪崩れ込み、元の国民の10倍にもなっているらしい。

「そこの難民たちの間で、自然発生的に生まれた曲らしい。歌っているのはイスラムの歌手だ」
「じゃあ、これはイスラム語...?」
「いや、それが奇妙な事に、エスペラント語なんだ」
多賀が説明を引き継いだ。
「タイトルは『祈り』という意味だ。これもエスペラント語だ」

エスペラント語。
確か世界共通言語を目指して人為的に作られた言葉だ。
(昔、誰かに聞いたな...)

「この曲に賭けよう、保田。それだけの価値はある」
多賀が、じっとこちらを見つめていった。
「せっかくロスにできた人脈を無くすかもしれんが、この曲を聞けばきっと解かってもらえる」

考えるまでも無く、頷いていた。

(私は、この歌を歌いたい)

141 :【保田圭2011】:01/10/22 00:31 ID:n0H21wrH
打ち合わせは深夜にまで及んだ。
これからの予定、計画が説明され、煮詰められた。
中でも、仰天したのは多賀の決意だった。

「俺は手続きが出来次第、ハルギスタンに飛ぶ」
権利関係の調査もある。
しかし、何よりもこの曲が生まれた土地へ行きたいのだという。
ハルギスタンは危険な国だ。
難民キャンプでのテロも珍しい事ではないという。
通常の旅行では行けない国に指定されている。
そんな事は眼中にないようだ。
これほど熱意を持って事に当たる多賀を始めて見た。

「私も行きたい」
思わず、そう言ってしまった。

この歌の生まれた所へ...。

多賀や、社長たちが慌てて諌めた。
「あなたは大事なアーチストです。それにプライベートでは母親でもあるのですから...」
「...」

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

自宅のマンションに帰りついたとき、深夜2時をまわっていた。
全く疲れは感じない。
むしろ、興奮状態が続いていた。
(いかん、いかん)
胸に手を当てて、深呼吸した。
(アーチストはここまで、ママに変身)
なるべく音を立てずに、マンションの鍵を開けた。

足音を忍ばせて部屋に向かう。
ドアを開け、電気はつけずに廊下の明かりを頼りに中を覗く。

一人息子の真は、ベッドの中で安らかな寝息をたてていた。

(しーん、ちゃん)

声を出さず、口だけを動かして呼んでみる。
無論、真は気付くわけも無く、すやすやと眠りつづけている。
抱きしめたい衝動に駆られるが、思いとどまる。
起こしては可哀想だ。

予定が全て覆ってしまったため、数日間は連絡待ちの自宅待機となった。
(ひさしぶりに、ずっと一緒にいられるなぁ)

しばらくその可愛らしい寝顔を眺めると、満足してドアを閉めた。
自分の部屋に向かおうとして振り返ると、そこに夫が立っていた。

「あ...びっくりした」
「...おかえり」
「遅くなっちゃった。急に次の曲の会議になっちゃって。まだ起きてたんだ」
「話があるんだ」
ぶっきらぼうに夫は言った。

「俺たち、別れないか」
「え...。なんて言ったの?」
「離婚しようと思うんだ」

なにを言われているかわからなかった。
しばらくして、ようやく言葉の意味を理解した。

眩暈に似た感覚が襲いかかってきた。

[to be continued]

142 :名無し募集中。。。:01/10/22 02:33 ID:8nHPA3j4
蛇な予感、なのか〜。蛇いのは苦手なんだよなぁ…
ま(以下略

143 :名無し募集中。。。:01/10/22 09:32 ID:HGhlgXKh
しんのすけ(もしや春日部の野原家)?

むかしどこかのスレにヤスのシンパが増えたらいいな、と書いた覚えがあるが
ここのヤスはすげえな。こうなってほしいものだ。

144 :136:01/10/22 21:14 ID:rNyrKYv2
今回もすごい展開なり〜。多賀はこのままいい人になるのか〜?
なんかグローバルに話が広がる中、私が気になるのはナカザーの視線の伏線。
あれの解決もきっちりやって下さいね>作者様

次回の目玉は夫の正体ですね。

145 :保全:01/10/23 21:22 ID:6ZiFUlfv
田曲
圭集

146 :名無し募集中。。。:01/10/23 22:09 ID:2Ra5bs6+
>>145
惜しいずれてる

( `.∀´)<し〜んちゃん

147 :名無し募集中。。。:01/10/23 23:47 ID:NKP6J1cv
かちゅを自分好みにカスタマしてる人が結構いるからちと厳しいね。

148 :【保田圭2011】:01/10/25 00:34 ID:HvEVcbcR
>>142
ま??????

>>143
書きこみありがとうございます。
2011年なんですが...都内だし...保田みさえじゃないし...

>>144
ご愛読いただきありがとうございます。
伏線を伏線と指摘されるといざ展開に関わるときに伏線にならなくなって困(略
...なんて流行りの表現を使ってみたり(w。

>>145
また自分でやりました。どーでしょう。

>>146
ず、ずれてますか。私のではそこそこに見えるんですけど...。

>>147
あの、『かちゅ』ってなんですか...?


...では>>141の続きです。

149 :【保田圭2011】:01/10/25 00:35 ID:HvEVcbcR
#10

『そそれそれそれ、ヨシザワだーんす』
小さな子供たちに囲まれて、吉澤ひとみが歌いながら踊っている。

『そそれそれそれ、ワンツー、ワンツー』
単純なリズム。
単純なメロディ。
単純な歌詞。
単純な振り付け。
30人くらいだろうか、子供たちのほとんどは上機嫌で吉澤と同じダンスを踊っている。

中には恥ずかしがったり、むずかったりして踊らない子もいる。
それをひとりずつみつけては、吉澤が踊りながら微笑みかける。
まるで魔法にかかったように、子供たちは微笑を返して楽しそうに踊り始める。

子供たちの周囲には同じ振り付けで踊るダンサーたちがいる。
彼らは無表情に淡々と踊りつづけている。
まれに吉澤の手の届かないところで、踊りの輪から脱げ出そうとする子がいる。
そうした子は不思議なほど険しい顔をしている。
途端にダンサーは、優しいお兄さん、お姉さんに変身する。
その子を抱きとめ、微笑みながらマン・ツー・マンで踊りを見せる。
逃げ出そうとした子は、その動きをじっと見つめ、やがて微笑み、踊り始める。

(この子達は愛情に飢えているのかしら)
(だから、微笑を見せられたり、抱きしめられたりするとあっさり言う事をきいてしまうのかしら)
ふと、そんなふうに思う。

『そそらそらそら、ワンツー、ワンツー』
段々と曲のペースが上がって行き、ついて来れない子供たちが暴れるような滅茶苦茶な踊りになってゆく。
『そそらそらそら、そそらそらそら』

突然ホイッスルが鳴り、音楽が止まる。
『はいっ、ポーズ!』
子供たちはカメラに向かって、思い思いのポーズを見せる。
カッコつける子。
おどけて見せる子。
なにもしない子。

『また明日ぁ〜』
吉澤が、にこやかに手を振る。
子供たちがうれしそうに飛び跳ねている。

画面が変わってアニメが始まった。

テレビのスイッチを切る。

突然、部屋が静寂に包まれた。
がらんどうの中に一人ぼっち。

寂しさが押し寄せる。
泣き腫らした瞼が熱い。

150 :【保田圭2011】:01/10/25 00:36 ID:HvEVcbcR
「いきなり、と言う事は無いだろう。僕は前から言ってきたはずだ」
(どういうことなの)

「真の世話をほとんど僕がしているというのは、別に問題じゃない」
(申し訳無いと思ってるわ)

「正直、君の真に対しての愛情を感じないんだ」
(どうしてそんなこというの)

「仕事が大事なのはわかる」
(あなたや、真の方がずっと大事)

「君には母親として足りない部分があると思う」
(私はどうすればいいの)

「真を連れて僕の実家に戻る。ここは元々君のマンションだからね」
(あなたと、生まれてくる真と住むために手に入れたのよ...)

「しばらく別居しよう。ただこれだけは覚えておいてくれ」
(...)

「僕の気持ちは、もう完全に冷えてしまったんだ」

「私は真の母親よ!」

声を限りに、泣き叫んだ。
返ってきたのはただ、凍りつくような視線だけだった。

夫は子供を連れて、夜明け前に出ていった。
取り付く島も無かった。

ずっと自分は幸せだと思ってきた。
ずっと愛されていると思ってきた。
ずっと充分に愛せていると思ってきた。

なにもかも、一人よがりの勝手な思いこみだったのだろうか。

いつの間にか陽は傾いている。
カーペットにうずくまったまま、もうどれくらいこうしているのだろう。

一人ぼっちの部屋を見回す。

壁に掛けてある写真に目が行った。
出会った頃、結婚式、新婚旅行、出産直後の母子写真...。
どこの家にでもある、幸せな写真で満ちている。

抗菌のカーペットも、全ての角が丸い家具も、真のために買い換えたものだ。

部屋が夕闇色に染まってゆく。

虚しい。
何もかもがもう、虚しくなった。

意を決して、受話器を取った。
短縮ダイヤルを押す。
数回のコールの後、多賀が出た。

「私、ハルギスタンに行くわ」

『なんだって?』
そう叫んだ後、電話の向こうで多賀はしばらく絶句した。

151 :【保田圭2011】:01/10/25 00:37 ID:HvEVcbcR
『冗談だろう。ダンナや子供はどうするんだ』
「...もういいの」
『え?』
「...もういいの」

長い沈黙が続いた。

やがて、多賀は溜息をつくと諦めたように言った。
『...社長を説得してみる』
「...ありがとう」

受話器を置いた。

また、カーペットの上に座り込む。

テーブルの上に、事務所から借りてきたメモリマンが投げ出してあった。
手を伸ばし、耳にセットして、ボタンを押す。
『祈り』のゆったりとしたメロディーが流れ込んでくる。

不意に苛立ちが心に充満した。
メモリマンを引き剥がし、クッションの上に叩きつけた。

何をしているのだろう。
何をしたいのだろう。
何をすればいいのだろう。
どこへ行けばいいのだろう。

(私はどうすればいいの)

壁には一枚だけ、家族のもので無い写真が飾ってある。

それは、娘。の卒業記念に撮ってもらったものだ。
もう9年前になる。

自分を中心にして、
飯田圭織、
安倍なつみ、
矢口真里、
後藤真希、
石川梨華、
吉澤ひとみ、
辻希美、
加護亜依、
紺野あさ美、
高橋愛、
小川麻琴、
そして、新垣里沙...。

13人のモーニング娘。
みんな元気一杯で、みんな笑顔で写っている。

(あの頃に帰りたい...)

また頬に涙が流れた。

(みんなに会いたいな...)

[to be continued]

152 :136:01/10/25 12:36 ID:90MlcDPA
うひゃあ、だんなの正体は秘密のまますか。
今回は絶望的な感じが作品中に漂っていていいですねえ。
その中に一筋の光のような輝けるあの時代って感じで写真が一枚。

うおーーー続きを! はやく続きを!



(「かちゅ」って、2chブラウザの「かちゅ〜しゃ」のことですヨ
 >作者様 )

153 :保全:01/10/26 12:05 ID:FVYbPGyg
保全

154 :名無しさん:01/10/27 06:04 ID:48jraUyh
age

155 :名無し募集中。。。:01/10/27 06:31 ID:AckqyW92
sageでやってんのに嫌がらせすんなよ

156 :名無し募集中。。。:01/10/27 06:32 ID:AckqyW92
って折れが上げちゃった。
逝ってきます。。。

157 :ねぇ、名乗って:01/10/27 07:18 ID:IN3uNBv7
>>156
ま、この時間じゃ大丈夫でしょ。
たまには上げないと下がり過ぎちゃうからね。

158 :ねぇ、名乗って:01/10/28 00:40 ID:zoBbYsFf

sir , gay !

159 :名無しさん:01/10/28 00:44 ID:dpt6j8y4
hozennage

160 :ねぇ、名乗って:01/10/28 00:46 ID:umd3cU3Y
保全はsageでもOK.
書き込めば良い。

161 :ねぇ、名乗って:01/10/28 01:16 ID:umd3cU3Y
>作者殿
「小説総合スレッド4」
http://choco.2ch.net/test/read.cgi?bbs=ainotane&key=1000493808&ls=20
このスレに推薦してもいいかな?

162 :【保田圭2011】:01/10/28 01:44 ID:gfK/f4r7
>>152
毎度ありがとうございます(ってちょっと変な挨拶ですね)。
更新遅くてすいません。
がんばってはいるんですが、なかなか時間が確保できません。
「かちゅーしゃ」というものがあるんですか。なるほど。
教えていただき、ありがとうございました。なにせ、2ch初心者なもので。

>>153
これ、私です。また『保全』縦書きネタを考えたんですが、挫折しました(w。

>>154
>>155
>>156
>>157
>>158
>>159
>>160
お世話になりますです。やっぱりsageで行きましょう。

>>161
ありがとうございます。
でも実は以前、自薦で出しちゃってます。

では>>151の続きです。

本当はもうちょっと1節に詰め込みたいのですが、何せ今、時間が...。

163 :【保田圭2011】:01/10/28 01:46 ID:gfK/f4r7
#11

卒業写真を手にとって見つめる。

ひとりひとりの顔を指で差してみる。
みんな、本当に良い笑顔だ。

飯田圭織の上で指が止まった。
お決まりのピースサインを頬に押し付けて、おどけて笑っている。

けれど彼女の笑顔は、きっと心からのものでは無かったのだろう。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

娘。卒業を最初に相談した相手はプロデューサーのつんくだった。
電話でアポをとり、スタジオに押しかけて時間を作ってもらった。

真剣な顔で話を聞いてくれたつんくは、話が一区切りつくとテーブルに突っ伏して、笑った。
「ついに来るべき時が来たかぁ」

「お前のパートは厄介やからな、後の再編成が大変や」
「あの...、高橋と小川はいけると思います」
「...やっぱりな。やっぱりそんな事、考えとったか」

娘。を卒業してソロを目指そうと思ったときから、自分のパートの後任が気にかかっていた。
かなり難しい部分を任されていたからだ。
後輩たちを観察して、高橋愛と小川麻琴に目星をつけた。
時間を見つけては、二人に練習と称して自分のパートを歌わせた。
二人は何か感じるところがあったのだろう。怪訝な顔をしながらも、一生懸命やってくれた。
苦戦しながらも、遂には二人ともがマスターした。

(これで安心して卒業できる)
それはかつて福田明日香が自分にしたのと同じことだった。

「いい時期やと思うよ」
つんくに反対されるのではないかと、怖る怖る相談したのだが、意外にもあっさりと賛成してもらえた。

「それにな、今お前にいい話が来てるんや」
驚いたことに、ある事務所から移籍の誘いが来ているのだという。
「お前が何も言わなんだら、こっちで勝手に断っとったとこやけどな」

それは規模は小さいが、良く名の知られた中堅の事務所だった。
「ここの社長さんは、切れ者やし、ええ人やで。いい所から声がかかって良かったな」
つんくは自分のことのように喜んでくれた。
「それにここは、専属の凄いボイストレーナーがいてな。至れり尽せりや」

「絶妙のタイミングや。運命やで、これは運命」
そう言って、つんくは優しく笑った。

164 :【保田圭2011】:01/10/28 01:46 ID:gfK/f4r7
「どうしてそんな事言うの!」
飯田圭織は絶叫した。
大きな両瞳から、大粒の涙が溢れ出た。

それは都内のホテルの一室だった。
テレビ番組の収録の都合で、メンバー全員がそこに泊まっていた。

つんくに相談した数日後のことだ。
事務所も卒業を諒解してくれた。
翌日の収録終了後、メンバーに発表することになっていた。

最初に聞いた部屋割りでは別のメンバーと同室だったが、頼んで替わってもらった。
やはりリーダーである飯田には、一足先に自分の口から言っておきたかったのだ。

部屋に二人きりになったとき、卒業のことを切り出した。

飯田はこちらが思っても見ないほど取り乱した。

「ずっと一緒にやっていこうって言ったじゃない!」
「それは...」
そう言ったのは、嘘ではない。
だが、それはモーニング娘。で、ということではなかった。
永遠に娘。でいられるわけではない。
いつまでも『盟友』のような関係でいたい、という意味のつもりだった。

「娘。には圭ちゃんが必要なの!」
「それはうれしいけど...」
「あなた、サブリーダーじゃない!」
「それは...」
「私にも、みんなにも、圭ちゃんが必要なの!」
「...」

飯田は、隣の部屋に聞こえてしまうのではないかと思うほど、大声で泣き喚いた。

深夜まで話し合ったが、いつまでも並行線のままだった。

「もういいよ」
突然、飯田が言った。
感情を押し殺した低い声だった。

「カオリ...」
「明日の収録があるから、もう寝よう」
そういうと、明かりを消してベッドに潜り込んだ。

「カオリ、私...」

何度か話し掛けたが、答えは無かった。

165 :【保田圭2011】:01/10/28 01:47 ID:gfK/f4r7
翌日、収録が終了するとメンバーがホテルの一室に集められた。

「大事な発表があります」
飯田はリーダーらしく、メンバーの前でそう話し始めた。
「ずっと私たちと一緒にやってきた保田圭さんが、娘。を卒業することになりました」

メンバーはざわめいた。

高橋と小川は、予期していたのだろう。
やっぱり、というように頷いた。

年少の新垣や、加護、辻などは、始めはびっくりしたような顔をしていた。
やがて、すがり付いてきて、手がつけられないほどに泣き出した。
「なんだよう。いつもおばちゃん呼ばわりして、いじめるくせに」
そんな風に冗談めかしてみても、一向に泣き止まなかった。

「もう言わないよぅ。もう言わないから、やめないで」
加護が泣きじゃくりながら、変な駄々をこねた。
「なんだよ、そりゃ」
思わず、そっと抱きしめた。

今日は泣かない、と決めていたのにやはり駄目だった。
つられてつい、涙がこぼれ落ちた。

「うわああああああああああああああああん」
突然、ひときわ大きな泣き声がして、背後から抱きつかれた。
後藤だった。
「なんだよ、あんたまで」
後藤は何か言おうとしていたが、しゃくりあげてまるでわからなかった。
二人で抱き合って、泣いた。

吉澤は、無言だった。涙をこらえているらしかった。
石川は、何か言いかけたが、途中で耐えかねて、ぼろぼろに泣き崩れた。
紺野は、ずっとこちらを見ていたが、その大きな瞳からは絶え間無く涙が流れていた。

「水くせーよなー、ひとりで決めちゃってさー」
矢口がそっぽを向いて言った。
少し泣いていてくれたように思う。

安倍だけが、穏やかに微笑んでいた。
大丈夫だよ、というように何度も頷いて見せた、
何度も仲間の卒業を見送ってきたのだ。
もしかしたら、何も言わなくても気付いていたのかもしれない。

引退ではなく、移籍・ソロ転向である事を説明すると、ようやく場が落ち着いた。
やがて口々に、祝いの言葉を言ってくれた。
「おめでとう、圭ちゃん」
「おめでとう」
「おめでとうございます。保田さん」

ふと、飯田を見た。
「おめでとう。圭ちゃん」
そう言って、微笑んだ。

けれど、その微笑はいつもとは違っていた。
あの日溜りのような、温かさがなかった。

その事は卒業してゆく自分にとって、一番の心残りになった。

[to be continued]

166 :ねぇ、名乗って:01/10/28 02:52 ID:Ms5uMJpE
イイ。続きが気になるよ。
次は卒業ライブの話っすかね?

167 :161:01/10/28 04:26 ID:umd3cU3Y
あ、ごめん。ないかと思って。
では、陰ながら応援させていただきます。

168 :136:01/10/28 09:43 ID:a3u/F5+5
わーい、更新されたなり。今回もよかったなり。
今回は回想シーンのみだっけど、飯田さんの現在の心境が気になりますなー。

作者さん小説書き慣れてる? だいぶ話が長くなりそうなのでめげずにがんばってくださいー。


で、2ch初心者とのことですので2chをより便利に楽しむために
かちゅ〜しゃをつかってみることをおすすめしますよ。
ttp://members.jcom.home.ne.jp/katjusha/
ttp://www.boreas.dti.ne.jp/~ijuinfan/index.html
などをご参考アレ。

169 :ねぇ、名乗って:01/10/28 10:47 ID:EMnNrxKo
失礼。
ちょっと泣いた。

170 :名無し募集中。。。:01/10/28 23:41 ID:5sbqvjdD
>>作者さま
いいですねー。
なんか本当の話のような気がしてきました。
いつか来てしまうであろう彼女の卒業はこんな感じになるのでしょうね。
それぞれのメンバーの想いが伝わってきました。(ちょっと泣きそう)
気長に待ってますので無理せずにこれからも頑張ってくださいね。

171 :ねぇ、名乗って:01/10/29 03:08 ID:L4Vdutka
えーと。sage進行なんですね。じゃあ保全的感想カキコもsageで。

一言で感想を言うなら、「(・∀・)イイ!」
>>165なんか、保田に感情移入して読んでもいい感じだし、他メンバー
に感情移入してるとちょっと泣きそー。

でも俺的にいー感じだったのは

>安倍だけが、穏やかに微笑んでいた。
>大丈夫だよ、というように何度も頷いて見せた、
>何度も仲間の卒業を見送ってきたのだ。
>もしかしたら、何も言わなくても気付いていたのかもしれない。

ここかな。なんかこの4行の描写がすごく好き。シーンが素直に思い
浮かぶ感じ。

続きをマターリと待ってます。

172 :名無し募集中。。。:01/10/30 00:52 ID:eg0NKb6x
保全

なみだでた

173 :名無し募集中。。。:01/10/30 18:59 ID:f5/VPGT8
保全しとこうかな。まだ(略

174 :名無し募集中。。。:01/10/31 17:36 ID:UCYNYf4B
保全書き込みです

久方ぶりにチェックしたら大分進んでる。。。
思いが伝わってくる素晴らしい描写なのにからっとした仕上げになってて、
とても好きです。作者氏頑張れ。

175 :保全:01/11/01 01:44 ID:tBIkIywQ
毎回どのメンバーにスポットが当たるのか楽しみ。
今一番期待しているスレ。(唯一お気に入りに登録しているし)

個人的には辻の10年後が一番予想つかないのだが。

176 :名無し募集中。。。:01/11/01 20:19 ID:jSh+TztT
危なっかしいな、保全せな。
まだよ(略

177 :名無し娘。:01/11/02 01:25 ID:iDviWx/s
今日初めて読んだんだけど、いいねぇ。続きが楽しみだよ

もし完結したらどっかにまとめて掲載して欲しいな。

178 :名無し募集中。。。:01/11/03 00:15 ID:RP4jpv7j
保全的愛

179 :名無し娘。:01/11/03 02:39 ID:uHahXqTW
おぉ吉澤の「やめて」でちょっと目頭が熱くなってしまった。

180 :_:01/11/03 02:41 ID:68SScGzy
sage

181 :名無し娘。:01/11/03 03:41 ID:lluAPE/W
名作は保全

182 :ねぇ、名乗って:01/11/03 13:09 ID:JOLr1Yac
つづきはまだなりかー!

183 :名無し娘。:01/11/03 23:23 ID:V5RuvlyG
早く石川梨華編が読みたい〜!

184 :名無し募集中。。。:01/11/03 23:46 ID:ojKzQVtH
登場人物を多く出しすぎてダメになった小説は数多いです。
作者さんの世界観だけで作ってください。期待してます。

185 :ねぇ、名乗って:01/11/04 10:17 ID:2yKahSD/
気長に待ちましょう

186 :【保田圭2011】:01/11/04 19:59 ID:bnTZ9orZ
ご無沙汰しております。
いえ、別に開き直ってるわけではなく(w。

皆様、書きこみありがとうございます。
仕事が悲惨な状況で、平日の更新はほぼ不可能になりました。
週3〜4回更新で年内完結を目指していたのですが、難しいです。
休日(土・日)にとばせばなんとか、と思っていたのですが、休日出勤させられる始末。
しかも、徹夜で朝帰り。
抜本的な見直しが必要なようです。
私の人生の(w。

長く更新できない日が続くかもしれませんが、保全にご協力いただければ幸いです。
時期は約束できなくなってしまいましたが、スレッドを残していただければ、必ず完結させます。
できれば、その時短くてもコメントなど残していただけるとうれしいです。
もはや、生きる糧となっています(←これホントです...)。

>>166
予定に無かったのですが、入れてみました。
>>167
こちらこそ、気を遣っていただきありがとうございます。
よろしければ陰ながらなどといわず、ぜひ書き込みなどもお願いします。
>>168
毎度どうもです。残念ながら「かちゅーしゃ」導入は当分出来そうもありません。
>>169
そうですか。2002年あたりのエピソードの方が感情移入しやすくはありますよね。
>>170
本当に、現実の卒業はどうなるんでしょうね。ずーっといたりして。ま、それはそれで(w。
>>171
感想をたくさん書きこんでいただきありがとうございます。
>>174
がんばりますです。はい。
>>175
辻は自分で開いた飲食店を自分で食い潰している.....という事はありません...。
>>177
「もし」ってそんな...。
>>179
ふわふわニコニコの2011年吉澤は結構お気に入りだったりします。
>>182
がんばってはいるのですが...。
>>183
地黒ブームでエステの女王になっている.....という事もありません...。
>>184
1期〜5期の計17人は登場します。さすがに他のハロプロメンバーまでは...。
>>185
そうしていただけると、ありがたいです。
>>172
>>173
>>176
>>178
>>180
>>181
お世話になります。sageでお願いしますです。

なお、今回より数節は展開が速いですが、決して端折っているわけではありません。
予定通りですので、念のため...。

では>>165の続きです。

187 :【保田圭2011】:01/11/04 20:00 ID:bnTZ9orZ
#12

卒業発表から、瞬く間に時は過ぎた。
卒業のステージは、ツアー最終日の武道館に決まった。

メンバーと過ごす時間は、それまで以上に大切なものになった。
今までと良く似た1日が過ぎるたびに、カウントダウンは進んだ。

そして、その日が来た。

いつものように組んだ円陣で、いつものように飯田の言葉から始まった。
「今日は13人での最後のステージです。大切にがんばりましょう」

そして、いつもの掛け声。
「がんばって、いきまっ」
「しょい!」
13人での最後の掛け声。

「泣くなよー、圭ちゃん」
安倍が背中を突つきながら言った。
「泣くもんかい」
そう強がって言ってみた。

(ダメだろうなあ)
(きっと泣いちゃうよなあ)
そう思っていた。
そうは、ならなかった。

オープニングが始まった。
観客のどよめきが起こる。
重低音の激しいリズム。光が交錯する、眩いステージ。

娘。たちがステージに上がる。
どよめきが、大歓声に変わった。

音楽が突然、聞きなれた前奏に変わる。
歓声が、一際高くなって押し寄せる。
体の一部になっているその曲を、全力で歌い踊る。

歌が、
ダンスが、
ハーモニーが、
仲間とのアイコンタクトが、
ステージを走ることが、
頭の上で大きくする手拍子が、
観客への投げキスが、
なにもかも全てが、かけがえの無い価値のあるものだった。

泣いている暇など無い。
悲しみや寂しさなど、ひとかけらも感じない。
全ての力をステージに叩きこんだ。

1曲、1曲、歌いなれた歌が駆け抜けて行く。
けれどその歌を、明日からはもう歌うことは無い。

このパートのソロも、
このパートのハーモニーも、
このポジションで踊る事も、
今日が最後だ。

やがて、最後の曲を迎えた。
2度のアンコールに応えた。

そして、卒業して行くものへのコールが起きた。

ヤスダ、ヤスダ、ヤスダ、ヤスダ、ヤスダ...

広大なステージの中に、ピンスポットを浴びてひとりで立った。
心からの感謝を、笑顔で言う事が出来た。
笑顔でさよならと、ありがとうとを言う事が出来た。

そして明日からの12人の娘。たちが、花束を持ってステージに上がった。
ひとりひとりと、抱き合った。

これほどの充実した1日が、それまでにあったろうか。
最後にして、最高のステージになった。
この日は、人生最良の日だった。

こうして、娘。メンバーとしての最後の1日が終わった。

188 :【保田圭2011】:01/11/04 20:01 ID:bnTZ9orZ
移籍した事務所の社長はつんくが言った通りの好人物だった。

「いやあ、良く来てくれました」
始めて挨拶に行ったとき、手を取ってそう言ってくれた。
「あなたはきっとすばらしい歌い手になる方だ。うれしいですよ」

社長の人柄からか、事務所はアットホームな雰囲気だった。
スタッフも皆、歓迎してくれた。

つんくの言っていたボイストレーナーは確かに「凄い」人物だった。
「このヘタクソ、ボケ!ふざけてんのかッ」
初対面の挨拶もそこそこに始めた最初のレッスンで、滅茶苦茶に罵り倒された。
偏屈な老人、といった風情のトレーナーは、信じられないほどの毒舌家だった。
(こりゃ、「凄い」わ)

「お前、モーニング娘。とかで一番歌がうまいとか言われて、いい気になって変な癖ついてんだよ」
さすがにカチンと来たが、逆らえなかった。
老トレーナーの指示は的確で、短期間に驚くほど自分の歌は変わっていった。

移籍の数ヶ月後、始めてのシングル発売に漕ぎ着けた。
蓋を開けてみると、売上は予想を遥かに下回った。

「結果とは売上だけの事ではありません。気長にがんばりましょう」
落ち込んでいると、社長がそう言ってくれた。
「そう簡単に売れるかよ。ヘタクソなんだからよぉ、甘えんな」
老トレーナーには、相変わらず罵られた。
「食うに困らねえくらいは売らねえとな」
この頃マネージャーになった多賀は、いきなりの不振に不満気だった。

この頃は、歌番組への出演依頼が多く舞い込んだ。
娘。卒業生である、という事の話題性での依頼なのは明らかだった。
歌い手として認められている感じがしないのは、寂しく悔しかった。

娘。と同じ番組に出る事も多かった。
収録前によく、娘。の楽屋に顔を出しに行った。

「圭ちゃ〜ん」
必ず後藤が待ち構えていて、抱き付いてきた。

「今度はねぇ、こうゆうの」
「おー、すごいすごい」
辻と加護が、並んで新曲の振り付けを見せてくれたりもした。
自分の知らない娘。の新曲の話題は、やはり少し寂しかった。

新垣は相変わらずぽつんと一人の時が多かった。
安倍や石川が気に掛けて、かまってやっている時があるくらいだった。
「よう、元気かぁ」
頭を撫でてやると、照れながらも嬉しそうに笑った。

まず後藤に抱き付かれ、辻や加護と遊んでやり、何人かのメンバーと話し、帰りがけに新垣の頭をなでる。
これが、娘。の楽屋に遊びに行った時の、お決まりのパターンになった。

時折、飯田と話す事もあった。
表面上はお互いに、なんら変わりなく接しているように見えたろう。
しかし、以前とはやはり何かが違っていた。
あの夜出来た溝を、埋める事が出来ないままだった。

ある日のこと。
「ナイショだよ」
じゃれ付いて来た加護が周囲の隙を見て、そっと教えてくれた。

「娘。また増えるの」

年が改まって2003年、モーニング娘。は15人になった。

189 :【保田圭2011】:01/11/04 20:04 ID:bnTZ9orZ
15人での初の娘。の新曲は、当たり前のように1位を取った。
ほぼ同時期に出した自分の新曲は、またも不振だった。

(凄い娘たちだなぁ)
6期メンバーの3人には舌を巻いた。
4期、5期と小粒な追加が続いたが、6期は言ってみれば全員が『後藤タイプ』だった。
3人ともまだ中学生だったが、歌もダンスもルックスも抜群だった。
即戦力として申し分なく、曲は安倍・後藤に加わり5トップ体制になった。
6期はあっという間に人気が爆発し、娘。の顔になった。
後藤の時のように。

ある日、娘。の楽屋に遊びに行くと、待ち構えていたのは後藤ではなく6期メンバーだった。
「はじめまして」
3人は並んで、礼儀正しく挨拶した。
「新メン、いいねぇ」

「そうでしょ、いいでしょう」
そう答えたのは、飯田だけだった。
娘。の楽屋らしからぬ、どこか重く嫌な雰囲気があった。

変に元気の無い辻・加護をくすぐって笑わせ、新垣の頭を撫でてから楽屋を出た。
珍しく、後藤が後をついてきた。
「あのね、圭ちゃん」
「うん」
「新メンとみんな、あんまりうまく行ってないの...」
「そう...」
メンバー追加時には大なり小なり、常にあったことだ。
増してや今回の3人は『実力者』だ。プライドも高いのかもしれない。
「あんたが入った時の事、思い出しなさいよ」
「?」
「いっぺんに後藤が3人入ったようなもんでしょ、そりゃもめるわよ」
後藤は口を尖らせてむくれ、やがて笑った。
「そっかぁ」

その後、数ヶ月は娘。たちと顔を合わすことはほとんど無かった。
その間に出た娘。の新曲はまたも大ヒットとなり、自分の新曲は更に売上を落としていった。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

「保田さん、これ...」
いつものように事務所に行くと、スタッフの一人が緊張した面持ちで雑誌を手渡した。
どこで手に入れたのか、それは発売2日前の芸能関係の週刊誌だった。
その表紙には驚くべき文字がケバケバしい字体で書かれていた。
『15人組アイドルの新メンバーの許されざる行状』

慌ててページをめくると、トップのグラビアにその写真はあった。
ホームパーティであるらしい。
喫煙。
飲酒。
男と絡んでいる猥雑なものまであった。
眼の辺りを黒線で隠しているが、間違いなくそれは6期メンバー3人だった。
(なんてこと...!?)
携帯を取りだし、娘。の誰かに連絡を取ろうとした。
しかし、その時出先から帰ってきた多賀の言葉に、思わず手が止まった。
「モー娘。の新メンバーなぁ。薬物で3人ともお縄だとさ」

大変な事になった。
未成年とは言え、芸能人である。
6期メンバーの補導・逮捕はあっという間に世間に知れ渡った。
3人は娘。から除名となった。

喫煙や飲酒だけならまだしも、薬物が絡んでいるのだ。
娘。自体もまた、ただでは済むわけが無かった。
当面は活動自粛と発表された。

娘。たちとは連絡が取れなくなった。
おそらく事務所の指示で外部との接触を避けたのだろう。
他のメンバーもまた、薬物汚染が疑われていた。

取材が卒業メンバーである自分や、中澤裕子や市井紗耶香に殺到した。
「今回の事は残念ですが、娘。のメンバーを信じています」
そう繰り返すしかなかった。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

ある日全くの偶然に、飯田圭織と出会った。
録音スタジオなどが多く入っているビルの廊下だった。
廊下には他に人影は無かった。

飯田は変装していたが、すぐにわかった。
「大変な事になっちゃったね。大丈夫?」

「心配しないで。私たちは大丈夫」
飯田はそう言って、少し笑った。
無理に笑っているのがありありとわかり、痛々しかった。
「なにか私に出来る事は無い?」
そう聞いたが、飯田はただ静かに首を横に振っただけだった。
「それじゃ...」
突然に話を打ち切ると、飯田は行ってしまった。

追いかけたかったが、見えない壁のようなものを感じて出来なかった。

この短いやり取りが、二人きりでした最後の会話になった。

[to be continued]

190 :136:01/11/04 20:20 ID:MJDnvRCS
待ってました! 作者たん、今回も良かったなりよ〜(・∀・)

>>この短いやり取りが、二人きりでした最後の会話になった。

またまた強烈な引きですなー。いいらさん、どうなってしまったのであろーか!
ま、まさか逝ってしまわれてるとか…。ひー、続きが怖い〜

なんか、更新は遅くなりそうですが、気長に待ちますのでがんばってお仕事してくだされ。
わしも今日は出勤してますよ〜。がんばっていきまっしょい!

191 :名無し募集中。。。:01/11/04 23:55 ID:qNbNEsG6
>>190
ゴメン、正直ウザイ

192 :名無し募集中。。。:01/11/05 00:36 ID:wOgjscVk
いいらさん・・・

ヤスのソロは低調な滑り出しだったのね。そこから這い上がったのか。
夢があるなぁ

193 :ねぇ、名乗って:01/11/05 02:28 ID:uT9bv2EG
作者さんお疲れ様です。毎回毎回面白いです。

194 :136:01/11/05 09:08 ID:MtYb5AYC
>>191
だよね。自分でもそう思う。ごめん。死ぬよ。

195 :名無し娘。:01/11/05 15:13 ID:gXiXXZa8
>>194
いや、イ`

196 :名無し募集中。。。:01/11/06 01:38 ID:R6uDlNrq
>>192
191だが。氏んではダメよ。

197 :名無し募集中。。。:01/11/06 05:52 ID:HXAuGa5q
くそー、深夜4時にこのスレ見つけてしまったよ(泣
一気読みしたが、今日朝起きられるか心配っす。
本当にオモロイです。ありがとう>作者どの

198 :飯田ヲタ:01/11/06 06:48 ID:rsB74LFf
正直、飯田さんが引き留めるという設定には違和感を感じる。
でも、その分だけ飯田保田の絡みが熱くなって面白くなりそう。
あ、変なこと書いてスマソ。気にせずマイペースで進めてくらさい。

199 :名無し募集中。。。:01/11/07 01:01 ID:LDmO2NaG



200 :( `.∀´):01/11/07 08:48 ID:MC12urVN
ほぜm

201 :ねぇ、名乗って:01/11/07 21:45 ID:ZMyK75GZ
保全。。。

202 :さしみ:01/11/08 07:24 ID:R4TRZe0Y
CDの売り上げ落ちても、オリメンが残っていれば
いずれ這いあがるだろうし、多分娘。が解散するとしたら
こんな理由かもしれんな。とマジレスしつつ、保全sage

203 :ねぇ、名乗って:01/11/08 21:43 ID:X5DQK1Yo
やべぇ、途中で泣きそうになっちまった

204 :名無し娘。:01/11/09 03:07 ID:cT3aARFc
保(略…

205 : :01/11/09 03:48 ID:JB2RbrPk


206 :ねぇ、名乗って:01/11/09 04:42 ID:A5E2/t5c
やられた…
アンチスレだと思って見向きもしなかったら
こんな展開になってたなんて

全員を登場させて辻褄を合わせるのは
さぞかし大変なこととお察しします

寒くなるゆえ何とぞお身体ご自愛ください
気長に待っております

207 :名無し募集中。。。:01/11/10 01:31 ID:eKowwQ5M
保全

208 :( `.∀´):01/11/10 10:57 ID:UR2cnyt8
ほぜむ。。。

209 :名無し募集中。。。:01/11/10 18:19 ID:Xl6KnyIl


 保全

210 : :01/11/10 18:20 ID:GxdpH0F6
ホゼン

211 :ねぇ、名乗って:01/11/10 18:22 ID:DFJUNSH5
すばらしい小説ですね。感動しました。
同時に>>1に対する最大の報復になってる。

212 :名無しさん:01/11/10 18:35 ID:ID3pxFIH
>保全
保田は全然いらないという意味なの?

213 :名無し募集中。。。:01/11/10 19:09 ID:qr0tWsSo
>212
保全
田て


保全の方々、作者はsage希望なのでよろしくお願いします。
ヘソ曲げて止められたら困る。
まだ読んでないのに。。。

214 :名無し募集中。。。:01/11/10 19:56 ID:e/HdQds6
>>213
いいかげん、読めよ(w

215 :ねぇ、名乗って:01/11/11 01:06 ID:+D2QKwSZ
>>214
いや、そこはそれ、完結してから一気に読みたいっていう人も
いるかもしれないし、それはそれでいいじゃないですか(^^;;

漏れは毎日チェックして新作読むけどさ。

216 :名無し募集中。。。:01/11/11 01:12 ID:3l3jf1e5
>>215
いや、そうじゃなくて最初のほうで「読んでないけどな」という人がいたんでそれへの突込みだったんだが。
ま、雑談はまずいので、スマソ>>作者 >>215

217 :保田が:01/11/11 16:24 ID:L9EKXXFL
全て

218 :むしろ、全てが:01/11/11 16:26 ID:L9EKXXFL
保田?

219 :名無し募集中。。。:01/11/11 20:35 ID:HQ6tGY1D
>>216
|.∀´)<そのツッコミ当たりよっ!!

220 :【保田圭2011】:01/11/11 23:06 ID:BclGDcL8
保全ご協力と書きこみありがとうございます。
なんとか時間を捻出しようとがんばってはいるものの、フラストレーションが溜まるばかりです...。

>>190
毎度、どうも。
>>191
>>194
>>195
>>196
仲良くやってくださいな。疲れきっている時に見ると、正直ぐったりきます。
2chだからしょうがないのですか?
>>192
書きこみどうもです。
>>193
どうもです。がんばります。
>>197
朝は起きられましたか? 睡眠は大事です。気をつけましょう。
って人のこと言えないんですが...。
>>198
マイペースで進めたら本当に2011年になってしまいそう。
多少は無理してもいってみようかと...。
>>202
発展的解散というのがほとんどの場合言葉だけのものになりがちですね。
一番良いのはやっぱり継続する事なのでしょう。
>>203
単なる『お涙頂戴』にならないようにがんばります。
>>206
そのままやってますからねぇ。これからもよろしくお願いします。
>>211
アンチのことはもはや眼中にありません(w。
>>212
『保田圭が全てを語る』の略(ちょっと苦しい、後半は違いますし)。
>>213
ヘソ曲げるって...。まあ、滅多な事ではやめませんよ。かなり意地になってますし(w。
>>214
その突っ込みは、ちょっとデジャブ(w。
>>215
毎日チェックしていただけているとのこと、ありがとうございます。
なんとか週一ペースを打破したいのですが...。
>>216
いえいえ。
>>217
>>218
うーん。コメントが思いつきません(w。
>>219
読みま...せんか(w

>>199
>>200
>>201
>>204
>>205
>>207
>>208
>>209
>>210
ご協力ありがとうございます。

では>>189 の続きです。

221 :【保田圭2011】:01/11/11 23:07 ID:BclGDcL8
#13

「あ、始まる」
スタッフの一人が言った。
事務所に居る全員が、テレビの前に集まっていた。

その日、モーニング娘。についての会見があると発表されたのは、当日の朝の事だった。
昼のワイドショーの時間帯だった。
各局は予定を変更して生中継をしているようだ。
今見ている局以外でも、同様の映像が流れているはずだ。
既に除名されている3人に付いては会見があった。
今回は娘。の今後についての会見になるのだろう。

耳障りな音楽が流れた。
『モーニング娘。緊急会見』というテロップが品の無い字体で大写しになった。
あまりのチープさに、誰かが舌打ちをした。

カメラは、すし詰めの記者席と、無人の会見席を映していた。
やがて、会見場に現れた人物を見て愕然とした。
チーフマネージャーと事務所スタッフに挟まれて、飯田圭織が現れた。
飯田は質素なスーツ姿で、しっかりとした足取りで歩き、一礼すると席についた。

実質的に、飯田ひとりで会見に当たるらしかった。

「今回の件ではモーニング娘。のメンバーが多大なご迷惑をおかけいたしました」
スタッフに促されて、飯田が話し出した。
「こころから、お詫び申し上げます」
そう言って3人は一度立ち上がると、頭を下げた。

「本日はお集まりいただき、ありがとうございます」
再び席についた飯田が話し始めると突然記者の一人が遮った。
「待ってください。なぜあなたなんですか?」
「そうですよ。もっとしかるべき人が会見すべきでしょう」
会見場はざわめき、怒声をあげるものもいた。

「私はモーニング娘。のリーダーです」
ざわめきの中で飯田がいった。
「事務所にお願いしてここに参りました。今日は私が会見に当たらせていただきます」
ふざけるな、と罵る声がしたが、飯田は冷静に続けた。
「既にご存知と思いますが、プロデューサーのつんくさんは、今回の件の心労で入院中です」
仮病じゃないのか、と記者の誰かが言った。
「本来は、事務所社長が会見に当たるべきなのですが、今回は私が参りました」
だから、どうして、とまた別の誰かが言った。
「私はモーニング娘。のリーダーだからです」
飯田は繰り返した。
嘲笑が起きた。

記者の一人が手を上げ、立ち上がって訊ねた。
「今回の騒動ではあなたたちにも薬物使用の疑惑がもたれている事は知っていますね」
飯田は頷いた。
「だったら、あなた自身の口から、釈明が聞けるというわけですか?」
飯田は、答える変わりに同席しているスタッフに何かを指示した。
会見場に居るほかのスタッフが、コピーの束らしき物を記者に配り歩いた。

「お配りしている物は、現在のメンバー12人の警察病院での薬物使用検査の結果のコピーです」
大きなざわめきが起きた。
「もちろん、全員薬物使用の疑いはありません」

「そこまで、するのか?」
テレビを見ている事務所スタッフが、驚きの声を上げた。

「こんなものは、いくらでも細工できるんじゃありませんかね?」
品の無い中年記者が立ち上がると、受け取ったコピーを叩きながら怒鳴った。
飯田はまっすぐに相手を見据えると、毅然としていった。
「これは公的な証明です。信用できるかどうかは常識の範疇でおわかりいただけると思います」
ちっ、と舌打ちすると中年記者は乱暴に座った。

ざわめきの中、飯田は続けた。
「モーニング娘。は現在活動を休止中ですが、明日より活動を再開いたします」
突然の発言に、一瞬静寂が訪れた。
「また、7月のツアー最終公演を持ちまして、解散する事になりました」

222 :【保田圭2011】:01/11/11 23:08 ID:BclGDcL8
「どういうつもりなんだ」
「即時解散すべきじゃないんですか?」
「メンバーだった人間から逮捕者が出てるんだぞ」
再び会見場はざわめきと罵声に包まれた。

「私たちは多くの方に応援していただいてここまでやってきました」
飯田は、ひるむ事も高ぶることも無く冷静だった。
「きちんと最後にお礼とお別れを言いたいのです」

「そんな事が許されると思ってるんですか」
「思いあがるな」
「社会的影響というものを少しは考えてはどうなんですか」

飯田の言ったいくつかの言葉は、怒声の中にかき消されてしまった。

これでは単なる吊るし上げではないか。
ただ流れに乗ってマスコミは娘。を潰そうとしている。
これが正義などであろうはずが無い。

もし今でも、自分が娘。であったなら。
こんな場所に彼女ひとりで行かせはしなかったものを。
例え、何の役にも立てなかったとしても、絶対にひとりきりで行かせなどしなかったものを。

「飯田さんは、立派ですね」
社長がそう言ってくれた。
うれしかった。
涙が流れそうになったが、こらえた。

たったひとりで戦い続ける、飯田圭織の姿を見失わないために。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

翌日からまた娘。たちは、以前のように殺人的なスケジュールで動き出した。
違っているのは過ぎて行く時間が、解散までのカウントダウンであると言う事だ。
残りわずかな時間を、娘。たちがどれほど大切に思っているか、楽屋を訪れた時に知った。

甘えてくる後藤も、はしゃいでいる辻や加護も、ひとりきりの新垣も居なかった。
そこに居たのは、娘。として結束した12人だった。
それは、ついにたどり着いた『娘。』の完成形と言って良いのかもしれない。
そこに自分の居場所が無いのは寂しかったが、そんな娘。たちが堪らなく誇らしかった。

マスコミの娘。バッシングは相変わらず続いた。
最後のツアーは、様々な嫌がらせを受けたらしい。
右翼団体の街宣車までが妨害に現れた事があったという。

しかし、それらを退けたのはスタッフでも警察でも、一部の過激なファンでも無かった。
一般の多くの人たちが、娘。を支持し力を貸してくれた。
再びたくさんの応援を受けながら、娘。たちは全国を回った。
感謝と別れの言葉を言うために。

やがて、最後の日が訪れた。
最後のステージは、やはり武道館だった。
何度目の公演になるのだろう。
娘。の初期にメンバー誰もが夢見た舞台で、夢が終わろうとしていた。

チケットを手に入れられなかった数万もの人々が、武道館の周りに集まった。

その時の娘。の姿をどう言い表せば良いのだろう。
アイドルなどではない。
アーチストというものとも違う。
唯一の特別なもの。
娘。という全くオリジナルな存在。

2003年初夏。
モーニング娘。は純粋な炎として燃え上がり、そして燃え尽きた。

223 :【保田圭2011】:01/11/11 23:09 ID:BclGDcL8
娘。としての全てが終わり、メンバーはそれぞれの道を歩き始めた。
そのわずか1ヶ月後に、あの忌まわしい『事件』が起こった。

元娘。たちは打ちひしがれ、ある者はこの世界から去った。
残った娘も、立ち直るには時間が必要だった。

事務所は解散し、継続して所属していた元娘。たちは散り散りになった。
つんくもまた衝撃から回復することなく、全てを整理すると世間から姿を消してしまった。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

飯田圭織は娘。オリジナルのメンバーだ。
安倍なつみとただ二人だけが、娘。の結成から解散までを経験した。
そして2代目にして最後のリーダーでもある。
いつでも明るく優しかった彼女は、常に娘。の精神的な支えであったように思う。

解散直前の悲惨な状況において、多くの人が娘。を支持してくれた。
それは、会見での飯田の真摯な姿と決して無関係ではなかっただろう。
訳知り顔の評論家は事務所の作戦勝ちなどといっていたが、それは勝手な憶測に過ぎない。
絶対に飯田を行かせまいとしていた娘。の事務所の社長がついに根負けしたのは、会見の日の朝だった。
前夜から説得を続けていた飯田の表情は必死であったという。
自分はリーダーであるから、というのが飯田の主張だった。

彼女は、最後のリーダーとして娘。の存在とメンバーを守りきった。

飯田は『事件』の後、音信不通となった。
連絡がつきづらくなったメンバーは他にもいたが、完全に行方がわからなくなったのは飯田だけだった。
心配した安倍や紺野が何度か飯田の実家を訪ねたが、家族も何も知らされていなかった。

飯田の消息は3年以上経ってから突然知れた。
彼女はフランスに渡り、パリでモデルになっていた。
元々素晴らしいプロポーションの持ち主だったが、その姿は更に洗練されていた。
鋭角的なシルエットは、同性でも見とれるほどに美しかった。
25歳の遅咲きのモデルは有名なデザイナーたちに愛され、活躍していた。

彼女が何を思い、何も告げずにフランスに渡ったのか。
なぜモデルになる事を選んだのか。
正確なところは何もわからない。
彼女は日本やフランスのマスコミ取材を一切断っていた。
公の場に出るのは、ショーに出演する時だけだった。

自分にとって飯田は、娘。時代に唯一本気でケンカをした事のあるメンバーだ。
本当に心を許すことができたのは、彼女だけだったかもしれない。
今思えば、彼女の事がとても好きだった。
彼女もそう思っていてくれたような気がする。
卒業を告げた、あの夜までは。

今でも、飯田圭織の姿を目にすることがある。
ファッション関係の雑誌や番組のパリコレクション特集の片隅に、時折その姿はある。
今年30歳になったはずの彼女は、相変わらず美しい。

しかし、モデル特有のきついメイクや鋭い視線を見るたびにいつも思う。

まだ、許されてはいないのではないか、と。

[to be continued]

224 :136:01/11/11 23:15 ID:wh7qV0mZ
続きが気になったので死ななかったよ。
うざくない程度にこれからも感想書きますね。

で、今日はたまたまリアルタイムで読んでしまったよ。
また泣けてしまいました。作者様引き続きがんばってください。

225 :198:01/11/12 07:50 ID:CEOe4mqq
リーダーかっけー(w
朝から泣きそうになってしまったよ...
他面も気になるなぁ、続きキボンヌ。

226 :名無し募集中。。。:01/11/12 10:35 ID:tAtLiHRv
ただただ応援しております
小説で泣いたのは久しぶりだ

227 :名無し募集中。。。:01/11/12 10:36 ID:tAtLiHRv
ゴメンageちった

228 :ねぇ、名乗って:01/11/12 11:28 ID:wbgib1PW
>>227
ありがとう。おかげでいい小説を知ったよ。
作者さん頑張って

229 :ねぇ、名乗って:01/11/12 12:59 ID:TLfs1x8D
作者様、毎回楽しみにしています。
このお話を呼んでから、モー娘。の10年後って
みんなどうしてるんだろうと、ふっと思ったりして
少し寂しくなったりします。
メンバーみんな、幸せでいて欲しいね・・・(涙)

230 :名無し募集中。。。:01/11/12 17:02 ID:v2weL2Nh
次も楽しみにしてます

231 :男なら( ´D`):01/11/12 21:45 ID:I9Zmwguf
ほぜん 

232 :ねぇ、名乗って:01/11/12 23:09 ID:vxnCotkH
ヤスヲタですが今回のかっけーリーダーにも惹かれたよー。
マイペースで続けてください。

233 :ねぇ、名乗って:01/11/13 01:48 ID:VjyQdsPr
やっと羊に本格的ないくつか小説が戻ってきててうれしいよ。
これからもがんばってください!

234 :ねぇ、名乗って:01/11/13 02:26 ID:xB+GiCMw
保全

235 :ねぇ、名乗って:01/11/13 12:17 ID:97fk6UZd
保全。。。

236 :ねぇ、名乗って:01/11/13 16:19 ID:7WUvd0jI
ほぜむ

237 :ねぇ、名乗って:01/11/13 16:25 ID:N+SGo6LI
正直、飯田ヲタになってしまいそうだ。。。

238 :ねぇ、名乗って:01/11/13 22:16 ID:XziTtf5w
保全。

239 :ねぇ、名乗って:01/11/13 23:43 ID:pDwASMpG
hozen

240 :名無し募集中。。。:01/11/14 00:22 ID:Hzz2/kNl
な、なんだこの保全の量は・・・
保全

241 :名無し募集中。。。:01/11/14 01:05 ID:xUUQ3gOl
>>240
ぜったいにdat逝きにさせないという強い願い
名作

242 :( `.∀´):01/11/14 08:41 ID:pOvs3XIj
ほぜむ。。。

243 :ねぇ、名乗って:01/11/14 10:17 ID:MvC/+1oN
保全

244 :ねぇ、名乗って:01/11/14 11:57 ID:PynkgvOb
保全

245 :ねぇ、名乗って:01/11/14 14:35 ID:gN1k5ntN
ちょっと待て。保全しすぎ。
せめて12時間くらい経ってからにしようぜ。
レス数多いから更新されてるのかと思って開くと
保全の嵐で萎える。

246 :( `.∀´) :01/11/14 21:08 ID:653wd/x7
>>245

その書き込みによって結果的に自分が保全した間隔(約2.5h)を考えてから
物言いなさいよ(w
ってネタか?

247 :保全:01/11/14 23:33 ID:r60tV48l
保全

248 :HOZEN:01/11/15 04:10 ID:W0GGmYr2
HOZEN

249 :ねぇ、名乗って:01/11/15 04:25 ID:822Ot2hR
>>245
保全の量は作品のバロメーター。
今このスレが羊一番の名スレといっても過言ではない。

250 :ネクロス:01/11/15 07:16 ID:6xUXmsl7
今日発見してついここまで読んでしまいました。

本当に面白いです。現実味があって、ストーリーに引き込まれます。
ここまで読んで、「すごい・・・」と独り言で言ってしまうくらいです(w
表現が上手くて、武道館の解散ステージの辺りは久しぶりに小説で目頭が熱くなりました。

心から期待してます。頑張って下さい。

251 :sage:01/11/15 13:43 ID:U1X68EWR
sage

252 :保全:01/11/15 21:10 ID:W0GGmYr2
>>251
IDがX68
わからん奴はわからんが・・・

保全

253 :全てが:01/11/15 22:33 ID:Qv8JAOux
保田

254 :HOZEN:01/11/16 03:49 ID:NM5HwhfX
HOZEN

255 :hozen:01/11/16 12:52 ID:dOltEChs
hozen

256 :ネクロス:01/11/16 15:47 ID:2234DDRp
>>252
ものすごいわかるんですけど・・・(w
x68ibB6k

そして保全

257 :HOZEN:01/11/16 23:06 ID:KwWmh/7w
ITINITIITIHOZEN

258 :ねぇ、名乗って:01/11/17 02:08 ID:awBGXOoD
ほぜん

259 :ねぇ、名乗って:01/11/17 02:10 ID:awBGXOoD
さげ忘れてた。スマソ

260 :名無し募集中。。。:01/11/17 06:23 ID:AYWCK7OP
>>252
x67kな。 って、古っ!!

261 :名無し募集中。。。:01/11/17 12:10 ID:NbV7TSO3
ホゼム

262 :ネクロス:01/11/17 21:15 ID:U/5PxkOa
>>250
言うならx68kね。

んで、保全

263 :名無し募集中。。。:01/11/18 00:26 ID:WGPpm1kZ
川o・-・)ノ ←7と8を書き間違えて恥ずかしがってる

264 :NANASI:01/11/18 04:36 ID:y2PdKuge
AGE

265 :_:01/11/18 04:54 ID:xgA++h2h
OS-9/6309をいじっていたが。

266 :_:01/11/18 04:59 ID:xgA++h2h
CP/M-80のM80.comは、DRのアセンブラより良かったのに、
Winは、くそ。

267 :ねぇ、名乗って:01/11/18 05:12 ID:m2GlP4CW
古いパソコンを語るスレか?
大昔、バイト先のクロメンコのCP/M-80マシンの
WordMasterの実行ファイルのダンプリストをプリントアウトし、
持ち帰ってPC-8801のCP/M-80で打ち込んだら動いたのを思い出したよ。
(実話)

268 :_:01/11/18 05:53 ID:xgA++h2h
おたがい、じじいかもしれんが、WordMaster,WordStar,TurboPacal
系のダイアモンドカーソルは、マンセーなんだが……。

いやぁ、OS-9/68(3)09は、良かったよ。poorman's UNIXだが。

269 :_:01/11/18 05:58 ID:xgA++h2h
ていうか、うちの会社じゃ、いまだにCP/M-80のマシン(HC-88)を
使ってたりする。
可動部がないから、けっこうロバスト。

270 :_:01/11/18 06:04 ID:xgA++h2h
すまん、荒らしてしもた。
そろそろ、寝るわ。

271 :267:01/11/18 08:32 ID:VxTf4BJE
>>268
OS-9って元々6809用で、後ろに何か付くのは/68000じゃないか?
/68030があるかどうかは知らんが。

…スレ違いのようだな、迷惑かけた。逝ってくる。

272 :名無し娘。:01/11/18 08:54 ID:B2V50dPP
正直ヤッスーには居て欲しい

273 :HOZEN:01/11/18 09:07 ID:ymyEru7o
あげないで〜、荒らしさん

274 :267:01/11/18 10:04 ID:VxTf4BJE
スマソ。下げ進行だったんだね。
小説オレも読んでたし荒らす気は全然無かったんだけど、
ご迷惑をおかけしました。

275 :保全:01/11/18 12:47 ID:83soMSqq
保全

276 :保全:01/11/18 16:16 ID:Dlpmzn2N
保全

277 :HOZEN:01/11/18 21:37 ID:20UZBf4s
あさやん

278 :【保田圭2011】:01/11/19 00:54 ID:Ai2G/oCJ
感想の書きこみ、ありがとうございました。

さて、作者が平日にほぼアクセス不能のために保全をお願いしていますが、更にお願いがあります。
前回の前文が >>220 この文章をUPしようとしている現在の最新が >>277 です。
1節に50以上の『レス』になっています。
残りは20数節の予定なので仮りに25節とすると、25×50=1000でスレッドがあふれてしまいます。
保全のみの場合、もう少しペースを落としていただきたいのです。
できれば一つのスレッドで完結させたいと思っています。

前回が解散のエピソードだった事、飯田圭織編の最後の節だったこと、荒しがあったことなどで多くの『レス』があったようです。
おそらく数は減っていくと思うのですが、念の為お願いしておきます。

感想をいただいてあふれてしまうなら、それはそれでうれしいのですが...。

荒し行為というのは本当に嫌なものですね。
まぁ、今回みたいのは軽い方なんでしょうけど。
謝っていただいているようですが、正直げんなりしました。

疲労困憊の中で、無理をしてまで何をやっているんだろうという気になります。

もちろん、待っていてくださる方のために書くべきだと言う事は考えるまでもありません。
待っていてくださる方には、荒しは関わりの無い事ですし...。
自分でも書く事を望んでいるし、読んで欲しい気持ちも変わりありません。
頭では、わかっているのですが。

ちょっと疲れ過ぎて弱っているのかなぁ。
すいません、また愚痴になりました。

では>>223 の続きです。

それでは、保田圭さん(今回の開始時点、2003年現在22歳)、はりきってどうぞ(w。

279 :【保田圭2011】:01/11/19 00:55 ID:Ai2G/oCJ
#14

娘。の解散時の騒動も、その後の『事件』も自分の心に暗い影を落とした。
それを言い訳にはしたくないが、気持ちが歌から離れ、何をすれば良いのかわからなくなってしまった。

「まぁ、休めや。そんな時もある」
トレーニング中に、始めて老トレーナーに優しい言葉をかけられた。
余程、酷い状態だったのだろう。

『事件』から数ヶ月が過ぎ、復帰した矢口真里や高橋愛が、ソロで活躍し始めた。
特にロック歌手に転向した矢口は、最初の曲からヒットを飛ばし、魅力と実力をみせつけた。
自分の曲は相変わらず売れなかった。

「給料制に変える事を考えてみませんか?」
ソロになって2年目が終わろうとしていた頃、社長が遠慮がちにそう言ってくれた。
曲が売れず、仕事も徐々に減り始めていた。
確かに、最初の契約の歩合制では、収入が心もとなくなっていた。
「いいえ、できればこのままでお願いします」
決してプライドから断ったのではない。
心遣いはうれしかった。
普通なら契約を打ち切られても仕方が無い結果しか残せていないのだ。
なおさら、働いた以上に貰うわけには行かない。

娘。時代の蓄えだけでもしばらくはやっていけそうだった。
それでも生活のレベルは落とさざるを得なかった。
気に入っていたマンションを引き払い、安いワンルームに引っ越した。
滅多に使わなくなった車も処分してしまった。

(このまま続けていて良いのだろうか)
社長もスタッフも、売り出すために努力してくれている。
しかし、良い結果が出せるかどうかは結局自分にかかっているのだ。
ソロなんて最初から無理だったのではないか。
自分はとんだ勘違いをしていたのではないか。
そんな思いに囚われることが多くなっていた。

(歌が歌えれば良い)
それはCDを出すような歌手ではなくても良いのではないか。
例えば、現在でもそれが職業として成り立つのかは知らないが、場末のバーの歌手のような...。
歌を生業に出来れば、それで良いのではないか。
それで自分の人生は幸せなのではないか。

自分は達観したのだと思い込みたかった。
けれども、それが逃げ口上でしかない事は、わかりすぎるほどわかっていた。

無為に数年が過ぎた。

老トレーナーの死は突然に訪れた。
自宅で脳卒中で倒れ、そのまま還らぬ人となった。
彼が80歳に手が届こうという年齢であると知り、驚いた。
彼は家族は無く、寂しい葬儀になった。

「音楽に捧げた人生でしたよ」
社長はそう言って泣いた。
そして、教えてくれた。

「実はあなたを気に入って、是非うちの事務所にと望んだのは彼だったんです」

信じられないような話だった。
涙が止まらなかった。

280 :【保田圭2011】:01/11/19 00:56 ID:Ai2G/oCJ
いつも怒鳴られてばかりだった。
尊敬はしていたが、好きにはなれないままだった。

老トレーナーが認めてくれたから、今の自分には居場所がある。
それなのに、自分はその事を全く知らず、考えた事も無かった。

老トレーナーは、昔歌手だったそうだ。
実力はあったものの、機会に恵まれずに売れなかった。
その後、作曲家なったが、やはりヒットとは無縁だったらしい。
それでも彼の周りに人が集まったのは、その実力と音楽に対する姿勢に多くの人が感化されたからだろう。
自分もそのひとりであるのは間違い無い。

なぜ、自分を見つけ出してくれたのだろう。
それは不思議だった。
確かなのは、亡くなるより前に老トレーナーを納得させるだけの歌手に自分がなれなかったと言う事だ。

二人目の『育ての親』までも失ってしまった。
完全に迷子になった。
どこへ向かえば良いのか。
どうやって歩けば良いのか。

導いてくれる人はもういない。
だが、進まなければ。
強迫観念のようなものだけが、自分を動かすエネルギーだった。

後ろ向きの思考に囚われた者に、幸福も幸運も訪れはしない。
相次いで家族を亡くし、天涯孤独の身になった。
喉を患い、長期の休業を余儀なくされた。

復帰後も相変わらずセールスは振るわなかった。
仕事もトレーニングもしない日が増えた。

何をするでもなく、日がな一日公園のベンチで過ごす事もあった。
元娘。であることも、ソロ歌手である事も関係無かった。
誰からも声を掛けられる事は無かった。
世界中で、自分の事を覚えているものは誰も居なくなってしまったような気がした。

「保田圭さんですよね」
ある日、公園のベンチに座って、昼寝する野良犬を眺めていた時。
突然、見知らぬ青年から声を掛けられた。
「僕、ファンなんです。サインしていただけませんか?」
そんなふうに声を掛けられるのは久しぶりでどぎまぎしてしまった。
差し出された手帳にサインする手が少し震えている気がして、恥ずかしかった。

「いやあ、うれしいなぁ」
受け取った手帳のサインを見つめて、青年はそう言って笑った。

それが出会いだった。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

「ねえねえ、圭ちゃん、あの人と付き合ってるの?」
ある日、近所に住む世話好きのおばさんが、そう声を掛けてきた。
彼と出かけた日の、帰り道の事だ。
適当に答えを濁したが、おばさんはこちらの反応などお構いなしに、話し始めた。
二人を見かけるたびに、話したくてしょうがなかったらしい。

「あの人ねえ、最初圭ちゃんの事、何にも知らなかったのよ」
「えっ」
「圭ちゃんの事をいろいろ聞くからさぁ、興信所の人かと思っちゃったわよ」
「...」
「元モーニング娘。で歌手の保田圭ちゃんよ、っていったら、きょとーんとしちゃって」
「はぁ」
「なんか話し掛けるきっかけが欲しかったのよね、きっと」

彼は、元娘。であることも、歌手である事も本当は知らなかった。
ただ、ひとりの女性として自分を見つけてくれた。

心が軽くなった。

281 :【保田圭2011】:01/11/19 00:56 ID:Ai2G/oCJ
「なにか良い事がありましたか」
久しぶりに事務所に呼び出されて行くと、社長がそういった。
「えっ、いえ、私なんか変ですか?」
「いやいや」
社長はそう言うと、テーブルの上に二つあった資料袋のひとつを引っ込めた。

「これは彼氏ができたな、と思いましたねぇ」
ずっと後になって、社長はこの時の事を話してくれた。
「実はあの時、引っ込めたのは見合い写真だったんですよ」
いい、笑い話になっている。

テーブルに残った資料袋から、社長は楽譜を取り出した。
丁寧に手書きされたそれは、古いものらしくかなり変色していた。

「是非、あなたに歌っていただきたいのです」
「...バラードですね」

随分と古臭い感じの曲だった。
だが、ストレートで何のテライもない。
素敵な曲だ、と思った。
歌詞も飾り気が無く、好きな感じだった。

「ずっと探していて、ようやく見つけ出したんです。いかがですか」
社長は祈るような目で、じっと見つめた。

「もちろん、歌わせていただきます」
断る理由はどこにも無かった。
楽譜のサインは、亡き老トレーナーのものだった。

試しに、歌ってみた。
難しかった。
途端に老トレーナーに与えられたいくつものアドバイスを思い出した。

もしかしたら老トレーナーは、この歌を歌う者を探していたのではないか。
その眼鏡に適ったのが、自分だったのではないか。
そんな思いが強くした。

(これは私の歌だ)
そんなふうに思ったのは始めてだった。
ひたすら、曲の習得に没頭した。
ようやく、自信を持って歌えるようになったと社長に報告したとき、3ヶ月が過ぎていた。

社長はその間何も言わず、自分を信じて待っていてくれた。
この曲に対する社長の思いが伝わってきて、再び背筋が伸びる思いだった。

レコーディングにも社長は現れた。
OKが出た時、男泣きに泣いてくれた。
「よくやってくれました。やはり、あなただったんです。あなただったんですよ」

それが、自分が出す事の出来た『結果』だった。
セールスなど、もうどうでも良かった。

社長はこの曲のために、久しぶりに大きなキャンペーンを張ってくれた。
どこでも好評だった。
この曲を自分が歌えることが、その歌を聞いてもらえる事が何よりうれしかった。

「こりゃあ、今回は行けるんじゃねぇか」
多賀がニタニタしながらいった。

そしてこの曲が自分の人生の流れを変えた。

週間ランキングで、圧倒的な枚数で1位を取ったのだ。

[to be continued]

282 :名無し募集中。。。:01/11/19 01:07 ID:GTEu9H7x
荒らしっていうよりうっかり雑談しちゃっただけだと思われ。
気にせずがんがってください。

283 :ねぇ、名乗って:01/11/19 01:50 ID:KliBTWzG
仕事の合間の書き込み、ご苦労様です。
今回、エディ・タンゼントというボクシングの有名なトレーナーを
思い出してしまった。
文章の質を落とさないように、ゆっくりでいいから、がんがってください。

284 :774:01/11/19 03:42 ID:7fw11KNp
新作どうもです。ダーヤスの今後に期待っす。
荒らし云々は過敏にならない方がいいです。
正直、私から見ると、只の雑談です。

285 :136:01/11/19 22:02 ID:t14JvVzK
仕事で疲れて帰ってきていま読みました。泣きました。
作者さん、無理はしないで続きを書いてください。楽しみにしていますから。

286 :て(略:01/11/20 20:04 ID:6EBlEOg8
凄いですね〜。
現実にありそうだもんな〜
矢口とかソロだと微妙に売れそう

287 :名無し募集中。。。:01/11/20 23:32 ID:wARY88Sn
作者たんはあまりここには馴染みがないようで。
あれは荒らしではないですよ。
お気にならず続けてください。

288 :名無し募集中。。。:01/11/20 23:34 ID:BXxbE5aC
お初っす。いいすねー、ここ。漏れも書いてみようかな?

289 :ねぇ、名乗って:01/11/21 05:24 ID:rUDnVpQ5
>>288
駄スレはいっぱいあるので、ここを面白くするためにも是非小説を書いてみてください!
ただ、このスレでは書かないでくださいね・・・

290 :HOZEN:01/11/21 21:50 ID:rqqwtBcy
保全という事でここはひとつsageで。

291 :名無し募集中。。。:01/11/22 13:16 ID:cXIlQnmN
FIGHT!ASUKA

292 :HOZEN:01/11/22 22:18 ID:jMBrbZjz
12時間毎に保全という事でここはひとつsageで。

293 ::01/11/23 01:30 ID:UOjW+9wa
やめていい

294 :ねぇ、名乗って:01/11/23 01:34 ID:vST93PvL
>>293

理由も書きなさい。
さて、君は「けんすけ」か?

295 :293:01/11/23 01:38 ID:2dOn7DE1
とにかくいらないから

296 :ねぇ、名乗って:01/11/23 01:40 ID:3u1x4Fl4
>>295
ここまでの屑レスも最近は見ませんな

297 :【保田圭2011】:01/11/23 03:00 ID:AkicRFJy
前回は何やら疲れがピークだったようで、変な前文になりました。
「荒し」という言葉の定義も間違っているようで。
不快に感じられた方がおられましたら、お詫びします。
すいませんでした。

考えてみたら、この小説自体がとんだスレ違いなんですよね(w。
Take it easy.
気楽に参ります。

といっている今も、へとへとだったり(w。

>>224
>>226
>>228
>>230
>>250
>>285
これからも、よろしくお願いします。

>>225
>>232
>>237
フランス語、覚えられたかな。
ちゃんとご飯、食べられてるかな。
なんて、想像上の彼女が心配になってみたり(w。

>>229
みんな幸せだといいですね。

>>233
私、2ch初心者なんですが...。

>>240
>>241
>>245
>>246
>>249
すいませんが、前節の前文のようにお願いします。

>>282
>>284
>>287
ちょっと神経質になっていたようで...。

>>283
質、落ちてますか?
確かにチェック漏れが多くなっていますね。
BESTな状態を作り出すのが不可能なので、BETTERでも、とりあえず進もうかと。

>>286
1期・2期メンバーは歌うまいですよね。世間的にはそういう印象を持たれていないようですが。

>>288
本気でやるなら、これはかなりしんどいですよ(w。

>>289
そうですね、ここではちょっと...。

統合レスですいません。
そして、保全に協力していただいた方、ありがとうございました。

では >>281 の続きです。

298 :【保田圭2011】:01/11/23 03:01 ID:AkicRFJy
#15

『無欲の勝利やなぁ。おめでとう』
『圭ちゃんおめでとう。とうとうやったね』
『圭ちゃんすごーい。尊敬しちゃうよ』
『保田さんおめでとうございます』

元娘。のメンバーや、友人、知人から電話やメールがたくさん届いた。
現金なものだ。
つい先日までは引け目を感じて顔を合わせたくないと思っていた人たちに、会いたくて堪らなくなった。

しかし、曲のヒットと共に、娘。時代のような多忙な日々が始まった。
休日はおろか休憩時間を取る事すらままならない状態だった。
自由な時間はなくなったが、充実した日々が続いた。

彼とも、会う時間がなかなか取れなくなっていった。
今回の曲を習得するまでの長い時間を、彼は精神的に支えてくれた。
成功と共に一緒に過ごせる時間が激減したのは皮肉だった。
それでも彼は、毎日のようにメールや電話で励ましてくれた。

今は何も考えず進もう。
そう決めた。

1年あまりが過ぎた。
続けて出した曲も受け入れられ、歌手として確固たる地位を築く事に成功しつつあった。
その年、受け取った歌唱印税は、ソロになってからの全ての収入をも上回った。

久しぶりに彼を食事に誘った。
彼は歌唱印税の明細を見て眼を丸くした。
「凄いねぇ。僕の年収の10倍近いよ」
「凄いでしょ」
上機嫌で、ワインを傾けた。
「これね、私、ぱーっと使っちゃおうと思うの」
彼は驚いて、ワインをむせ込んだ。
「...そ、それはあんまり良くないんじゃないかな」
「ねぇ、見て見て」
一冊のパンフレットを彼に差し出した。
それは超高級マンションのパンフレットだった。
さすがに普通なら手が届かない。
だが、オーナーが社長の知り合いで、特別に安く提供してくれると約束になっていた。
「これ、買っちゃおうかな〜って。凄いでしょ。都心で6LDKよ」
「す、凄いねぇ」
「...ねぇ」

「まさか、一人で住めなんて言わないよね」

彼は、再びむせ込んだ。

そして、その次の週。
似合わない盛装に身を包んだ彼に呼び出された。
ラフな彼には不似合いな、高級フランス料理店だった。

緊張のあまり、彼はプロポーズの言葉を何度もやり直した。
見て見ぬ振りのボーイも、笑いを堪えるのに必死の様子だった。
最初は真面目に聞いていたのだが、とうとう吹き出してしまった。

これは結構高くついた。
「君、あの時笑ったろう」
結婚後、ちょっとした意見の食い違いがあると、彼は決まってこの事を持ち出した。
「男が一世一代の台詞を言おうって時に、笑うのはどうかと思うね」
これを言われるとぐうの音も出ず、彼の意見に従うしかなかった。

部屋のカーテンも、応接間のソファも、そんなふうにして彼の選んだ物になった。

299 :【保田圭2011】:01/11/23 03:02 ID:AkicRFJy
結婚、そして妊娠。

「アホか、お前は」
多賀は、呆れ果てたように言った。
「これからって大事な時期に、何考えてんだよ」

確かに、歌手としてようやく上り調子になってきたのだから、もう少し時期を考えるべきだったかもしれない。
けれども、プライベートも大切にしたい。
正直のところ、もうあまり若くは無いという焦りも確かにあった。

「ちょっと無計画だったかも知れませんね」
社長は困ったように笑って、それでも1年間の育児休暇をくれた。

休暇の前に出した曲は、親子愛がテーマだった。
あざと過ぎる気もしたが、ありがたい事にこの曲もヒットした。

休暇に入り、やがて出産。
男の子だった。
真、と名付けた。
平穏で、幸せな日々が続いた。

休暇が8ヶ月目に入ろうとした頃。
突然社長から電話があった。
「約束とは違うのですけど、是非復帰していただきたいんです」
それは、ニューヨーク公演の依頼だった。

数年前に起こったマンハッタンの戦いで、マンハッタン島を中心にニューヨークは廃墟になってしまった。
その後、復興が急ピッチで行われるなか、新しいコンサートホールが完成した。
こけら落としに世界中から歌手が招待されることになった。
その一人に選ばれたのだ。
思ってもみない、大きな仕事だった。

「真はまだ、4ヶ月なんだよ」
夫は反対した。
「わかった、断る」
すぐにそう決めた。
海外は年々危険になっている。
真を連れていくわけにも、置いて行くわけにも行かない。

しかし、あっさり決めると夫はかえって気になって仕方なくなったらしい。
「本当に良いの? 凄いチャンスなんだよね」
一日に何度もそう聞いてきた。

「じゃあ、あなたが決めて」

結局、幼い真を夫に預け、渡米する事になった。

2週間のオープニングセレモニーの一日を、日本代表として任された。
米内外のビッグネームと肩を並べるのだ。
震えるほどの緊張感だった。

真新しいコンサートホールで、思いきり歌った。
完全燃焼だった。
最高の自分を出す事が出来た。
しかし、それでもまるで足りなかったのだ。

アメリカのマスコミは、好意的に取り上げてくれた。
しかしそれは遠く日本から祝賀に訪れた者への礼儀のような物だった。
プライドが粉々に打ち砕かれた。
おかげで、いつの間にか自分がどこか高慢になっていたことにも気付いた。
それが一番の収穫だったといえるかもしれない。

日本ではニューヨーク公演は、実際の成果以上に報道された。
国際派というわけのわからない呼ばれ方をして苦笑した。
海外での活動を過大評価するのは、相変わらずだ。

「まあ島国根性ってやつさ。利用しない手は無いよな」
多賀がそう言った。
社長もおそらく、この事を見越して海外遠征を決めたのだろう。

帰国後の仕事は順調だった。
順風満帆。
何もかも全てが、良い方向に向かっている。

そう思いこんでいた。

300 :【保田圭2011】:01/11/23 03:03 ID:AkicRFJy
いつの間に、日付は変わっていた。
明かりを灯していないのに、部屋は窓からの光でほのかに明るい。
それが、月明かりでも星明かりでも無く、街の明かりである事がなぜかとても悲しい。

ひとりで過ごすには、この部屋は広すぎる。
でも、もうひとりになってしまったのだ。
いや、むしろ自分で、それを選んだのではないか?

方法はあったはずだ。
無理やりすがりつく事も、夫の実家に押しかける事もできた。
それをしなかった、自分は...。

カーペットの上には、メモリマンが転がっている。
これが、自分の選んだ物。
これを、選んだのだ。
拾い上げて、耳にセットしようとした。
だが、また投げ捨てた。
どうしても、聞く気になれない。

ふと、卒業写真に目が行った。

(そうだ、みんなに会いに行こう)
そうしよう。そうしなければ、多分...。

もう、一歩も先に進めない。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

『珍しいですね、保田さんから電話くれるなんて』

紺野あさみは、一回目のコールが終わらないうちに電話に出た。
深夜にも関わらず、元気で大きな声だ。
「ごめんね、こんな時間に」
『なぁに言ってんです。これからが私の時間ですよ』
はきはきと、早口で話す。
目の前にある卒業写真の紺野は、いかにもおっとりとした顔で写っている。
ずいぶん変わったものだ。

「ちょっとお願いがあるの」
『これまた珍しい。はい、なんでしょう』
「私、ちょっと長めの休暇をもらったの」
『へええ。そりゃあ、うらやましい』
「でね、久しぶりに娘。のメンバーに会っておこうと思って」
『それは、それは』
「でね、連絡先がわからない人がいるの。わかったら教えて欲しいんだけど...」
『いいですよ、誰のですか?』

写真を見ながら、連絡先を知らない元娘。の名前を告げてゆく。
『ずいぶん多いですねぇ。保田さん、付き合い悪い方ですよねぇ』
「...」
『私、今ちょっと忙しいんですけど、これ急ぎます?』
「ううん、わかっている娘から先に会ってくるつもり」
『じゃあ、明日にでもまとめてメールしますよ。最初は誰に会うんですか? 私?』
「しょっちゅう会ってるじゃないの」
最近の紺野は、いつもこんな調子だ。

「後藤真希に会ってくるわ」
『......後藤さん、ですか?』
思ってもみない名前だったのだろう。
紺野は、しばらく黙り込んだ。
そして、言葉を選ぶようにゆっくりといった。
『...後藤さんは、止めた方が良いんじゃありませんか』
「...いいえ、会ってくるわ」

会うのが一番、辛い娘から始めよう。

[to be continued]

301 :愛読者:01/11/23 05:37 ID:d0j3dzk5
新作ありがとう。後藤編に期待大ですわ。

新垣/中澤/吉澤/飯田に続く5人目かな?

302 :ねぇ、名乗って:01/11/23 05:54 ID:el0nr6Px
【保田圭2011】さん、レスにいちいちレス返さなくていいよ。うざいので

303 :136:01/11/23 08:06 ID:N/fW3x5Y
おお、現在(2011)にもどってきた。さらに楽しみなり。
作者様ノイズに負けずにがんばってください。

304 :名無し募集中。。。:01/11/23 13:12 ID:tZ61xGfw
>>302
2ch初心者だからしょうがないよ

305 :名無し募集中。。。:01/11/23 18:39 ID:oZ9u7+tT
>>302
そんなことは本人の自由。
自分の都合で人にケチをつけるオマエみたいな厨房のが遥かにウザイ。
文句があるなら読むな、そして自分で書きな。

306 :ねぇ、名乗って:01/11/23 23:39 ID:5KW627Fg
>>305
無視できないおまえもウザイぞ。そして俺もだな。
確かに全部にじゃなくて、かいつまんでレスするのでもよいのかと。

307 :名無し募集中。。。:01/11/24 00:02 ID:YYr/j+Gs
そりゃあ誰だって自分が応援してるメンバーの、
不幸な未来の話しは気持ちよくないよね。
けど、だからってそんな言い草はないでしょ?
そんなわけで、302=304=後藤ヲタの引きこもり厨房。
テメエが一番ウザイ。だから友達いねえんだよ。ヴォケ

308 :名無し募集中。。。:01/11/24 00:12 ID:UWneyo/r
喧嘩すんなよ・・・

309 :名無し募集中。。。:01/11/24 00:14 ID:YYr/j+Gs
>>308
ゴメソ 。ついカッとなってしまった。
オレ、このスレ愛してるんだよなあ

310 :名無し娘。:01/11/24 01:02 ID:4l/D8FrV
マターリさせて。

311 :【保田圭2011】:01/11/24 14:13 ID:cfxVCJSZ
紺野あさみ × → 紺野あさ美 ○
うーん、やっぱりチェックが甘い...。

>>301
書きこみいただきありがとうございます。
でも、この後藤のエピソードはご期待に添えるかどうか...。
>>303
毎度どうも。まだまだ、がんばりますよ。
>>310
誰に言っているのかよくわかりませんが、もし私にでしたら......今回はすいません。

たびたびすいませんが、またお願いがあります。
非常識な書き込みは、完全無視で行きましょう。
ここでいう常識はもちろん2chの常識とやらではなく、一般常識です。
2chであろうがなかろうが、相手にしても無駄な人を相手にするのは止めましょう。
そういう人は、読むのも書きこむのもぜひ止めて欲しいというのが本音です。
しかし現実的に、そういう書き込みを止める方法はないのですから、完全無視でお願いします。
私も以後そうしますので。
というわけで...。
>>305 >>306 >>307 >>308
上記のようにお願いします。

では>>300 の続きです。

くどいようですが、この小説はフィクションです。
実在の人物をモデルにしていますが、本人とは全く関係ありません。
また、作者がこのような未来を望むものではないことをお断りしておきます。

文中の赤牟市・赤牟療養所などは、全て架空の名称です。

312 :【保田圭2011】:01/11/24 14:13 ID:cfxVCJSZ
#16

電車の乗客は、一駅ごとに少なくなっていった。
乗車した時にはつり革まで一杯だったが、イスに座っている人ももうまばらだ。
終点が近い。

となりの車両から通路越しに、中年の女性がふたりでこちらを見て、何かひそひそと話している。
今日は地味目なスーツとパンプスに、サングラスをしているくらいだ。
変装というほどのことはしていない。
保田圭であることに、気付いているのだろう。
そして、この電車に乗って、菓子折りと花束を膝に乗せている。
誰を訪ねていくのかも、察しが付いているのだろう。
蔑むような目でこちらを見ている。
滑稽な人たちだ。
なにを蔑むというのだろう。

やがて、電車は終点に着いた。
赤牟駅は、最近建て直したらしく、近代的で大きい。
ホームに降り立った乗客は、ほんの十数人ほどだった。
皆一様に、うつむき加減で足早に歩いてゆく。
まるで、誰かに見咎められるのを怖れるかのように。

改札を抜けると駅前広場に出る。
芝生と花壇が広がっている風景は、まるで欧米のどこかの観光地のようだ。
よく整備された広場は美しいが、閑散としていた。
広場から伸びる国道に繋がる道に、表示板が出ている。
『赤牟療養所』と。

数分ほど歩くと、正門についた。
大学か研究所を思わせる、大きくてシンプルな門だ。
しかし、その両脇にある守衛所と周囲を囲む高い塀が、刑務所を思わせる。

赤牟療養所は、千葉県赤牟市にある日本最大の療養所だ。
広大な敷地にいくつもの施設が点在している。
精神を病む人にとって、最も良い治療を受ける事が出来る場所とされている。
世界有数の大型施設だ。

ここに後藤真希が移されたのは『事件』直後の事だが、ここを訪れるのは始めてだ。

不意に、あの時の後藤を思い出した。
まるで子供の頃見た悪夢のように、心にこびりついて離れない記憶。
怖ろしさから体が震え、帰りたくなる。
(何、考えてるの)
意を決して、歩き出した。
ずっと逃げていた場所へ。

守衛がにこやかに会釈した。
勤めてそうしているのだろう。
平静を装って、会釈を返す。

しばらく歩くと、総合案内所がある建物があった。
後藤の病室を教えてもらった。

後藤の病室は、さらに数分歩いた場所にあった。
病室というよりも、どこかの避暑地の別荘のような、洒落た感じの建物だった。
建物の中も、病院という感じはしない。
ただ、ドアの前にある名札だけが、ここがあくまでも療養施設であることを物語っていた。

後藤の名札を掛けたドアを見つけた。
軽く深呼吸をすると、ほのかに消毒液のにおいを感じた。
少しの躊躇の後、ノックした。

「はい」
返事と共にドアを開けたのは、後藤ユウキだった。
後藤真希の実弟。
そして現在では、彼女のただひとりだけの家族だ。

313 :【保田圭2011】:01/11/24 14:14 ID:cfxVCJSZ
「保田さん」
ユウキは驚いたようだった。

どうして、突然。
どうして、今頃になって。
ユウキの顔に、そんな表情が浮かんだ。
不快感と共に。

しかしそれはすぐに消えた。
「どうぞ」
穏やかな顔になって、ユウキは病室に入るように促した。
何も聞かない。
何も咎めない。
それはかえって、辛く感じた。

「あの、これ」
花束と菓子折りを差し出した。
「すいません」
ユウキは受け取ると、小さなテーブルの上に置いた。

意外と広い部屋だった。
壁やカーテンの色は白を基調としているが、わずかにベージュがかっているようだ。
気持ちが落ち着くように、工夫されているのだろう。

部屋には、数脚の椅子とベットがある。
療養所のベットとは思えない、キングサイズくらいの大きさがあった。
清潔な白いシーツで覆われているそれにはしかし、拘束衣を取りつけるらしい治具が付いている。

ベッドの真ん中に、後藤真希は丸くなって、ちょこんと乗っていた。

薄いピンクがかったパジャマを着ている。
彼女はもう26歳になるはずだが、自分の記憶にあるどの時点の後藤よりも幼く見えた。
体も、ふたまわりほど小さくなってしまったようだ。
あまり陽に当たらないのだろう。
肌の色は抜けるように白い。

その可愛らしい顔には、幾条もの傷跡が痛々しく残っている。
何度も手術が施されたのだろう。
あの時に比べれば、ずいぶんと良くなっているようだ。
それでもあまりに深すぎる傷は、白く浮き上がるかのように顔全体を覆っている。

うずくまるように座った後藤は、何も無い空間を見つめている。
そして、薄く微笑んでいる。

「座ってください」
ユウキが、椅子を勧めてくれた。
窓際まで歩き、そこにあった椅子に座った。

後藤真希は、何の興味も示さない。
ただ、何も無い場所の何かを見つめ、微笑んでいる。

314 :【保田圭2011】:01/11/24 14:15 ID:cfxVCJSZ
「いただきます」
ユウキは、菓子折りを丁寧に開けると、ひとつ取り出した。
そして、ベットのところまで行くと、姉の手を取り、てのひらの上にそっと乗せた。
「よかったね。保田さんが来てくれたよ」

「ねえ、覚えてる? これ好きだったでしょ」
思わず、話しかけてみる。
後藤真希は答えない。
何も反応しない。

それは、まだ娘。だった頃。
誰かが差し入れてくれた菓子折りだった。
どういうわけかそれを気に入った後藤は、珍しく人の分まで食べてしまった。
食べ損ねたメンバーが、ふざけて後藤を追い回した。
逃げ回りながら、後藤は照れくさそうに笑っていた。
不思議なほど強く、印象に残っている。

その菓子折りと同じものを探して買い求めてきた。
後藤のために、何か出来る事。
そう思っても、こんな事しか思い浮かばなかった。
自分の無力さに、泣きたくなった。

ベッドの上の後藤が、少しだけさっきより笑ったように見えた。
そして、てのひらの上の菓子を、ゆっくりと握りつぶしてしまった。
ユウキは何も言わず、姉のてのひらに付いた菓子の残骸を丁寧に拭き取った。

「すいません」
「...いいえ」

「あおおおおあおあおおあおおうあおあいあああ」
突然、後藤が大声をあげた。
それは、怖ろしい声だった。
地獄の底から響くような、到底人間の物とは思えない叫びだった。
耳を覆いたくなった。
だが、そんな事をしても何にもならない。

これが、今の後藤真希なのだ。
逃れようの無い、これが現実なのだ。

そしてまた突然、後藤は黙り込んだ。
何も無かったように、さっきとは違う空間を見つめている。
わずかな微笑をたたえて。

「わかってるんですよ」
姉を見つめたまま、静かにユウキが言った。
「あなたが来てくれた事、わかってるんです」

(後藤...)

声を掛けたかったが、言葉が出なかった。
涙が溢れ出して、後藤の姿を隠してしまった。

[to be continued]

315 :136:01/11/24 16:39 ID:CY9EA95y
更新が早い…。連休でお休みかな作者様。
ごっつぁん。何があったんだろう…。
ちょっと非道な展開ですなぁ。続きを待ちます。

316 :283:01/11/24 23:35 ID:A43H+QhC
「文章の質を落とさないで」といった者です。あのブロックは時間の流れが
速かった分、書き飛ばした、そんな気がしたんですよね。
「後藤病院編」はよいペースですよ。気の持たせ方、うまいじゃないですか。
まったく明日北九州へ行くというのに気になってしょうがない。
マジヲタのレスでスマソ(w

317 :保全:01/11/25 14:47 ID:JzXeLGBt
保全

318 :愛読者:01/11/25 17:17 ID:LBOPcIOH
新作有り難う。読み応えありすぎ(w
すでに150KB越えてるのが心配...
これからもがんがってくださいませ。

319 :ねぇ、名乗って:01/11/26 00:02 ID:oRBSfGHi
>>316
なんでこいつこんな偉そうなの?よいペースとか、うまいじゃないですかとか。
>>283の書き方といいさ。おめーにこれ以上の小説書けんのかよ。
黙って読んでろや。

320 :まあまあ:01/11/26 00:38 ID:A10q2+tk
>>319
小説家なんじゃない? きっとベストセラー作家なんだよ。
だから、あんなふうに言えるんだ。ブロックとか(w

321 :保全:01/11/26 12:32 ID:JVNkTyn6
保全

322 :ねぇ、名乗って:01/11/26 20:03 ID:tuAr5Bq8
保全

323 :一般人:01/11/26 22:44 ID:QJt6tQiH
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa

324 :名無し募集中。。。 :01/11/26 22:50 ID:ZN0qGfgz
同意上げ

325 :ねぇ、名乗って:01/11/26 23:06 ID:5kTI1Fhy
上げんな

326 :ねぇ、名乗って:01/11/27 00:21 ID:Lsed0VSb
sage

327 :ねぇ、名乗って:01/11/27 14:08 ID:/QgrQPff
保全

328 :名無し募集中。。。:01/11/27 23:10 ID:3XzWZgoS
まだよ…いや、保全ね、保全!!(w

329 :名無し募集中。。。:01/11/28 09:37 ID:q7YmnpNj
朝保全します。でも、2日に一回くらいでも大丈夫かな?

330 :ねぇ、名乗って:01/11/28 23:13 ID:c/kSNjY/
保全

331 :名無し募集中。。。:01/11/29 10:36 ID:Hr6MGi8w
hozen

332 :ねぇ、名乗って:01/11/29 19:13 ID:gz9HedE+
保全上げ

333 :ねぇ、名乗って:01/11/29 20:24 ID:ecvprEtn
やめていい
若い保田でも中学生が4人も入ってきたらきついと思う
オリメンならともかく、ちょっと歌が上手いだけで何のとりえもない

334 :名無し募集中。。。:01/11/29 20:29 ID:nC5hy5gu
>>333
誤爆に近いものがあるな。
このスレはもはやアンチスレじゃなくなってる。

散れ。

335 :名無し娘。:01/11/29 22:51 ID:5L52ofaJ
>>333
空気の読めない子…(w

336 :名無し募集中。。。:01/11/30 03:47 ID:FfkKk3DZ
>>333
ワラタ

337 :名無しさん:01/11/30 09:22 ID:vibWT3va
やめていい
いくらモー娘。でも中学生が6人にもなってたらきついと思う
オリメンならともかく、ちょっと年が若いだけで何のとりえもない

338 :ねぇ、名乗って:01/11/30 21:05 ID:PcGTe/K9
>>337
HOZEN?

339 :名無し募集中。。。:01/11/30 23:22 ID:V3Jl/U5I
>>337
二番煎じはつまんないよ

340 :落合福嗣:01/11/30 23:43 ID:sBqnNA4n
糞スレ皿仕上げ

341 :名無し募集中。。。:01/12/01 00:25 ID:E3jfE45M
>>340
おまえ、マジで殺すよ?
テメエも太ってて醜いが、テメエの母ちゃん、世界一のバケモンだろ

342 :名無し募集中。。。:01/12/01 01:09 ID:esnftYny
今時皿仕上げって。。。

343 :名無し募集中。。。:01/12/01 13:10 ID:5KfZMUL7
12時間経過保全

344 :落合福嗣:01/12/01 19:53 ID:RKH8dTfB
保田はブス

345 :ねぇ、名乗って:01/12/01 21:12 ID:jjfiG/r6
でも保田脱退するとなっち、飯田脱退も近い。
すると矢口が最古参になってキチガイ集団になる恐れアリ。

346 :(〜^◇^):01/12/01 21:16 ID:DvVMWC4d
(〜^◇^)<>>345市ね

347 :名無し募集中。。。:01/12/01 21:21 ID:Xk98A/YZ
ああ、そっか。この状態だと小説部分が見えないんだ。
だからタイトルだけ見たバカがレスしてんだな。

348 :_:01/12/01 22:14 ID:Q18nay+3
>>345

キチガイハキサマダ

349 :名無しさん:01/12/01 22:23 ID:oGxGTHcN
保全するときには、

小説【保田圭2011】 保全中

とか入れるといいと思う

350 :名無し募集中。。。:01/12/01 22:51 ID:h0yLz4Ru
普通書き込むときはログは少しぐらい見るもんだと
思うんだが・・・

351 :【保田圭2011】:01/12/02 01:55 ID:/3oyurvm
>>315
毎度どうもです。
休みは土曜日一日のみ。全然連休じゃありませんでした。
非道ですか。うーん。非道、ですよね...。

>>318
レスが1000を超えなくても、容量オーバーで読めなくなってしまう場合があるようですね。
どのくらいまでなら大丈夫なのでしょう。
場合によっては一度スレを閉じて、続きを別スレにしないといけないのかも知れませんね。

>>349
それ、お願いできるとありがたいです。

では>>314 の続きです。

352 :【保田圭2011】:01/12/02 01:56 ID:/3oyurvm
#17

「おはよー、圭ちゃん」
「おはよう、後藤」
「ねーねー聞いてよー」
「くるしいくるしいっ、朝から抱きつくなっ」
「おかーさんがねー、げんこつでぶつんだよー」
「なんだそりゃ」
「あのね、今日ね、ユウキがね、仕事で朝早く出かけたの」
「うん」
「でね、あたしユウキの服着て、ご飯食べるテーブルんとこ座ってたの」
「へ」
「おかーさん台所でね、ご飯作ってて、ちょっと振り向いてあたし見てね」
「うん」
「『ユウキ、なにやってんの、早く出かけなさい』って」
「あはははは、あんたらそっくりだもんね」
「でね、あたし黙って座ってたの」
「うん」
「そしたら、おかーさんまた振り向いて、あたしだって気がついたの」
「うん」
「あたし、へへへーって笑ったら、おかーさん、いきなりげんこつで、ごーんって」
「あはははははははははははは」
「ひどいよね、ふつう笑うよね」
「あはははははははははははは」

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

「お客さん、大丈夫?」
遠慮がちな声で起こされて目が覚めた。

自分がどこにいるのか、しばらくわからなかった。
(そうだ。電車で帰る気になれなくて、ハイヤーを呼んだんだ)
起こしてくれたのは、運転手だった。
「やだ、私いま、昔の夢見てて。笑ってました?」
運転手は気の毒そうに答えた。
「いや、泣いてたみたいだったよ...」
ルームミラーに、自分の顔の上半分が映っていた。
涙の跡が、一筋ついていた。

あれはいつだったろう。
娘。時代のいつか。
心にたくさん残っている、後藤のかわいい記憶のひとつ。

後藤との楽しかった想い出は、時々現れては胸を締め付ける。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

「お忙しいのに、今日はありがとうございました」
病室を出る時、ユウキはそう言って深々と頭を下げた。
言外に、再訪を拒む雰囲気があった。

それも当然かもしれない。
8年間、一度も訪れていないのだ。
ユウキはその間、どれほど苦しんできたのだろう。
気まぐれのように訪れた見舞い客が、不快でないわけが無い。

元娘。であの病室を訪れるのは、吉澤ひとみだけだとユウキが教えてくれた。
吉澤は、今でも数ヶ月に一度は見舞いに来るそうだ。

初耳だった。
吉澤の事も。
他の元娘。たちが自分と同様である事も。

まるで後藤真希が存在しなかったかのように、ずっと背を向けてきたのだから。

353 :【保田圭2011】:01/12/02 01:57 ID:/3oyurvm
突然の凶報に、元娘。たちがひとつ場所に会したのは、娘。解散から一ヶ月ほど過ぎた時だった。
都内の救急病院で、海外留学中の福田明日香を除く全員が、顔を揃えた。
少し遅れて、後藤の家族も駆けつけた。
表には、早くも事態を聞きつけたマスコミが、まるで病院を包囲するかのようにたかっていた。

深夜の待合室で、皆、暗い顔で自分の足元を見ていた。
信じたくない、という思いで一杯だった。
これが悪い夢であってくれたら、と。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

後藤真希は、娘。解散後すぐに、歌手としてソロ活動を開始した。
娘。のエースだった後藤は、やはり一番の注目株だった。
解散後すぐに出した曲は、当然のようにヒットした。
多忙な日々は、娘。時代から途切れることなく続いていた。

この頃、後藤は何かに怯えていたらしい。
事務所が付けてくれた他に、自費でボディガードを雇った。
3人のいかつい男に守られた後藤は、以前に比べてあまり笑わなくなっていたという。

後藤が感じていた恐怖は、具体的な何かではなく、予感のような物だった。
周囲の誰もが、完全にソロになってナーバスになっているのだと思いこんだ。
だから、何の対処もしなかった。
仕事の関係者も、家族も、友人も、そして元娘。のメンバーも。

まさか、本当にあんな事が起きるとは、思いもしなかったのだ。

凶行は短時間で行われた。
それは、後藤がテレビ局の通路を移動中の時だった。

突然現れた男が、ボディガードの隙を突いて、後藤をさらった。
悲鳴をあげる余裕すらなかった。
男は、後藤を抱えたまま、掃除用具などが置かれている部屋に入り、中から鍵を掛けた。
更に、扉が開かないように、速乾性の特殊な接着剤で固めてしまった。
ボディガードがすぐに扉に取りついて蹴破ろうとしたが、容易には開かなかった。

鉄の扉越しに、後藤の悲鳴が聞こえた。
すさまじいまでの、悲鳴だった。
ボディガードの一人は、恐怖に駆られて逃げ出してしまった。

残ったボディガードと周囲に居た男たちがドアを破ったのは、3分あまり後の事だった。
そこで見た光景は、身の毛のよだつようなものだった。
部屋中が、血の海だった。
壁も、床も、整理して置かれている掃除道具にも、大量の後藤の血が飛び散っていた。

男は、右手に凶器のナイフを持っていた。
刃渡り30センチを超える、刀のようなナイフだった。
そして左手には、髪をつかんで後藤をぶら下げていた。

後藤はもう、悲鳴を上げることも出来なくなっていた。
ぐったりと、ぶら下がっていた。

顔が無い。

ドアを蹴破るのに協力した警備員が、その時そう思ったという。
後藤の顔は、ナイフでめちゃめちゃに切り裂かれてしまっていた。
顔があるべきところには、血にまみれた塊のような物があるだけだった。

誰もが凍り付き、身動きが取れなかった。

男は、それを見て満足げに笑った。
そして、もう動かなくなった後藤の頭に、2度ナイフを突き立てた。

鮮血がほとばしった。

354 :【保田圭2011】:01/12/02 01:58 ID:/3oyurvm
緊急治療室に、後藤の家族だけが通された。

「お願いです、私も」
後藤を一番可愛がっていた市井紗耶香が願い出たが、病院のスタッフはかぶりを振った。
「紗耶香」
中澤が抱きしめるようにして、市井を下がらせた。
わがままで、後藤の家族を足止めするわけにはいかない。
市井は中澤の腕の中で、体を震わせてうつむいた。

家族が緊急治療室に入った直後、病院の廊下に悲鳴が響いた。
後藤の母親の声だった。

「真希!」
堪えかねて、市井が走り出した。
他の元娘。たちも後に続いた。
制止を振り切って治療室に飛び込んだ。

元娘。の15人がそこで見たもの。
それは、突然目の前に現れた地獄だった。

後藤の母親が恐慌をきたして、後藤に取りすがろうとしていた。
ユウキが必死でそれを押さえていた。

その向こうに、後藤はいた。
ベッドの上で暴れている。
ベッドは血まみれだった。

後藤の顔は失われていた。
そこには、ただ血にまみれた何かがあった。
取って付けたように、見開かれた二つの眼球がらんらんと輝いている。
それは、怖ろしい狂気に満ちた輝きだった。
暴れるたびに血が飛び散り、皮膚の一部や肉片までがベッドの上に落ちた。

「安静剤を!」
「これ以上は危険です!」
「いいから射て! これ以上暴れたら、組織が崩れてしまう」

看護婦が抑えつけようとするが、後藤は信じられない力で振りほどき暴れ続けた。
医師も看護婦も、後藤の血を浴びて紅く染まっていた。

「真希...」
愕然としてその光景を見ていた市井が、突然卒倒した。
続いて紺野が、意識を失って倒れた。
我に返った中澤と飯田が、慌てて二人を室外に連れ出した。

「君たち、外に出なさい!」
医師が鋭い声で命じた。
それが引き金になり、元娘。たちは治療室から我先に逃げ出した。
ある者は廊下で座り込んで泣き出し、ある者は洗面所に駆け込んで胃の中のものを全部吐き出した。

治療室を出ようとして、吉澤が、ひとり立ち尽くしていることに気が突いた。
吉澤は、瞳を見開いて後藤を見ていた。
凍り付いたように、身動き一つしなかった。
「吉澤、外へ...」
抱きかかえて連れ出そうとすると、弱々しく抵抗した。
治療室を出る最後まで、後藤を見ていた。

吉澤を押し出してから、最後にもう一度だけ振り向いて後藤を見た。

(化け物だ...)
(後藤が化け物になってしまった)

そう思った。
そう思ってしまった。

[to be continued]

355 :ねぇ、名乗って:01/12/02 02:42 ID:6eK9iabj
作者さんには悪いが、マジで気持ち悪くなってしまった…。
いや、それだけ文章上手いって事なんですけども。
今回だけは胃が痛い…でも続き期待してます。

356 :名無し娘。:01/12/02 02:48 ID:qYFU1kcv
うー、今日のハロモニで後藤を見たらこの小説のことを思い出しそうだよ〜

357 :名無し募集中。。。:01/12/02 02:56 ID:ZlnkEyMw
なんか、凄まじいですね。

358 :114:01/12/02 06:59 ID:gR+QSgPJ
>>【保田圭2011】作者さま

>>114でレスした者です。
何つうかこう・・・、重い展開。それだけ余計に続きが気になります。今後も期待してます。
ひょっとして、このスレでは終わらないかもしれない、なんて事ないですか?
もしそうなっても、新スレ立てて書き続けて戴ければと思います。

359 :名無し募集中。。。:01/12/02 07:49 ID:9g/WaGUW
気持ち悪い。吐きそう。スゲー嫌な気分だ。

もちろん、誉め言葉です。

360 :136:01/12/02 11:01 ID:K9h8emdE
予想以上の非道な展開でした。
ファンじゃないけどごっつぁんかわいそう…。
怖いけど続きをまってます。

361 :ねぇ、名乗って:01/12/02 12:16 ID:AzIFPZuN
今回の話の後に吉澤編( >>133 )を読み直したら、泣ける度倍増ですな。

362 :名無しさん:01/12/02 16:41 ID:ZarAfbah
読み応えありすぎっす。
次スレに逝くのは確実ですね。
1年かかってもいいから完結まで頑張って下さい。

363 :ねえ、名乗って:01/12/02 22:51 ID:7yiAfeB9
むしろ、残酷なまでのリアルさで読み応えがある。
頑張ってください。

364 :【保田圭2011】:01/12/03 01:51 ID:BGWuPsQU
短時間にたくさんの書きこみ、ありがとうございました。
おおむね肯定的に評価していただき、正直のところ胸を撫で下ろしています。
しかし、ご覧いただいた中には不快に感じた方もいらっしゃると思います。
改めて、お詫び申し上げます。

暴力が関わる物語で、暴力を描く必要があるのか。
残酷な物語で、残酷な描写をする必要があるのか。
アマチュアであっても、非常に悩む問題です。
ましてやこの小説は、実在の人物をモデルにした未来の物語ですし...。

それでも、今回は表現すべきと判断しました。
その是非は、お読みいただく方それぞれに判断していただくしかありません。

相変わらず時間の確保が難しい状態ですが、読む価値のある小説を書いていきたいと思っています。
これからもよろしくお願いいたします。

そして...
>>361
しまった。それをここで言われてしまっては...。
伏線の作り方として失敗していたと言う事ですね。反省。
日々、反省です。

では >>354 の続きです。

本節は、4分割になりました。

365 :【保田圭2011】:01/12/03 01:52 ID:BGWuPsQU
#18

「モーニング娘。は、夢を売る商売やで」
「娘。そのものが夢みたいなもんや」
つんくは娘。たちに、口癖のようにそう言っていた。
しかし、待っていたのは予想だにしない悪夢だった。

「一体、何をやっていたんやろうなあ」
姿を隠す前に、つんくはそう言っていたという。
「俺のしてきたことは、なんやったんやろ」
つんくたちは、所属アーチストやスタッフに出来る限りの事をして、事務所を閉鎖した。
そしてその後、多くの関係者がこの世界から去った。

つんくは、自分を責めたのだろうか。
もしも、娘。など無かったならば、と。
それは、間違いだ。
娘。があったからこそ、後藤の輝ける青春があった。
後藤は、絶対につんくを恨んだりしないだろう。
それはつんくにもわかっていたはずだ。
それでもきっと、つんくには堪えられなかったのだ。

あんな形の、夢の終焉は。

つんくは、消息不明になった。
誰一人、彼の行方を知る者はいない。

『事件』が残した傷跡は、容易には消えなかった。

元娘。の中にもソロ活動を断念し、引退する者がいた。
移籍して活動を再開した者も、心の傷を引きずったままだっただろう。
世間の好奇の目も、彼女たちを確実に傷つけたはずだ。

不遇時代だった自分は、仕事をキャンセルしてもらい家に引きこもった。
何とか立ち直ろうと、もがいていた。
しかし、考えるのは後藤の事ばかりだった。
可愛かった彼女と、おそろしい姿の彼女が、交互に意識の中に現れた。
そして、自分を責めている気がした。

時折、事務所のスタッフが尋ねてくれた。
「絶対にあなたには誰にも危害を加えさせません。安心して、出来れば早く復帰してくださいね...」

心遣いはうれしかったが、それはまるで見当外れだった。
決して自分が、後藤のような被害者になる事を怖れていたわけではなかった。
自分の事などどうでもよかったのだ。
ただ、後藤真希の存在が、自分の中で壊れて行くのが苦しくてたまらなかった。

後藤の可愛らしい顔の記憶が薄れ、あのおそろしい姿にすりかわって行くような気がした。

いつしか、ひたすら後藤の痕跡を自分の中から消そうとするようになっていた。
なんとか仕事に復帰したが、決して立ち直れたわけではない。
常に無理やりに、後藤の記憶を追い出そうと、忘れようとあがいていた。
それは、簡単な事ではなかった。
後藤は、あまりにも深く自分の中に入り込んでいた。

後藤真希という存在は、すでに自分の人生の一部だったのだ。

自分の中にある後藤の記憶に、怯える日々だった。
幸せなはずの記憶さえも自分を脅かすようになっていた。

後藤を怖れた。
後藤の存在は恐怖だった。

怖らく、他の元娘。たちも同じだったのだろうと思う。

それはあまりにも哀しく、あまりにも辛い事だった。

366 :【保田圭2011】:01/12/03 01:53 ID:BGWuPsQU
後藤の家族は、不幸のどん底に落とされた。
興味本位の世間やマスコミが、彼らを苦しめた。
看病疲れもあったのだろうか。
後藤の家族は、次々と亡くなった。
ついには後藤の家族は、ユウキひとりになってしまった。

彼は定職につかず、細々とアルバイトをして自分の生活費を稼いでいるという。
そして、姉を守り続けている。

治療費は、事務所閉鎖時に受けた心づけと、国からの援助で賄っていると聞いた。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

犯人は、凶行のその場で取り押さえられた。
その男は、変質者でもストーカーでもなかった。
男は金で雇われていた。
関係者を打ちのめしたのは、男を雇ったのが除名された6期メンバーのひとりだった事だった。

娘。解散の直前。
6期メンバーが除名されるきっかけになった写真を週刊誌にリークしたのは後藤ではないかという憶測記事が出た。
娘。のセンターを奪われることを怖れたためであると。
それは根も葉もない記事だった。
しかし、それを信じて逆恨みをしたのだ。

実際に写真をリークしたのは、他の6期メンバーのひとりだった。
彼女はまともになりたくて、苦しんでいたのだろう。
しかし、その行動が招いたのは最悪の結果だった。

裁判には長い時間がかかった。
暴行を持ちかけた除名メンバーは、未成年だった事もあり短期間少年院に入っただけだった。
彼女のその後は知らない。

実行犯の男は、最高裁まで争った。
男は、自分が異常者ではないと主張した。
精神鑑定でも、正常と判断された。
男は、あのような犯罪を犯せば、犯罪者としてカリスマ的な存在になれると思いこんでいた。
喜んで後藤を手に掛けたのだ。
その点では異常者としかいいようがない。

反省の色を認めず。
情状酌量の余地なし。
事件は残虐で極めて悪質。

初犯の殺人未遂としては異例に重い、無期懲役に確定した。
一生を塀の中で過ごす事になった男は、当てが外れて法廷で暴れた。

(こんなくだらない者たちのせいで...)
犯罪者たちがどうなろうと、さして興味は持てなかった。
ただ、後藤真希という存在が奪われてしまった事が悔しく、堪えがたかった。

後藤はもう、大好きな歌を歌う事も無い。
子供じみた悪戯をしてはしゃぐ事も無い。
誰かに恋して、身を焦がす事も無い。

後藤真希は、いなくなってしまった。
そう思っていた。

それは間違いだと、彼女が気づかせてくれるまでは。

367 :【保田圭2011】:01/12/03 01:54 ID:BGWuPsQU
地面すれすれの漆黒のロングコート。
立てた襟にサングラス。そしてボルサリーノ。
その姿を見て、それが吉澤ひとみとわかる人はあまりいないだろう。

渋滞に巻き込まれ、マンションに着いた時はもうずいぶん遅い時間だった。
住民が中からロックを外さなければ、マンションの中には入れないようになっている。
吉澤は玄関ホールの隅で待っていた。

「おかえり、ヤッスー。携帯は持ち歩けよ」
会うなり、白い息を吐きながら、吉澤は静かにそう言った。
携帯は、診療所の規則でスイッチを切ったまま、バッグの中だった。
「ずいぶん待っちゃったよ」
「ごめんね」

「コンちゃんが電話くれたよ。心配してた」
「そう...」
「ごっちんに会えた?」
「うん」
「元気だったでしょ?」
「うん」
「相変わらず、可愛かったでしょ?」
「うん...」

堰を切ったように、涙が溢れ出した。
こらえようとしても、止められなかった。
吉澤が、優しく抱きしめて頭を撫でてくれた。
周囲もはばからず、まるで子供のように声をあげて泣いた。

「大丈夫?」
しばらくして、吉澤が訊いた。
「...」
「じゃ、あたし行くね」
「あ、待って。あがって行って」
吉澤は首を横に振った。
「これから仕事なの。ごめんね。...大丈夫だよね?」
一緒に居て欲しかったが、仕方なく頷いた。
「じゃあね。おやすみ」

吉澤は、肩を優しく叩くと、歩き出した。
しかし、数歩歩くと立ち止まり、振り返ってまっすぐこちらを見た。
何かを迷っているようだった。
しかし彼女は、意を決して叫んだ。

「笑えよ、ヤッスー!」
「吉澤...?」

「泣いてたって、何にもなんないんだよ。何にも変わんないんだよ」
「...」
「だから、哀しい人が笑えるように、笑えよ」
「...」
「笑えよ、ヤッスー! 笑え!」
最後は泣き声だった。
サングラスとコートの襟の隙間から、大粒の涙が見えた。

ずっと気付かなかった。
吉澤ひとみの笑顔の理由。
哀しい人のために。
いつか哀しい人と、共に笑いあう日のために。
願いを掛けた笑顔。
それが、吉澤ひとみの笑顔。

吉澤はきびすを返すと、今度こそ本当に歩き出した。
もう振り返る事は無かった。
足早に去って行くその背中に向けて、拳をあげた。
選手宣誓のように。

368 :【保田圭2011】:01/12/03 01:55 ID:BGWuPsQU
ねぇ、後藤。
あんたが娘。に加入したばっかりの頃の事、覚えてる?

あんた、ホント気ままでさ。
先輩メンバーが、みんないらいらしてたんだよ。
それなのに、あんた、全然気にしてなくてさ。
私、はらはらしてたよ。
でもなんか、面白かった。

あんた、仔猫みたいに自由でさ。
仔犬みたいに、ひとなつこくてさ。
すぐにみんな、あんたのこと可愛がるようになったね。

あんた、ホントに不思議な娘だよ。
側にいるだけで、なんだか幸せな気分になれたよ。
ずいぶん長い時間、一緒にいたよね。
楽しかったよ。
ホントに、楽しかった。

私が娘。を卒業しても、あんたがじゃれついてきてくれて、すごくうれしかったよ。

哀しくて、辛いめにあわせちゃったね。
何にもしてあげられなくて、ごめんね。

あんたの事、怖いなんて思って、ごめんね。
後藤はひとりしかいないのにね。
どうして違うなんて思ってたんだろうね。
おかしいね。
おかしいよね。

8年も空白が出来ちゃったよ。
ごめんね。
許してくれるよね。
そうだよね。

私、もうじきハルギスタンって国に行くんだよ。
危険な国らしいけど、大丈夫。
ちゃんと無事に、元気に帰ってくるからね。

そうしたら、また会いに行くね。
あんたの弟は、きっと嫌な顔すると思うけど、それでも行くからね。
待っててね。

また、一緒の時間を過ごそう。
また、家族みたいになろう。

いいよね、後藤。
いいよね。

おかえり、後藤。
私の人生に。

ただいま、後藤。
あなたの人生に。

[to be continued]

369 :( `.∀´)y-~~:01/12/03 02:01 ID:JuaLgMmj
お疲れ様、作者さん。

370 :ねぇ、名乗って:01/12/03 09:53 ID:wiZCYiqV
感動です・・・涙

371 :136:01/12/03 14:49 ID:X8uEgfYi
仕事中に読んだけど感動して涙出た。この展開の為の前回の暴力描写なのか。
でもね、泣けたけど、いくらなんでも実在モデルでこの展開は可哀想だと思いま
した。
それも作者さん巧すぎる故。

372 :136:01/12/03 14:59 ID:X8uEgfYi
あ、ヨッスィーの台詞、あれだね。かのぷ〜だね。

373 :ねぇ、名乗って:01/12/03 22:55 ID:d9mHJA5+
いいスレだねぇ 俺にとっては一週間に一度のお楽しみだよ。
他のクソスレにたむろってる輩に介入されないことを切望するよ。

でもって、さっきCSでプッチのPVを見た時にこの小説とオーバーラップして思わず涙
しちまった。 泣いてるの? …私。

374 :小説【保田圭2011】 保全中:01/12/04 14:44 ID:B3FDVMeO
小説【保田圭2011】 保全中

375 :ねぇ、名乗って:01/12/04 23:24 ID:Ve6SK3OC
小説【保田圭2011】 保全中

376 :名無し募集中。。。:01/12/05 03:15 ID:j00o0g2F
上げんなよ
ついでに保全

377 :ねぇ、名乗って :01/12/05 08:52 ID:k9p/Qg8h
ほぜ

378 :12時間経過の為:01/12/05 21:39 ID:Hq7uNkns
小説【保田圭2011】 保全中

379 :ねぇ、名乗って:01/12/05 21:42 ID:a3lpXAh9
次スレもリサイクルでいって欲しいと思う。へんなの呼び込まないためにも。
ちょっと気が早かったかな。ついでに保全。

380 :ホセ・メンドーサ:01/12/06 00:42 ID:1Ycviyyu
保全♪<12時間くらい経ってからの方がいいの?

381 :ねぇ、名乗って:01/12/06 00:43 ID:nZ6FgUpD
ほた

382 :ねぇ、名乗って:01/12/06 00:44 ID:+xMwF00E
http://www.sex-jp.net/dh/04/

383 :ねぇ、名乗って:01/12/06 00:56 ID:01ml8WXc
だー sage

384 :12時間経過の為 :01/12/06 13:37 ID:u0uUbtKS
小説【保田圭2011】 保全中

385 :ホセ・メンドーサ:01/12/06 22:19 ID:1Ycviyyu
保全♪

386 :小説【保田圭2011】 保全中:01/12/07 00:27 ID:Dl+xjkUg
ヴァカの尻拭い保全

387 :名無し募集中。。。 :01/12/07 01:09 ID:M+XBde+J
オイ、白髪ジジイ、ホセメンドーサ
てめえなんでイチイチageてんだよ
氏ね

388 :ねぇ、名乗って:01/12/07 04:49 ID:Dyo+s0m2
超初心者です。あとスレ違いスマソ

なんであげちゃいけないの?

ふつーに素朴な疑問です。
誰か教えてください。

389 :ホセ・メンドーサ:01/12/07 05:13 ID:BGdHfEZ8
>>388
いちいち厨房に反応することないよ、見たくなけりゃ来なきゃ良いんだもん。
他の板で相手にされないヲタがかまって欲しいだけだからさ(ウププ
放っとくのが一番!
って、煽ってる漏れもある意味辛子か、スマソ

390 :名無し募集中。。。:01/12/07 05:27 ID:/7Ms/eZu
保田がトークで目立つようになってから
モーニング娘。のCDが売れなくなってきた

391 :名無し募集中。。。:01/12/07 05:35 ID:jfVrZM2Y
>>390
そんなにヤスに影響力があったとは。
ヤスおめ。1日遅れでスマン。

392 :( `.∀´)y-~:01/12/07 06:17 ID:tmZq7b65
>>388
素晴らしい小説スレは荒されたり余計なレスはなるべく避けたいのよ。
その為には下のほうでひっそりと、DATに行かない程度に保全していくのが
暗黙のルールなのよ。
なので、ホセもできればsageで保全してくれるとありがたいわ!

393 :12時間経過の為:01/12/08 01:02 ID:gJLCoPGs
小説【保田圭2011】 保全中
>>ホセさん
  sageで保全してくださいね

394 :ねぇ、名乗って:01/12/08 10:30 ID:op1yuNzl
 

395 :ねぇ、名乗って:01/12/08 14:24 ID:okNF64St
小説【保田圭2011】保全中

>>389
頼むからもう出てくんな

396 :ねぇ、名乗って:01/12/09 01:55 ID:CILMqJPQ
hozen

397 :ねぇ、名乗って:01/12/09 06:30 ID:wI5pnYbw
>>395

オマエモウザイ

398 :ねぇ、名乗って:01/12/09 16:25 ID:za151Zmi
小説【保田圭2011】保全中

399 :【保田圭2011】:01/12/09 23:49 ID:51eyagPs
>>369
今時、喫煙は感心しませんが...(w。

>>370
感想をありがとうございます。一言でも、本当にうれしいんですよ。

>>371
確かに、フィクションとは言いきっていても、モデルにされた方は不愉快でしょうね。
後藤真希さん、小説の中とはいえ、とんでもない目にあわせて、ごめんなさい。
後藤ユウキくん、小説の中とはいえ、苦労させて、ごめんなさい。
後藤さんのご家族の皆様、小説の中とはいえ、亡くなったなんて、本当にごめんなさい。
これは保田圭さんのご家族の皆様も、ごめんなさい。
関係者の方々、ファンの皆様、ごめんなさい。
阿呆なアマチュア作家の暴走と、笑って斬り捨てていただければ幸いです。
申し訳無い事に、この暴走、しばらくは止まりません。
どうか寛大な心でお許しくださいませ。

ところで、この話の続きの予定を考えてみると...。
うーん、困りました。毎回のように謝らなければならない...。
と、いうわけで、あんまり謝ってばかりでも何なので、今回で最後にします。
こんな作者の、こんな小説ですが、よろしかったらこれからもご愛読ください。

>>372
これは何かの作品のセリフに似ていると言う意味だと思うのですが、私にはよくわかりません。
【保田圭2011】は、全編を通して底本のようなものはありません。
1箇所だけ(2箇所というべき?)パロディのシーンがありますが、ここは違います。
何かに似ているとしたら、非常に残念です。

>>379
むしろ、堂々とタイトルをつけてやりたいのですが...。
リサイクルとはいえ、間借りしているような妙な居心地の悪さがあるもので。

>>388
>>392 の方のアドバイスは、的確かと存じます。

>>392
多謝。

長くなったついでに、もうひとつ。
もうどこかで話題になったのかもしれませんが...。
先日、ビデオに録ってあった数回前のMUSIXをようやく見ました。
プッチモニ。が番組冒頭で歌った週です。
で、「L. O. V. E. Lovely YASUDA」というところ。
なんと保田、自分で歌ってました。これはびっくり。
ひょっとして歌うことになっているのかな、と思ってビデオを巻き戻してみたのですが...。
後藤も吉澤も歌ってませんでした(そりゃそうだ)。
どんなにがんばって小説を書いても、現実の保田には勝てないと思い知らされた瞬間でした(w。
ヤッスー、なにやってんの。ホントにもう。
なごんだぞ(w。

そして、今回も保全ご協力ありがとうございました。sageでお願いします。

では >>368 の続きです。

本節も4分割になりました。

400 :【保田圭2011】:01/12/09 23:50 ID:51eyagPs
#19

>>>> 多賀からのメール

待機、あと5日に延長。
準備難航中。
連絡待て。


>>>> 社長からのメール

多賀君からハルギスタン行きを希望している事を聞きました。
私は、反対です。
今度お会いしてお話ししましょう。
また連絡します。


>>>> 紺野あさ美からのメール(2通目)

さっきのメールで書き忘れたので、追伸です。
人を訪ねるのなら、相手の事を良く思い出しておくこと。
特に訪ねる相手の子供の名前を忘れてるなんてサイテーです。
もういい大人なんだから、そういうところもちゃんとしてくださいね。


(紺野め。ナマイキな。最近言いたい放題じゃないの)
(大体、失礼よ。子供の名前くらい覚えてるわよ)
(なっちのところの子は、え〜と......)
(......)
(......)

(年賀状で調べとこう。ま、今回は感謝しとくか)


>>>> 紺野あさ美からのメール(3通目)

今日、3通目です。
検索屋さんから結果が来たので、取り急ぎ。
市井紗耶香さんについて、検索を依頼していました。
評判のいいところに頼んだのですが、結果は残念ながら Not Found でした。

それから、言い忘れていたのですが、今年になって福田さんから電話をもらいました。
さっきかけてみましたが、今は連絡がつかないようです。
念の為、電話番号です。
福田明日香さん(自宅) 5XXX-XXXX

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

はい、福田です。
現在、長期海外出張中です。
帰国は来年早々の予定です。
モントリオール支部に居ますが、外出が多いので連絡はメールでお願いします。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

(出張中かぁ)
もう何年、福田明日香に会っていないだろう。
そういえば、就職先も知らない。
(また、冷たいとか言われそうだなぁ)

受話器を置くと、その瞬間にコールが鳴った。
(あれ、ひょっとして明日香、帰ってきてるのかな)
慌てて受話器を取った。

「もしもし、保田さんのお宅でしょうか?」
「はい」
「あ、保田? ねぇ今夜にでも会えない?」

「...彩っぺ?」

401 :【保田圭2011】:01/12/09 23:50 ID:51eyagPs
石黒彩は、娘。初代のメンバーだ。
そして、娘の二人目の卒業生でもある。
彼女と共に娘。として過ごしたのは1年半あまりだが、共に苦労した忘れ得ぬメンバーだ。

特徴的な、ややつり上がった大きな目に、鼻ピアス。
一見、きつそうに見えるが、娘。の中で一番優しい性格をしていたのは彼女だろう。

「彩っぺは、おかあさんみたいだね」
いつか、後藤がそう言っていた。
「だって、何にも言わなくても後藤の事わかっちゃうんだもん」

いつも、優しく包み込むように近くにいる。
彩は、そんな暖かな存在だった。

娘。卒業の理由は、服飾デザイナーになる夢をあきらめきれない、ということだった。
しかし彼女は、卒業後しばらくして結婚し、家庭に入った。
そのために、結婚が本当の理由だったのだろうと取り沙汰されたりもした。

もちろん、真実は彼女しか知らない。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

「へぇい、保田ァ」

約束の時間を15分も過ぎて、彩は現れた。
彩が指定した、レトロ趣味なスカイバーだった。

「遅ォい。自分から呼び出して、遅刻?」
「すまん、すまん。あ、あたしも同じのを」
大袈裟に謝る仕草をしつつ、隣のカウンター席に納まった。

豊かな髪は、相変わらずきつめに染めている。
上品だが、派手な色のスーツを着込んでいる。
とても小学生の子供を持つ母親には見えない。
だが、彼女が子煩悩な良い母親だと、誰もが知っている。

「久しぶりだねぇ」
「ホントに久々。...ねぇ、保田、どうかした?」
「えっ」
「何か変だよ。何かあったの?」
自分の言葉に自信を持って、彩はそう訊いてきた。
そして心配そうに、顔を覗き込んでくる。

(久々に会っても、そうなんだなぁ)
取り繕ってみても、彩には通じない。
まるで見透かすように、相手の心を言い当てる。
娘。の頃から、ずっとそうだった。

(いっちゃおうか)
一瞬迷った。
覗き込んできた彩と、目が合った。
大きくてきれいな瞳が、今にも泣き出しそうに、潤んでいる。

(いっちゃおうかな)
夫と子供の事。
ハルギスタン行きの事。
そして、後藤に会ってきた事。

(...ダメだね)
話すべきではない。
彩には辛い話は、するべきではない。

402 :【保田圭2011】:01/12/09 23:51 ID:51eyagPs
「今日は、どうしたの? 急に電話くれて」
無理やり話題を変えた。
そうとわかるように。

「そっか、話したくないか...」
彩は、視線をそらすと寂しそうに言った。
「...大丈夫だよ」
「...」
「私は、大丈夫だよ」
「...そう」

「なんか、寂しいわ」
彩は、カクテルに唇をつけたまま呟いた。

「さぁ楽しく飲もう。久しぶりじゃないの」
「...ごめん」
「ん〜」
「楽しい話じゃないんだ」
「そか、...いいよ。話して」

彩の顔を見ずに、カクテルグラスを見つめていった。
彩がこちらを見ているのがわかる。
迷っているのがわかる。
やがて、迷いを断ち切るように、彩は大きめの声で話し出した。

「裕ちゃんの事なんだけど」

「裕ちゃん?」
意外だった。
中澤裕子の話とは、思いもしなかった。
「あんた、新垣ちゃんと『裕子の部屋』出たでしょ」
「...うん」
「その日、裕ちゃん遅刻してきたでしょ」
「うん。深酒して寝坊したって言ってた」
「あたしね、一緒だったの。前の晩、一緒に飲んでたの」
「...」
「裕ちゃん、荒れちゃってね、すごく」
「...どうして?」

彩は、少しためらった後、続けた。
「あんたに会わなきゃいけないから」

殴られたような衝撃だった。
愕然として、グラスを落としそうになった。
中澤は、再会を喜んでくれていたのではなかったか。

そして、思い出した。
鏡越しの、あの視線。
憎悪に満ちた、あの視線。
中澤はやはり、自分を見ていたのだ。

「誤解しないで」
彩は慌てて付け足した。
「裕ちゃんは、あんたの事、すごく大事に思っているんだ」

(じゃあ、何で...)
聞きたかったが、声が出なかった。
彩は、その様子を見て、なだめる様にゆっくりと話した。
「ごめん。変な言いかたして。裕ちゃんはね、自分にいきどおっちゃってるんだ」
「...」
「裕ちゃん、ずっと歌で成功したかったのよね。ずっとがんばってた。でも、駄目だった」
「...」
「だから、あんたが成功して、すごくうれしいんだけど、すごくうらやんじゃってる」
「...」
「...憎むくらいにね」
「...」
「自分の気持ちをどうにも出来ないみたい」

403 :【保田圭2011】:01/12/09 23:52 ID:51eyagPs
「...ごめん。こんな事、話しちゃいけない事だよね。ごめん」
彩は椅子ごと背を向けた。
肩がわずかに揺れている。
泣いているのがわかる。
その夜からずっと、悩み続けてきたのだろう。

彩の一番の泣き所は、多分優しすぎる事だろう。
彼女の心の容量は、きっととても小さいのだ。
優しすぎる彼女は、時に他人の悲しみでその心を一杯にしてしまう。
そしてその苦しみに、堪えられなくなってしまう。

中澤は、きっと酔いに任せて自分の気持ちを彩にぶちまけてしまったのだ。
それを彩は、ダイレクトに受け止めてしまったのだろう。
そして、堪えられなくなってしまったのだ。
そうならば、中澤もきっと自分の気持ちに苦しんでいるのに違いない。

「わかったよ」
明るい声を作ってそう言うと、彩は振り向いた。

「じゃあ、もっともっと裕ちゃんに憎まれるような、すっごい歌手になるわ」
笑って言った。
本当は泣きたかった。

「そう」
そんな気持ちをきっと見抜いているはずの彩はしかし、優しく微笑んでうなずいた。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

羽田空港から、新千歳空港へ。
そこから室蘭へは電車を乗り継がなければならないが、今回はレンタカーを借りてみた。

今年はまだ、雪が降っていない。
年々初雪が遅くなっていると聞いた。
地球温暖化は確実に進んでしまっているのという。

人々が狂い、世界が狂い、地球が狂っているといったのは、確か有名な環境活動家だ。
未来は閉塞感に満ちている。
いつからこんな時代になったのだろう。
それでも、ほとんど変わらずに暮らし続ける自分や周囲に、不思議さを感じる。

もっとも世界の行方はおろか、自分の歩く道にさえ迷いがちだ。
だからこそ、自分の道を見つめるために、娘。たちに会おうとしている。
そのために、ここまで来た。

彼女に会うために。

やがて、目的地に着いた。

交通量の多い国道沿い。
郊外型大型店舗の電気店と紳士服チェーン店の間。
もう昼時をずいぶん過ぎているのに、広い駐車場は半分近くが埋まっている。

レンタカーを駐車場に止めた。
家族連れが多い。
ずいぶん繁盛しているようだ。

(ホントにあるんだ...)
本人にも聞いた。
テレビや雑誌の取材も見た事がある。
しかし、実際に目の当たりにすると、何やらおかしさが込み上げる。
(笑ったら、怒られちゃうな)

巨大な看板には堂々とした毛筆で、『お食事処なっち』とあった。

[to be continued]

404 :名無し募集中。。。:01/12/10 00:30 ID:w1R8k9P3
ほぼリアルタイムで読みました。次回のなっち編楽しみにしてます。
因みに千歳からだと室蘭まで電車乗り継がなくてもいいような・・・
室蘭に母親の実家があるものでつい・・・あげあし取りでしたね。すみません。

405 :404:01/12/10 00:40 ID:w1R8k9P3
ごめんなさい。1回位乗り継ぎ必要かも。今、気になって調べちゃいました。

406 :( `.∀´)y-~ ◆55KEi21c :01/12/10 06:01 ID:R6X6pa2B
ごめんなさい、タバコだけはやめられないのよ(w

アタシもいつも楽しみにしてるわ!
一つ注文すると、暴走を気にせずに作者さんの思うように書いてほしいってことね!

407 :136:01/12/10 20:16 ID:TwEen2bx
おお新展開ですね。ナカザーの謎も解けたし、なっち編が楽しみですね。
なっちは幸せなのかしらん。
あと、実在のモデル云々の話は申し訳ないです。
このクオリティのまましっかり完結すればよいのかなと思いますし。
それからかのぷー云々は忘れてください。失礼しました。

今回長文書き込みすみません>読者のみなさん。

408 :ねぇ、名乗って:01/12/11 02:48 ID:C3xoiRrk
保田ねーさんage

409 :名無し募集中。。。:01/12/11 02:51 ID:pUf5UX4S
あげるなってーの

410 :読者:01/12/11 03:35 ID:xWTYdakV
新垣、中澤、吉澤、飯田、後藤、石黒の次は安倍ですね。がんがれ!

411 :小説【保田圭2011】保全中:01/12/11 16:29 ID:CV/0s7Se
12時間経過
小説【保田圭2011】保全中

412 :小説【保田圭2011】保全中:01/12/12 05:54 ID:H6iIOapI
作者さんがレス数を気にされていたので
自分の感想は保全の際に書こう、と思ってました。

「ここを読んじゃって、自分で書く気を失った人って
少なくないよな(自分もそのうちの一人)」

完結までお付き合いさせていただきます。
御多忙そうゆえ、健康に留意なされますように。

413 :12時間経過:01/12/12 18:13 ID:Bar7cchP
小説【保田圭2011】保全中

414 :名無しさん保全:01/12/12 20:42 ID:V4AB+VI+
毎回楽しみにしてます。

415 :ねぇ、名乗って:01/12/13 06:36 ID:vqQllNkB
小説【保田圭2011】保全中

416 :12時間経過の為:01/12/13 22:07 ID:kJQ80eyg
小説【保田圭2011】保全中

417 :ねぇ、名乗って:01/12/13 23:08 ID:E4HGFkNO
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20011213-00000157-jij-soci

418 :_:01/12/14 01:42 ID:hs/y3kJm
sage
小説【保田圭2011】保全中

419 :ねぇ、名乗って :01/12/14 15:31 ID:nTnGg7F2
小説【保田圭2011】保全中

420 :ねぇ、名乗って:01/12/15 01:24 ID:s6ovvM4H
保田さんだけでなく、飯田さん、安部さん、矢口さんのおばさん組は皆モー娘から
引退したほうが、平均年齢が若返っていいと思う。昭和50年代生まれはモー娘には
いらない。この人たちは「ババモニ」としてやってけばいいと思う。

♪ババモニテレフォンだ、リンリンリン。やすさんです。あべさんです、かおさんです。
まりさんです・・・・ってな感じでね。

最低でも保田ババアと、20歳のおばさんのくせに「パパ」、「ママ」とかほざいたり、
自分のこと名前で呼ぶ飯田さんの二人は絶対消えてほしいです。飯田さん、おばさんって
だけでなく、あんなでかい図体してて、よく子供みたいなしゃべり方できますよね。
いい大人が見苦しいっす。

矢口さんは「ミニモニ」とかぶっちゃいましたねえ。安部さんはもう影うすいんで、
何もありません。さようなら、みなさん。

421 :NO!NO!:01/12/15 01:32 ID:TBkHfzcb
おいおい、420は放置でいいのか?
こういうことをいう女(女だよな?)ってみてみたいね

422 :壱太郎:01/12/15 01:38 ID:A6drhlo5
ふぅ

423 :ねぇ、名乗って:01/12/15 01:54 ID:MgAuW+Q1
女なら明日は我が身と言うことくらい身に沁みてるだろ。
単なるロリペドヲタと思われ。

424 :名無し募集中。。。:01/12/15 09:25 ID:W30yEftm
>>420 はスレタイトルに誘導されてやってきたんじゃねーの?

425 :ねぇ、名乗って:01/12/15 19:48 ID:P6hJkkkO
小説【保田圭2011】保全中

426 :ねぇ、名乗って:01/12/16 00:32 ID:XihzL9KB
小説【保田圭2011】保全中

427 :なゝし:01/12/16 11:43 ID:tVuDAo5Y
      ∧_∧      ∧_∧
     _( ´∀`) (´∀` )
  三(⌒),    ノ⊃    ( 1  )   糞スレは・・
     ̄/ /)  )     | |  |
    . 〈_)\_)   (__(___)

         ∧_∧   ∧_∧
         (  ´∀) (´∀` )
        ≡≡三 三ニ⌒) 1  .)   立てるなって・・
        /  /)  )  ̄.| |  |
        〈__)__)  (__(___)

           ∧_∧  ,__ ∧_∧
          (    ´)ノ ):;:;)∀`)
          /    ̄,ノ'' バ  )  言ったろーが!!
         C   /~ / /   /
         /   / 〉 (__(__./
         \__)\)
                      ヽ l //
            ∧_∧(⌒) ―― ★ ―――
            (    ) /|l  // | ヽ   ヴォケがーー!
           (/     ノl|ll / / |  ヽ
            (O  ノ 彡''   /  .|
            /  ./ 〉
            \__)_)

428 :小説【保田圭2011】保全中:01/12/16 23:38 ID:fhHevKTT
保全

429 :【保田圭2011】:01/12/17 01:41 ID:OOQhrDsS
プッチモニ。 × → プッチモニ ○
いつから勘違いしていたんだろう...。

>>404 >>405
書きこみ、ありがとうございます。
東室蘭までなら乗り継ぎ無しのはずです。そこからタクシーでも良いのかもしれません。
『なっち』の正確な場所はわかりませんが(w。

>>406
健康のため、吸い過ぎにご注意ください(w。

>>407
毎度どうもです。

>>410
保田も数えても、ようやく8人。まだ半分に届きません。
物語としても、まだ全体の半分弱程度...。

>>412
書きこみ、ありがとうございます。
レス数につきましては、気にせず書きこんでいただいて結構です。
容量の問題もありますので、切りの良いところで新スレをたてて継続するつもりです。
それから、是非、小説に挑戦してください。
苦しいですよぉ(w。
ずいぶんお褒めいただいたりしていますが、私なども所詮はアマチュア。
更新と同時にしくじりに気づいて、深夜にのた打ち回ったりしています(w。
まずは始めてみませんか?

>>414
ありがとうございます。これからもどうぞよろしく。

今回も、保全ご協力ありがとうございました。


では >>403 の続きです。

この物語はフィクションです。
実在の人物をモデルにしていますが、本人とは全く関係ありません。
また、特定の人物を中傷する目的で書かれているものでもありません。
(ああ、今回も謝ってしまったも同然...)

なお、曽根崎幸仁は架空の人物です。念の為(w。

そして今回も4分割。特盛セール実施中です。

430 :【保田圭2011】:01/12/17 01:42 ID:OOQhrDsS
#20

安倍なつみは、娘。の初代メンバーだ。
飯田圭織と共に、結成から解散までを経験した。

のんびり屋で、ちょっとうっかり者。
いつでも明るく、いつでも元気。
安倍は、娘。のムードメーカーだった。

結成当初から解散まで、なつみはずっとフロントメンバーだった。
当初は、福田明日香とのツートップ。
福田卒業後は、しばらくはひとりで。
後藤真希加入後は、二人が最強のフロントコンビになった。

娘。解散後、彼女はしばらく休養期間に入った。
数ヶ月かけて充電し、マルチタレントとして復帰する予定だった。
移籍先の事務所も決まり、第2のデビューの準備は着々と進行していた。

しかし、あの『事件』が起きた。
安倍は復帰を断念し、そのまま引退となった。
故郷である室蘭に帰り、以来ずっとその地を離れていない。

しばらく後、彼女は婚約した。
相手は、曽根崎幸仁という会社員だった。
北海道に仕事できた時に、紹介された。
年は彼女より二つ上と言う事だったが、なにやら頼りない印象を受けた。
色白でおとなしい曽根崎は、元気な安倍とはあまり似合わないように思えた。

この結婚は、ずいぶん反対されたらしい。
それというのも、曽根崎幸仁が勤めていた水産加工の会社が結婚直前になって倒産したからだ。
二人は話し合い、一緒に飲食店を始める事にした。
しかし、その費用のほとんどを安倍が出す事に、周囲は不安がった。

反対を押し切って彼女は結婚し、曽根崎なつみになった。
幸仁は猛勉強して調理師になり、ついに二人は小さな店を持った。
『お食事処なっち』
その店名は、客寄せには充分だった。
まだ娘。の記憶も新しい頃だ。
物珍しさとなつみ見たさに、多くの客が押し寄せた。

いつまで続くだろうか。
周囲は心配した。
だが二人は、努力を続けて店を盛り立てた。
次第に、料理を目的に来る本当の意味での常連客が付き始めた。
安くて旨い店として『なっち』は有名になっていった。

やがて、小さな店ではやってくる客を捌き切れなくなった。
そしていったん店を閉じ、改めて現在の場所に大きな店を開いた。

味が落ちるのではないか。
違う店になってしまうのではないか。
店のファンは心配したらしい。
しかし二人は努力を止めず、満足のいく味を提供し続けている。

今では、『お食事処なっち』は有名なグルメスポットだ。
『なっち』という名前も、元娘。の安倍なつみの愛称というよりも、店の名前としてもう一人歩きしている。

大手の商社から、チェーン店化の話もあったらしい。
素晴らしく良い条件だったそうだが、幸仁はきっぱりと断ったそうだ。
「それはもう、『なっち』ではありませんから」

なつみの選んだ相手は、頼りない外見とは全く違う硬骨漢だった。

431 :【保田圭2011】:01/12/17 01:43 ID:OOQhrDsS
今日はしっかりと変装してきた。
これなら、なつみの目の前に立ってもすぐにはわからないだろう。
今日はなつみは店に出ているだろうか。
もしも、彼女がオーダーを取りに来たら最高だ。
いきなり変装を解いて、驚かせてやろう。
そんな子供じみた悪戯に、いつになく夢中になる。
ひさしぶりになつみに会える。
その事が、心を浮き立たせている。

扉を開けると、店内の賑わいが聞こえてきた。
入ってすぐは、小さな待合所になっている。
混雑時には、客がここで待つのだろう。
駅の待合所のような、質素な作りだ。
そこに、大きな垂れ幕が下がっている。
『特盛セール実施中 通常\200 → \100』
なんとも庶民的で、良い感じだ。

幸い、空いてきている時間帯だ。
待合所の席には、誰もいない。
案内を待つ間、座っていようと思ったその時。
悪戯の計画は、あっさりと破られた。

「圭ちゃ〜〜〜〜〜〜〜ん」

広い店内の一番奥、厨房への通路らしきところ。
そんな遠くから、こちらを見つけたなつみが大声をあげた。
(な、なんで?)

なつみは、トレーを抱くようにしながら、こちらに走ってくる。
「ど〜〜〜したの〜〜〜〜〜〜」
満面の笑顔と、大きな声に、客たちが何事かと驚いている。
(は、恥ずかしいって...)

元気良く、駆けて来る。
だんだん、近づいてくる。
(止まれ止まれ、そろそろぶつかるって...)
(あれ、ぶつかんない...)

遠近感が狂った感じ。
やがて、目の前に立ち止まったなつみは、最後に会った時よりもずっとふくよかになっていた。

「わぁお、なっちの特盛だぁ」
「...久しぶりに会っていきなり、失礼だべさ、この人は」

なつみは、膨らんだ頬を更に膨らませて見せた。
周囲の客が、どっと笑った。

「どうしたの、突然、電話も無しにさぁ」
「今朝、家の方に電話したんだけどさ、誰も出なかったよ」
「留守電になってなかったべか」
「なってなかった」
「ごめ〜ん。仕込みがあるから朝早くこっちに来ちゃうんだ」

「で、どうして室蘭へ?」
「うん。なっちに会いに」
「うれしいべさぁ」

つい、通路に突っ立ったまま話しこむ。

432 :【保田圭2011】:01/12/17 01:43 ID:OOQhrDsS
「あ、圭ちゃん、お昼、食べた?」
「まだ。ご馳走してもらうのアテにしてきた」
「ご馳走、するべさ、するべさ」

なつみは、奥まった席を選んで案内してくれた。
その席は中2階のように一段高くなっていて、窓から街の様子が良く見えた。

「ここ、一番いい席だよ。空いてて良かった」
「うん、良い眺めだね」
「で、ご注文は?」
「う〜ん」

卓上のメニューを手にとって、考えるふりをする。
どれでも構わない。
どれでも美味しいに、決まってる。

++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++ ++++++++++

食事の後、裏にある事務所の応接室に通された。
質素で飾り気の無い事務所は、きれいに整頓されていた。
娘。時代のちょっとズボラな彼女からは考えられない。
なつみも良き妻に、そして良き母になったのだ。

しばらくひとりで待つと、夫の幸仁が挨拶に来た。
「お構いも出来ませんが」
「いいえ。美味しく頂きました。本当に美味しかったです」
幸仁は、嬉しそうに笑った。
もうすっかり、骨の髄まで料理人なのだろう。
「ありがとうございます。ごゆっくりどうぞ。すぐなつみ、来ますんで」
頭を下げると、慌ただしく去った。

やがて、なつみがトレーの上に、二つのコーヒーカップを載せて現れた。
「うちの店は、コーヒーも自慢なんだよ」

香りを楽しみ、一口すする。
「おいしい」
「だべ?」

「あ、ねぇさっきなんで変装してるのにすぐにわかったの?」
そう訊くとなつみは呆れたように笑った。
「圭ちゃん、おマヌケ」
「なによう」
「娘。の頃、そんな格好で、何度も一緒に出かけてるべさ」
忘れていた。
おめでたい。

ふと見ると、部屋の入り口から小さな女の子が覗き込んでいる。
手招きすると、元気良く駆け込んできた。
そして見知らぬ訪問者を、珍しそうに見上げた。

「きゃー。なっちのミニチュアだ」
「あははは。良く似てるって言われる」
「なつきちゃん、だよね」
「あ、なつきの名前、覚えててくれたんだ」
「と、当然でしょ」
「なつき。こんにちは、は?」
「こちはぁ」
元気に叫ぶ。
あまりの可愛らしさに、思わず抱き上げた。
「なつきちゃんは、いくつ?」
「なつきじゃ、ないよぉ」
「ん〜。じゃあ、あなたはだあれ?」
「ちびなっちだよぉ」

ちびなっちは、誇らしげに胸を張った。

抱っこされた状態が気に入ったのか、ちびなっちは膝の上に落ち着いた。
「ごめんね。重くない?」
「体重はママと似てないもんねぇ」
「んまぁ。憎たらしい」
「きゃははははははは」
わかっているのか、いないのか。
ちびなっちは、楽しそうに笑った。

433 :【保田圭2011】:01/12/17 01:45 ID:OOQhrDsS
「今日は、子供はどうしたの」
「うん。ダンナとダンナの実家」
「連れてくれば良かったのに。会いたかったよ」
「うん、でも今回は強行軍だから」
つい、微妙な嘘をついてしまった。

「強行軍?」
「北海道、岡山、滋賀を回るの」
「?」
「ちょっと、長めの休暇もらってさ。急にみんなに会いたくなっちゃって」
「みんな? 娘。の?」
「そう」
「いーなー。もうみんなに会ったの?」
なつみは、本当に羨ましそうに、身悶えした。

「なっちで何人目かなァ」
「誰、誰に会ったの?」

「最初はね、新垣」
「新垣ちゃん。懐かし〜。元気だった?」
「うん。それから、裕ちゃん」
「裕ちゃん! 懐かし〜」
「新垣と二人で『裕子の部屋』の収録でね」
「わぁ『裕子の部屋』出たんだ。見るべさ。絶対見るべさ」
「うん、見て見て」
「裕ちゃん、相変わらずだった?」
「相変わらず。前の日に深酒して遅刻してきたんだよ」
「あはははは。そんなとこまで相変わらずなんだ」
「それからね、吉澤」
「うわぉ、よっし〜〜〜。会いたぁい」
「それから、後藤」
「......そう」
「それから、昨日の夜、彩っぺにも会ったよ」
「そう」

急になつみは元気を無くした。

「ねえ、なつき。ちょっとお外で遊んでおいで」

なつきは、突然の母の異変に驚いたようだった。
部屋を出されまいと、小さな手で服の端を握り締めた。

「なつき」
「なつきちゃん。ごめんね。お願い」
「ちびなっちだよぉ」
なつきは小さな声でそう言うと、膝から降りてとぼとぼと部屋を出ていった。

やはり後藤の話はするべきではなかったのだろうか。
なつみもまた、あの夜、あの場所に居たのだ。
自分とて、ようやく数日前になって後藤の事に向き合えるようになったばかりではないか。
それを突然、なつみに強要するのは酷というものだ。

しかし、なつみの想いは全く別のところにあった。

「後藤、どうだった?」
「うん...」
なぜか、返答に詰まってしまった。

なつみの春色の瞳が、いつの間に鈍色に変わっていた。
そして、窓の外を見ながら、抑揚の無い声で言った。

「私ね、ざまあみろって思った」
「なっち...?」

「あの時、ざまあみろって思ったんだ」

[to be continued]

434 :名無し募集中。。。 :01/12/17 02:09 ID:BA/klv5U
涙。締め付けられる展開ですね。楽しみにしています。

435 :名無し募集中。。。 :01/12/17 03:32 ID:SFl2Eqh9
ちょっと事情があってしばらく来れないんですが、この小説は必ず最後まで読もうと思っています。
作者様、どうぞお体にお気を付けて下さいませ。

436 :名無し募集中。。。:01/12/17 03:56 ID:fAY5ALQ6
特盛りセール嬉しいですね。
なっちの心の闇の部分。興味深いです。

437 :名無し募集中。。。:01/12/17 08:02 ID:SsBKRck3
最近厳しいな〜

438 :ねぇ、名乗って:01/12/17 21:00 ID:tTGN48yQ
小説【保田圭2011】保全中

439 :ねえ、名乗って:01/12/18 03:32 ID:XlbuoN9j
>>433
微妙なトコで止めるなぁ・・・
憎いね、作者(w

とりあえず頑張ってください。

440 :名無し募集中。。。:01/12/18 07:57 ID:iXEhMfup
腹減った(w

441 :12時間経過の為:01/12/18 22:34 ID:1N9EflCe
保全。
感想。あ、わし=136です。なっち編楽しいです。次回が楽しみ。

442 : :01/12/18 23:47 ID:5bdrcTXi
 

443 :名無しさん。:01/12/19 01:57 ID:u59qAMc2
久々に小説総合スレを見て発見。
一気に読んでしまった。
面白い。

444 :12時間経過の為:01/12/19 16:17 ID:SqsHTajp
小説【保田圭2011】保全中

445 :保田圭命:01/12/19 21:00 ID:vqzJic35
面白い。このスレを発見したことが今年最大の収穫です。
ヤスヲタでよかった(藁

446 :ねぇ、名乗って:01/12/19 23:06 ID:vPKtxg7v
かなりハマってます。何度も泣きそうになりました。
凄く上手いですね、文章。早速お気に入りに登録させてもらいました。
これからも応援させてもらいます!頑張ってください!

447 :名無し募集中。。。:01/12/19 23:40 ID:336uV115
さっき偶然発見して、一気に全部よみました。
"Remembrance of Things Past"ですね。
続きを楽しみにしています。

448 :名無し募集中。。。:01/12/20 11:30 ID:mPCIKyA7
小説【保田圭2011】保全中

各メンバーのキャラクターがまばゆいですね
それこそ憎いくらいに見事です

449 :ねぇ、名乗って:01/12/20 22:58 ID:7OFChbmw
小説【保田圭2011】保全中

450 :ねぇ、名乗って:01/12/20 22:59 ID:fUAImO7e
小説【保田圭2011】保全中

451 :ねえ、名乗って:01/12/21 03:38 ID:uPvafS9q
小説【保田圭2011】保全中

452 :ねぇ、名乗って:01/12/21 04:15 ID:YpxSZzBq
今日見つけて、一気にここまで読んでしまいました。
スレタイトルとはウラハラにこんな凄い小説が10月から展開されてたなんて。
100件毎に表示される>>1の書き込みも笑える。
まさかこんな優良スレになるなんて思ってもなかったでしょうね。

続きを心待ちにしています。

453 :12時間経過の為:01/12/21 18:08 ID:lPZOhJlo
小説【保田圭2011】保全中

454 :452:01/12/22 05:35 ID:Mx+chtXx
うぅ、続きを待ちきれなくてまた最初から読んで泣いてしまった。
小説【保田圭2011】保全中

455 :小説【保田圭2011】保全中:01/12/22 14:52 ID:SwDJwNTk
小説【保田圭2011】保全中

456 :名無し募集中。。。:01/12/22 22:23 ID:c73u+a1/
まだかな〜

457 :ねぇ、名乗って:01/12/22 23:31 ID:lDsSUwE3
おもしろい。

458 :ねぇ、名乗って:01/12/22 23:32 ID:lDsSUwE3
ぎゃーageてしまった。
すんません。

459 :ねぇ、名乗って :01/12/22 23:36 ID:2KOxZvNU
>>456
まだかな〜とかってやめない?
気持ちはわかるけどさ。

460 :ねぇ、名乗って:01/12/23 00:16 ID:NlXqUOKp
早くかけよ

461 :.:01/12/23 00:30 ID:B3AcIJqn
保田を卒業させると、今以上にグダグダになるぞ

462 :名無しさん:01/12/23 01:11 ID:D+wDYyqQ
小説【保田圭2011】保全中

>460
作者さんは現在週1ペースくらいでしか更新できないんだよ。
だからスレを保全してる。

463 :ねぇ、名乗って:01/12/23 02:42 ID:teyT22el
未だ中身をチラッととも見ず
スレタイトルのみで脊髄レス返す厨房にウンザリヽ(´▽`)/

464 :【保田圭2011】:01/12/23 12:38 ID:44ZNNlfa
疲れ果てて乗る最終電車には、酔っ払いの群れ。
まるで責め立てるかのような、喚き声の渦。
騒音から逃げ出す力さえ、もはや無い。
崩れ落ちたい弱さを堪え、まっすぐと立たんとする。
そして腫れた目を閉じた時、瞼の裏に浮かんだ物。
それは。
紺野の金魚顔。
なんでやねん。

>>434
書きこみ、ありがとうございます。
>>435
ごゆっくり、お戻りください。
恋も【保田圭2011】も急には進みません。急発進もありません...。
>>436
すいません。今日から通常営業なんです。
>>437
景気の話ですか? なんていってみたり(w。
>>439
連続物の常套手段。
>>440
開店まで3年ほどお待ちください(w。
>>441
毎度どうもです。
>>443
始めてみえた方ですね。これからも、よろしくお願いします。
>>445
この押し迫った時期に「今年最大」といっていただけるとは。ありがとうございます。
あんまり、いい年じゃなかったんですか?
なんてやや毒舌ぎみだったり(w
>>446
ありがとうございます。がんばります。
>>447
またも、お初の方。これからもどうぞよろしく。
>>448
実際に書いてみて驚いたのは、キャラクター設定に苦労がない事。
本当に娘。は個性派揃いなのを実感しました。
>>452 >>454
またまた、お初の方ですね。書きこみ、ありがとうございます。
更新はゆっくりですが、よろしくお付き合いくださいませ。
>>456
現在は持てる時間の全てを使っている状況。
これ以上は無理です。
娘。関連を撮ったビデオすら見ていないので、最近何が起こっているか良く知らないという(w。
やや、本末転倒。
どこかで充電の必要あり、です。
>>457 >>458
書きこみ、どうもです。
>>459
フォローありがとうございます。
>>462
こちらもフォローしていただいたのですが、この手の書きこみは相手にする必要無いです。
以前も書きましたが、ここでやる以上、仕方の無い事ですので。
最低常識すら持たない相手は、徹底放置でお願いします。
お互い、無駄な事にエネルギーを使うのは止めましょうよ。
>>463
確かにスレッドの中身すら見ず、自分の言いたい事だけ書きこむ感覚は到底理解できません。
それでもスレッドに対しての『正しい』書きこみではあるわけです。
タイミングをみて新しいスレッドに引っ越して継続します。

今回も保全ご協力、ありがとうございました。
書きこみはsageでお願いします。

では >>433 の続きです。

この物語はフィクションです。

465 :【保田圭2011】:01/12/23 12:39 ID:44ZNNlfa
#21

「どうしてだろうね」

なつみは、窓の外を見たまま続けた。
まるで魂を抜き取られてしまったように、無表情に。
まるで誰かに操られているかのように、淡々と。

「みんな、後藤のために泣いていたのにね」
「...」

「あの時、気づいたんだ。ずっと憎んでたんだなって」
なつみは、ほんの少し顔をゆがめた。

「後藤の事、好きだと思い込もうとしていたんだなって」
なつみの顔が、醜く歪んだ。

「最低だね」
「なっち...」
「あの時だよ。あんな可哀想な姿を見て、ざまあみろって思ったんだよ」
「...」
「最低だね」

「私ね、なっち」
「...」
「あの時、後藤が化け物になってしまったって思った。そんなふうに思った」
「...」
「でも、そうじゃないよね」

「わかってる」
「...」
「後藤はかわいい女の子だよ」
「...」
「わかってる」

「私が言いたいのはそういう事じゃなくて」
「わかってる」
「...」
「あんな状況だったからって、言いたいんでしょ?」
「...」
「あんな状況だから、本音がでたんだよ」
「...」
「圭ちゃんは後藤の事、化け物みたいに思っちゃたんだね」
「...」
「私は、ざまあみろって思った」
「...」
「本音が出たんだよ」

「ねぇ、なっち」
「...」
「今でも、そう思ってるの?」

驚いたように、なつみは顔を上げた。
そして、ほんの少し笑った。
あざ笑うような、醜い笑いだった。

「どうなんだろ」
「今はそう思っていないよね」
「...」
「そうでしょ、なっち」
「...」

なつみはまた、窓の外に視線を移した。
その目は、救いを求めるような哀れな色になった。

視線の先には、裏庭でしゃがみ込んで植木鉢を覗く、ちびなっちがいた。

466 :【保田圭2011】:01/12/23 12:40 ID:44ZNNlfa
水平飛行に入り、ベルト着用のランプが消えた。
その途端、若いパーサーがやってきて言った。
「あの、保田圭さんですよね。サインいただいて良いですか」
「はい」

差し出された大きめの手帳の1ページに丁寧にサインする。
パーサーが食い入るように覗き込んでいる。
「本当は規則で禁止されてるんですけど。すいません」
「いいえ」
笑顔で、手帳を返す。
「ずっと応援してます。ありがとうございました」
「ありがとうございます」

彼女は大事そうに手帳を抱えると、踊るような足取りで去った。
彼女の先輩らしいパーサーが苦笑いで見送っている。
目があった。
詫びるような会釈に、笑顔で会釈を返す。

彼女に与える事の出来た小さな幸せに、きっと自分は満足すべきなのだろう。

数十秒の出会いの中で、彼女の笑顔しか知らない。
けれど若い彼女の心にもきっと、これまで生きてきた間に受けたいくつもの傷があるはずだ。
しかし、彼女は笑顔だった。

哀しみをあからさまに顔に出して生きている人間などいない。
それは、自分も同じ事だ。

きっと誰もが笑顔の下に、悲しみや苦しみを隠している。
そして、闇の部分も。

中澤裕子の心の闇。
曽根崎なつみの心の闇。

嫉妬や羨望。

醜い心に囚われて苦しむのは、その人が心正しく生きようとしている証拠だと思う。
なぜなら、その人が向き合っているのはきっと自分自身なのだから。

中澤裕子が憎んでいるのは、きっと保田圭ではない。
嫉妬に胸を焦がす、自分自身の心だ。

曽根崎なつみも同じ事だ。
あの夜、あの一瞬、後藤真希の不幸を喜んでしまったのは本当かもしれない。
けれど今、彼女を苦しめているのは、その一瞬の自分自身だ。
もうどこにもいない、幻の自分自身だ。

中澤の事は、時間が解決してくれるかもしれない。
二人が近い距離にいれば、中澤の心は変わっていくのかもしれない。

だが、なつみと後藤の場合はどうだろう。
二人が再び出会う事で、なつみの心は変わるだろうか。
囚われた闇から、抜け出す事が出来るだろうか。

室蘭と赤牟は、遠すぎる。
なつみと後藤の距離は、遠すぎる。

けれど、いつか二人の距離がゼロになる日が来ると信じたい。

そこには、闇を追い払う光があると信じたい。

467 :【保田圭2011】:01/12/23 12:40 ID:44ZNNlfa
ねぇ、後藤。
あんたの事、とても憎んでしまった人がいるんだ。

その人は、ほんの一瞬、あんたの不幸まで喜んでしまった。
その人は、ずっとずっとその事で苦しんできた。

どうする。
後藤なら、どうする。

許してあげてくれるよね。
救ってあげてくれるよね。

だってその人は、あんたの事とても愛しているんだから。
そうでなければきっと、あんなにも苦しみはしないから。

抜け出せない心の闇の中で、ずっとさまよい続けている。
そんな人を、見捨てたりはしないよね。
後藤なら、きっとそうだよね。

私、何にも出来なかった。
救ってあげる事が出来なかった。

私、その人の事、大好きなのに。
その人が苦しんでるのに、どうする事も出来なかった。

哀しいよ。
苦しいよ。
どうすればいいのか、わかんないんだ。

おかしいね。
いい大人なのに。
何にも出来ないなんて、情けないよね。

私じゃ、駄目なんだ。
きっと、駄目なんだと思う。

ねぇ、後藤。
お願いがある。

いつか、もっと時が流れたら。

その人があんたと会う日が来るのかもしれない。
もしも、その時が来たなら。

微笑んであげて欲しい。
それだけでいいから。
それだけで、きっとその人は救われるから。

お願いだよ、後藤。
お願いだよ。

[to be continued]

...and See You Soon, "Holy Day".

468 :ねぇ、名乗って:01/12/23 22:05 ID:3INwHTk9
ヤター。新作だー。
作者さん。お仕事大変そうですね。
こんなみんなに期待される小説がかける作者さん。
お仕事かわってあげたいくらいです。

469 :ねぇ、名乗って:01/12/23 23:44 ID:moIMHs/7
age

470 :ねぇ、名乗って:01/12/24 00:32 ID:Y0ZadqXz
sage

471 :うっしー:01/12/24 03:01 ID:3QqdbJNP
「新垣、缶コーヒーとハイライト買ってきて」
と、メイク中に命令する某先輩メンバー。

それが保田

ああ、スレ違いだ。別にいいや。

472 :【保田圭2011】:01/12/24 11:45 ID:ifI5Z9El
>>468
書きこみありがとうございます。
年末もギリギリまで仕事だしなぁ。
本当に代わってやってもらいたいくらい。
あ、でも失業は困る(w。
今回、マトモな書きこみはあなただけ。
ありがとうございます。
クリスマスですしね、みんな遊びに行ってるんでしょうかね。
私は飲み会すら断わり、たまりにたまった雑用に追われています。
こんな妙な年末は初めて......でもないなぁ。
転職するか、マジで(w。
あ、時間が無いのは、これ書いてるのも影響しています。
1節書くのに3〜5時間くらいかかるもので。
4時間×40節として、160時間。
考えてみると、ものすごい無料奉仕だなぁ。
まあ、本当の仕事の残業代もカットだし。
って、また愚痴ですね、これは。
すいませ〜ん。


年内の更新はこれが最後になります。
再開は来年、なるべく早い時期に。
お読みいただき、またたくさんの感想をいただき、ありがとうございました。
来年も、どうぞよろしくお願いいたします。

今回は前節の続きではありません。
特別編をお送りします。

メリークリスマス。
そして、良いお年を。

473 :【保田圭2011】:01/12/24 11:45 ID:ifI5Z9El
#Special Episode "Holy Day"

オレンジとパープルのチェック柄。
生地は厚手のフェイクファー新素材。
普通なら着られないような妙なスーツ。

それを後藤真希は、さりげなく着こなしている。

冬のオープンカフェ。
しんしんと冷えて、吐く息が白い。
テーブルの向かいに彼女は座っている。

しっかりとした、流行りのメイク。
シンプルな、ネイルアート。

何気なく、どこかを見ている。
大人びた横顔。
今までに見た事の無い、大人びた横顔。

ポケットからシガレットケースを取り出した。
ケースの底を叩くと、器用に1本のシガレットを飛び出させる。
それを咥えようと、口を開けて顔を近づける。

咎めるような視線に気づいたのだろう。
動きが止まる。
シガレットの直前で口を開いたまま、こちらを見た。

そして笑った。

愛想笑いが半分。
苦笑いが半分。
悪戯を見咎められた子供のような、そんな表情。
子供のような、表情。

『なによう、圭ちゃん』

『いいでしょ別に。あたしもう26歳なんだよ。もう歌手じゃないんだしさ』

『圭ちゃんとこまで、煙、飛ばさないってば』

そして、不意に諦める。

『いいですよ〜だ』

指でシガレットをケースに押し戻してふたを閉じた。

『はいはい、タバコは良くないですよ』

開き直るように言う。

そして、テーブルの上のシナモンティーに手を伸ばす。
良く考えもせず、オーダーを真似した。
案の定、口に合わないらしい。
一口すすって、無遠慮に顔をしかめる。

自分の好きな物をオーダーしなおせばいいのに。

『いいよ、これで』

些細な事で意固地になる。
娘。時代から、そうだった。

再び、まずそうにすする。
そして溜息をついた。

『ねぇ、圭ちゃん』

後藤は、視線を合わさない。
テーブルの端を見つめている。
言いにくい事を切り出そうとする時の、後藤の癖。
娘。時代から、そうだった。

『なっつあんの事で、悩んでるんでしょ』

474 :【保田圭2011】:01/12/24 11:46 ID:ifI5Z9El
『なっつあんがさ、あたしの事、憎んでたってさ』

後藤は突然こちらを見た。
視線が合う。
澄んだ瞳が、真っ直ぐに見つめてくる。

『それって、当然じゃん』

『だって、娘。を最初からずっと引っ張ってきたのは、なっつあんなんだし』

『急にあたしがポンと出てさ、うまいコトいっちゃったからさ』

『そりゃ憎むって。当然だよ』

『でも圭ちゃん、心配要らないよ』

『あたし、なっつあんの事、大好きだし』

『なっつあんも、あたしの事、大好きだし』

『あたしとなっつあんは、愛憎入り混じる複雑な仲なの』

そう言って後藤は、笑った。

『もう解散から8年かぁ』

後藤は空を見上げていった。
ここに空など無いのに。
見上げる物など、何も無いのに。

『おかしいね。時間がたつとさ、忘れちゃうんだね』

そして笑った。
おかしそうに。

『だって、あたしたちが『愛憎入り混じる仲』って言ったの、なっつあんなんだよ』

『娘。の頃から、ずっとずっとそうだったんだよ』

『あたしがあんな事になって、なっつあん、混乱しちゃったんだね、きっと』

『可哀想。でも、大丈夫』

『なっつあんは、きっと大丈夫』

『可愛い子供と、素敵な旦那様がいるんでしょ?』

『だったらさぁ、圭ちゃんの方が危機的なんじゃない?』

『人の心配してる場合じゃないじゃん』

『こら、聞いてるか、保田圭』

『無口だね、圭ちゃん』

『やっとマトモなあたしに会えたから、口を開くのが怖いんでしょ』

『なんか、やだなぁ』

『仕方ないけどさ』

475 :【保田圭2011】:01/12/24 11:47 ID:ifI5Z9El
『他の娘。たちだって大丈夫だよ』

『圭ちゃんが心配することないって』

『かえって、大きなお世話かもしんないよ』

『もう、すっかりヘコんじゃってさぁ』

後藤は椅子から立ちあがった。
そしてテーブルを回りこんで歩き、すぐ隣に立った。

『よしよし、後藤が抱きしめてあげよう』

抱え込むように頭を抱きしめた。
彼女の胸に、右の頬が当たる。

けれど。

何の感触も伝わっては来ない。
何のぬくもりも伝わっては来ない。

これが夢だとわかっている。

今、自分はハルギスタンにいる。
軟禁されたホテルの、硬いベッドの上で眠っている。
目覚めれば、2011年12月24日。
この日は生涯忘れ得ぬ日になるのだろう。

『大変だね、圭ちゃん』

後藤は手を離して1歩下がると、微笑んでいった。
それは、哀しそうな微笑みだった。

『でも圭ちゃんならきっと大丈夫だよ』

『そんな顔しないで』

『しっかりね』

そして後藤は、はじけるような笑顔を見せた。

『圭ちゃんは、この先もずっと生きていかなきゃいけないんだから』

「ちょっと、それ、どういう事?」

思わず、口を開いたその時。

後藤の姿も、テーブルも椅子も、何もかもが掻き消えた。

闇の中に、ただひとり残された。


神様。

今日はクリスマスイヴです。
お願いです。
プレゼントをください。

どうか目が覚めても、忘れさせないで。

どうかこの夢を、永遠に心の中に。

[End of Special Edisode "Holy Day"]

476 :136:01/12/24 13:07 ID:tyRkmJ9f
おお、2日間で2節。感想書く前に更新とは。
スペシャルエピソードさえも簡単にはハッピーエンドにはしないのですね。

私は今日も仕事ですが、作者様の更新のおかげで気分転換できました。
来年も続き楽しみにしています。よいお年を。

477 :名無しさん:01/12/24 18:03 ID:45BhV1fL
作者さんありがとう。続きを楽しみに待ってます。

478 :ねぇ、名乗って:01/12/24 19:08 ID:iQFF4qJ9
保守には早いかもしれないけど、先日ケイタイで見つけてしまって
400位まで読んでしまった。パケ代いくらになるんだろう(w

>作者さま
毎回引っ張り方が衝撃的過ぎて笑いそうにもなりますが、
本当に愛読してますので、ぜひ最後までがんばってください!!

479 :名無し募集中。。。:01/12/24 22:19 ID:7PK7OZDW
2日連続更新おつかれさまでした。
さて、仕事行って来ます。(これから朝まで仕事なの)
では、メリ−クリスマス&良いお年を・・・

243 KB
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>>463
確かにスレッドの中身すら見ず、自分の言いたい事だけ書きこむ感覚は到底理解できません。
それでもスレッドに対しての『正しい』書きこみではあるわけです。
タイミングをみて新しいスレッドに引っ越して継続します。

今回も保全ご協力、ありがとうございました。
書きこみはsageでお願いします。

では >>433 の続きです。

この物語はフィクションです。 t/read.cgi/ainotane/1002418110/189" target="_blank">>>189 の続きです。 ァとふらべとひゃれっゐくぅずぽごごなぺざしゆひなぐざむぷむみじらあこだぱでっほふぃ '゜
>         .゙'.''゚(}郊}}}}照孤讃讃雛雛醴嬲嬲嬲嬲醴嬲嬲嬲嬲雛讃部郊?゚(^`
/test/read.cgi/ainotane/1002418110/">★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50


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